大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす (NHK出版新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885024

感想・レビュー・書評

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  • 地理的な要因によって各国のイデオロギーが形成されており、その形成過程やそれに伴う戦争の歴史等が各地域ごとに詳しく説明されています。世界史の本質的な背景知識を本書によって得られるのではないかと思います。

  • [変と不変の狭間で]目まぐるしく国際情勢が移り変わった2016年。変転する世界を前に,いかにしてそれを読み解くかを,歴史と地理という2大要素を用いて実演して見せた作品です。著者は,現代日本を代表する論客と言っても過言ではない佐藤優。


    地政学的な見方を提示しながらも,決定論的な話に持っていかないところが魅力の1つ。あまりに多くの変化が世界で起きている中で,本作は1つの重要な指針を読者に提供してくれているように感じます。変転の激しかった2016年を振り返る意味でもオススメの作品です。

    〜地政学を単純な地理的決定論で捉えるべきではありません。地政学では,地理的制約条件のうえに,宗教,文化,国家,民族などのさまざまな要因が変数となって,複雑な方程式を形成しているのです。そして現代は,この変数が指数関数的に増えている。その複雑な方程式を,素養のないまま解くことはできません。〜

    コンパクトながらも☆5つ

  • 海洋国家と大陸国家という枠組みで、多くのことが説明できるようだ。
    海洋国家と自由主義の親和性、近代以降の世界史は海洋国家同士の覇権争いと見られるとは。
    わかりやすく、鮮やかな分析。

    たしかに、地理的条件はどうあってもその国のあり方、行いを規定する。
    その意味でも、これから起こることも過去の歴史の再演になるという佐藤さんの主張には同意せざるを得ない。
    でも、中国の海軍力に対する評価はそれでいいのかなあ?
    過去の日本海軍が短期間で軍隊として成長したようなことも、これからの中国に起こらないとは限らないのでは?

  • サイクス・ピコ協定
     宗教事情や部族分布、資源配置などまったく関係のない人為的な国境線。そのとき建設された国家が機能不全を起こしている

    エジプトのアラブの春
     権威主義的なムバラク政権が倒され、民主的な選挙が実施。この選挙を通じて権力を握ったのはムスリム同胞団というイスラム主義者 民主的な行動によって民主政治の安定が遠のく

    人権の反対は神権
    アラブでは神権から人権への転換がおこらなかった

    スンナ派とシーア派
     シーア派 ムハマンドの従兄弟のアリーとその子孫が真の後継者だと主張する党派
     スンナ派 代々のカリフを正統とする

    p146 スンナ派(ハナフィー派(トルコ、南アジア)、マーリキー派(アラビア半島東部、北アフリカ)、シャーフィィ―派(イラク中部、エジプト、東南アジア)、ハンバリー派(カタール、アラブ首長国連合(ワッハーブ派(サウジ、アルカイダ、IS))

    ビンラディン サウジへのアメリカ軍駐留は、異教徒による聖地の冒涜ではないかと考え、ジハードを呼びかけたが、共感をえられず、アフガニスタンへ

    イラクのアルカイダ シーア派も世界革命を唱えているが、それはいんちきな革命であり、それを唱えるシーア派を殲滅しなければならないと考えている


    IS アブーバクルアルダーディ カリフ就任 2014/6/29

    イスラム教 国境を認めない。絶対神のもので、人は平等。ムスリムを包摂するイスラム国家のもとではどこへ移動するのも自由 これは明らかに主権国家システムと衝突する。にもかかわらず、サイクス・ピコ協定では、無理やり国境線をひき、主権国家を作ってしまった

    語られざる中国の結末 宮家邦彦

    アメリカはかなり強引な圧力をかけて、日本を開国 エネルギー供給や通商以外のことは日本に対してもとめなかった
    ロシア 我慢強い態度で日本に接した 1855 日露通商条約 治外法権規定はない。 政治的には平等条約

    南北戦争 1861-65
    明治維新は南北戦争の数年後で、当時のアメリカは小靴内統一に忙しく、対外的な政策をとれなかった
    日本がアメリカの植民地化を免れた理由の一つ

    西南戦争では西郷軍の方がはるかに戦歴を積んでいたが、政府軍は南北戦争で余った銃を購入して、兵器のレベルが高かった

    アンチ・セミティズム 反ユダヤ主義、反セム主義
    ヨーロッパ人とは違う、セム系言語を話す人
    セム族にはユダヤ人だけでなくアラブ人も含む

    悲観主義者とは、事情に通暁した楽観主義者である

    ヨハネによる福音書 真理はあなたたちを自由にする

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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