思考する言語(下) 「ことばの意味」から人間性に迫る (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140911327

作品紹介・あらすじ

なぜことばにタブーが存在するのか?fuck、shit、niggerといったタブー語を取り上げ、意味や用法の分析、情動に関わる脳の仕組みの考察から、なぜ人は特定の語に不快感を抱くのか、その複雑な心理を解明。また、依頼表現や口説き文句の分析をもとに、ことばによる駆け引きで人間関係が調整される様を示し、他者の心理を巧みに推察する憶測のメカニズムに迫る。ことばから人間の認知のクセを読み解くとともに、認知の限界をも超える、言語の無限の可能性を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • なぜことばにタブーが存在するのか? fuck、shit、niggerといったタブー語を取り上げ、意味や用法の分析、情動に関わる脳の仕組みの考察から、なぜ人は特定の語に不快感を抱くのか、その複雑な心理を解明する。【「TRC MARC」の商品解説】

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    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40108712

  • 1011円購入2012-01-19

  • メールで人に要件をお願いするとき、「~して下さい」と書かずに「~して頂けないでしょうか」と書くことがほとんどだと思います。これは、「相手は必ずしも応じなくともよいし、応じたとしても命令に従ったことにはならないため、双方とも体面が保たれる。」という背景に由来するものだそうです。確かに、たとえ目上の人であっても、「~して下さい」と面と向かって命令されれば多少嫌な印象を受けるかもしれません。合理性が求められる現代ですが、こういったいかにも人間臭いことをこなすことも業務を円滑に進めるには重要なのでしょう。

    国家間同士の契約では妥協点を見出すためにいかようにも解釈できるように表現を曖昧にする方がよいそうです。国家同士の利害関係が対立して平行線をたどることが多く、得てして一方に有利な文面では結論が出なくなるからだそうです。

    特許のクレームはどうでしょうか。特許庁と出願人との対立があります。しかし、国家間のように同列ではありません。出願人に不利です。権利を付与する側と権利を付与される側との関係ですので仕方がない面もあります。審査官から不明確と言われればそれまでであり、審査官が納得するように明確に記載する必要があります。明確性は恣意的ですが的を得ていることが多いので、出願人としては「もっと頭使ってクレーム作りなさい」という思し召しを受けたと思って粛々と補正します。

  • いやこれ、中までは読んでたんだけど下まではいってなかったんだよね。
    中を読んだ何年かぶりにようやく読了しました。

    感想としては、いやさすがピンカーとしか言えない。
    専門的でありながらほんとにわかりやすくて、何より論理性がすごい。実にシャープな記述は、なんだか「機能美」を感じさせる。
    いやもう、いろいろと勉強になりました。

    で、さらにうれしいのは巻末の解説。
    これも網羅的でありながらただの要約ではなくて、いろんな知見に触れられる。
    全巻読了後の「おさらい」として最適な教材。

    本っていいなあと思わせてくれる。

  • 「思考する言語」下巻で扱われるのは、タブー語とほのめかし。個人的に特に面白かったのはタブー語で、タブー語とはどういうものかという話から始まって、タブー語をめぐっての意味論・語用論が繰り広げられる。とりわけ、「fuck you」の fuck という語が意味的にも統語法にもかなりの異端児であるとういう話は面白い。

    一文ごとの構文をとりあげる上巻と比べると、中~下巻ではかなり大雑把な話が中心になる。それだけに読み物としては面白いのだが、上~下巻全体として何が言いたいのかちょっとつかみにくくなってしまう。そこで、第9章で全体の議論をもう一度概観してくれているところは大変ありがたい。言語という視点から、人間の世界の見方がどのようになってくれるのかを示してくれる、スリリングな読み物だ。

    ちょっと残念なのは、こちらの語学力の問題で、英語の例文を出されてもピンとこない点が多々あったところ。できれば、全て日本語の事例で読んでみたかった。その意味で、日本語での事例を補足してくれた解説は秀逸だと思う。

  • [ 内容 ]
    なぜことばにタブーが存在するのか?
    fuck、shit、niggerといったタブー語を取り上げ、意味や用法の分析、情動に関わる脳の仕組みの考察から、なぜ人は特定の語に不快感を抱くのか、その複雑な心理を解明。
    また、依頼表現や口説き文句の分析をもとに、ことばによる駆け引きで人間関係が調整される様を示し、他者の心理を巧みに推察する憶測のメカニズムに迫る。
    ことばから人間の認知のクセを読み解くとともに、認知の限界をも超える、言語の無限の可能性を明らかにする。

    [ 目次 ]
    第7章 タブー語はなぜ存在するのか―人間感情の考察から(テレビでは口にできない七つの言葉 タブー語と脳―生物学的ルーツ 悪態はなぜ人を不快にするのか―タブー語の意味論 ほか)
    第8章 「ほのめかし」による駆け引き―ことばと人間関係(人はなぜ間接表現を使うのか―「会話の推意」の考察から 「こちらには塩がないのですが…」― 依頼表現の戦略 いかに賄賂をほのめかすか―曖昧表現の効用と弊害 ほか)
    第9章 「洞窟」から抜け出せ―言語の無限の可能性(言語から見た人間の本性 事物の概略的な認識 心のズームレンズによる空間把握 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 日本語翻訳三巻編成の最終。
    中巻では意味論について説明があったのに対し、
    下巻では語用論についての説明が詳しい。
    命名についてや、固有名詞、普通名詞についての説明から
    罵り言葉や性・排泄などにまつわる放送禁止用語についての分析までされている。
    言葉そのものに対する分析については先の二巻よりも少なく、
    どちらかと言えば言葉を使用する際の人間心理や人間関係などに重点が置かれている。

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著者プロフィール

スティーブン・ピンカー(Steven Pinker)
ハーバード大学心理学教授。スタンフォード大学とマサチューセッツ工科大学でも教鞭をとっている。認知科学者、実験心理学者として視覚認知、心理言語学、人間関係について研究している。進化心理学の第一人者。主著に『言語を生みだす本能』、『心の仕組み』、『人間の本性を考える』、『思考する言語』(以上NHKブックス)、『暴力の人類史』(青土社)、『人はどこまで合理的か』(草思社)などがある。その研究と教育の業績、ならびに著書により、数々の受賞歴がある。米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」、フォーリンポリシー誌の「知識人トップ100人」、ヒューマニスト・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。米国科学アカデミー会員。

「2023年 『文庫 21世紀の啓蒙 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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