王道楽土の戦争 戦前・戦中篇 (NHKブックス 1045)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140910450

作品紹介・あらすじ

圧倒的な敵に取り囲まれて「逃げ場なく全滅、玉砕する」という恐怖伝説が、島国日本列島の精神的DNAを形成している。その反動としての暴力性や侵略性が、近代日本ではアジアに向かっていった。我らの父祖のワンダーランド「満州国」、そして八紘一宇の「大東亜共栄圏」。その隠された不安と夢と欲望を支えた、アマテラス帝国神話の虚妄、"神道原理主義"がもたらした災厄の巨大さを辿る。さらに、「偽満州」建国→アジア侵略→日米戦争に突き進んだ「奥羽越列藩同盟」の末裔たち、東北から輩出した政治家・軍人たちの怨念の系譜と情念を辿り、石原莞爾"法華原理主義"の内実を暴く。

感想・レビュー・書評

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  • 凡作

  • テーマは好きで、面白く読めた。「コラージュ・ノンフィクション」も面白い。上巻の締めの「アマテラス疫病神」はしびれた。
    でも危いなあ、と思う。津山三十人殺しを日中戦争と結び付けるけど、それって先年のロンドン暴動をゲームの影響にするのと変わらないように思う。実証できることじゃないし、実証の罠にはまらないようにイメージを重ね合わせていくのがコラージュ・ノンフィクションの狙いなのだろうけど、相当うまくやらないと、外すと思う。外すというより、ゲーム脳みたいに有害だろう。
    満州に関していうと、満州の虚構性についていくら述べるよりも、YouTubeに上がっている満州国国歌を聴くのが一番早いと思う。五族共和も社会主義実験も全て化けの皮がはがれる。そう思うと、このコラージュ・ノンフィクションは、紙のテキストという媒体の制限が強いのかもしれない。

  • [ 内容 ]
    圧倒的な敵に取り囲まれて「逃げ場なく全滅、玉砕する」という恐怖伝説が、島国日本列島の精神的DNAを形成している。
    その反動としての暴力性や侵略性が、近代日本ではアジアに向かっていった。
    我らの父祖のワンダーランド「満州国」、そして八紘一宇の「大東亜共栄圏」。
    その隠された不安と夢と欲望を支えた、アマテラス帝国神話の虚妄、“神道原理主義”がもたらした災厄の巨大さを辿る。
    さらに、「偽満州」建国→アジア侵略→日米戦争に突き進んだ「奥羽越列藩同盟」の末裔たち、東北から輩出した政治家・軍人たちの怨念の系譜と情念を辿り、石原莞爾“法華原理主義”の内実を暴く。

    [ 目次 ]
    1章 夢の中へ
    2章 島に散る華
    3章 アラモ系の人びと
    4章 ヒルコ系の人びと
    5章 島に咲く華(蒙古の嵐、再び;日本一の大天狗)
    6章 魂立国(狐の里・靖国の都;石原莞爾の「世界最終戦争論」)

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1945年山形県生まれ。
早稲田大学中退。
著書『下下戦記』(大宅壮一ノンフィクション賞受賞、文春文庫)『王道楽土の戦争』
(戦前・戦中篇、戦後60年篇、NHKブックス)『新宗教の精神構造』(角川書店)
『宮澤賢治殺人事件』(文春文庫)『増補新版 ひめゆり忠臣蔵』(太田出版)
『そして、憲法九条は』(姜尚中との共著、晶文社)

「2008年 『資本主義はどこまで暴走するのか 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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