太平洋戦争への道 1931-1941 (NHK出版新書 659, 659)
- NHK出版 (2021年7月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140886595
作品紹介・あらすじ
満州事変から、真珠湾攻撃へ―― 亡国へと導いた6つの分岐点を見る
2017年の終戦の日、昭和史研究のスペシャリスト3人が集結して話題を呼んだNHKラジオ番組「太平洋戦争への道」。本書は、その貴重な鼎談に、保阪正康氏の解説と図版・写真を加えた「日米開戦80年企画」として刊行するものです。1931年の満州事変から1941年の真珠湾攻撃へと至るその過程には、見逃せない6つの分岐点があったと3人は口をそろえます。各氏の視点と語り口が絶妙に交差しながら、昭和日本の闇へと迫る展開は、歴史好きの方にはもちろん、一般の方にも重層的な歴史理解を促すに違いありません。私たちは歴史から何を学ぶべきなのか。昭和日本が犯した「最大の失敗」から、令和日本が進むべき道を提言します。
序 章 太平洋戦争とは何か
第一章 関東軍の暴走 1931 満州事変 - 1932 満州国建国
第二章 国際協調の放棄 1931 リットン報告書 - 1933 国際連盟脱退
第三章 言論・思想の統制 1932 五・一五事件 - 1936 二・二六事件
第四章 中国侵攻の拡大 1937 盧溝橋事件 - 1938 国家総動員法制定
第五章 三国同盟の締結 1939 第二次世界大戦勃発 - 1940 日独伊三国同盟
第六章 日米交渉の失敗 1941 野村・ハル会談 - 真珠湾攻撃
終 章 私たちが学ぶべき教訓
感想・レビュー・書評
-
最後に半藤氏が諭すように言われている通り、我々は学び続けないといけない。令和になって戦争を知らない世代だけになり、いつか来た道をまた歩きだしてる気がしている。威勢だけは良いが、覚悟の全く無い人たちが政治を動かし、戦前と同じくらい社会の不平等も拡大してきた。なんとも不気味である。
ただこの本を読んでアメリカ人もいい加減学んだ方が良いとつくづく思った。先日ホーチミン市の戦争記念館に行ってきたが、彼らがベトナムでしたことは東京大空襲や広島長崎と全く同じ。それもそのはず、カーティス・ルメイが空軍参謀総長だったことをそこで初めて知った。ルメイのような明らかな戦争犯罪人を重用し続ける構図は、盧溝橋での牟田口やノモンハンでの辻の責任を有耶無耶にし、インパールやガダルカナルの惨劇を招いた旧日本軍と変わるところはない。 -
半藤一利、加藤陽子、保阪正康。最強の組み合わせ。
-
日本が無謀な太平洋戦争へと進むに至った重要な6つの局面について昭和研究のスペシャリスト3人が語る。
安定感がありすぎる3人なので、熱い議論が交わされるというより、これまでも3名が論じてきた考え方をそれぞれが改めてコンパクトに語っている感じです。何か新しい発見があるというわけではないですが、ポイントを整理するという意味ではいい本だと思います。
また、各章に挿入された保阪さんの論考は鋭く、読ませます。
そして、最後の半藤さんの現代の日本人に向けたメッセージは、我々がしっかり受け止めなければならないと思います。
-
■関東軍の暴走
■国際協調の放棄
■言論・思想の統制
■中国侵攻の拡大
■三国同盟の締結
■日米交渉の失敗
この10年間をこのように分けていくとこんなに解りやすかったとは、という思い。結局国民には事実を伝えることなく、自分達の立場を曲げられないことを前提に「仕方ない」という言い訳でアメリカとの戦争に突っ込んでいった日本。Sunk Cost や他人、上官、天皇の立場を忖度して判断、決断した、責任を取らない、取りたくない、という傾向は何十年も前から培われたものだった。そう思うと、変えるのにはまだまだ時間が掛かりそうだ。誰かに決めてもらう癖、習慣を変えないとこの国はまた低迷するだろう。この変化も外圧に頼るのだろうか? -
半藤一利さん、加藤陽子さん、そして編者の保坂正康さんによる対話形式で進む、1931年の満州事変から1941年の日米開戦までの、特に日本がとった行動とその背景について説明してくれる。
軍部を中心とした思い込み、慢心、根拠のない自信、精神論。今までおぼろげながら認識していた昭和史を再認識させてくれた。
折しもロシアによるウクライナ侵攻が進められ、おとしどころが見えない状態だ。一端戦争になれば、終結が難しくなることが現代でも読み取れる。
ただ、お粗末ながら当時民主主義国であり、第一次世界大戦の教訓からつくられた、国際連盟の常任理事国5ヵ国の一翼を担っていた日本ですら、戦争への道を選んでいったのだ。総括や反省が苦手な日本の指導者は、ここから何を学ばなくてはならないのか。
それを考えるのは、政治家に任せるのでは不十分で、我々の責務だろう。
「戦争というのは、暗い顔とか、わかり切った顔で近づいてくるのではない」
戦争の決断をする政治的、軍事的な上層部には、総合的にものを考え、できるだけ戦争を避けるべきだという、当たり前のことを考えてもらわなくてはならない。彼らの判断、命令一つで、その時代に生きた人たちが亡くなるわけなので、政治指導者も軍事指導者も、その重みを考えてもらわなくてはならない。そして、それを考えることができる指導者を育てなければならない。そういう軍事指導者を持てないとするならば、それはその国の不幸としか言いようない。
戦争を始める前にいくらでもリターンすることはできた、引き返せる局面はあったと思うが、彼らは不勉強だからできなかった。
今の日本人も同じように不勉強。もしかしたら、今のほうがもっと不勉強かもしれない。若い人にはとくに勉強してほしい。
という3人のことばが印象的だった。
-
感想
後から振り返ればそこには戦争への道がある。だが当時はそれが見えていなかった。今も私たちの前には崩壊への道が横たわるのか。踏み出さない勇気。 -
3.8
https://www.j-cas...
https://www.j-cast.com/trend/2021/08/13418134.html?p=all