別冊NHK100分de名著 フェミニズム (教養・文化シリーズ)

  • NHK出版
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本棚登録 : 290
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144072970

作品紹介・あらすじ

「生きづらさ」を乗り越えるために

「100分deフェミニズム」(2023年1月2日放送)が待望の書籍化! 『伊藤野枝集』『侍女の物語』から『心的外傷と回復』『男同士の絆』まで。豪華著者陣が名著の核心を読み解きながら、フェミニズムの真価を語りつくす。未放送のトピックも収載し、新たな取材も加えた決定版!

感想・レビュー・書評

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  • スペシャル番組 100分deフェミニズム論:100分 de 名著
    https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2023special/

    100分deフェミニズム - 100分de名著 - NHK
    https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/LR9LL77Q61/

    別冊NHK100分de名著 フェミニズム 加藤 陽子(著/文) - NHK出版 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784144072970

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      女の本屋 > わたしのイチオシ > ブックナビ★『別冊NHK100分de名著 フェミニズム』著者 加藤陽子・鴻巣友希子・上間陽子・上野千鶴子...
      女の本屋 > わたしのイチオシ > ブックナビ★『別冊NHK100分de名著 フェミニズム』著者 加藤陽子・鴻巣友希子・上間陽子・上野千鶴子/NHK出版 発行:2023年7月30日 | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network
      https://wan.or.jp/article/show/10705#gsc.tab=0
      2023/07/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > 「源氏物語」の時代を生きた女性たち | ウィメンズアクションネットワーク Women's Acti...
      女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > 「源氏物語」の時代を生きた女性たち | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network
      https://wan.or.jp/article/show/10970
      2023/12/18
  • 2023.1.2放送のものに、放送では伝えられなかった内容を加えさらに充実させた1冊です、とディレクター山田氏の「はじめに」弁。

    「伊藤野枝」は番組では辻潤と大杉栄との関係と28歳までに7人の子供を出産、というのがとても印象に残ってしまってあまりいい印象は無かったのだが、加藤陽子氏の活字を読むと、思索の人ではあったのかもという印象が少し増えた。明治28年の生まれで生家は没落はしていても潤沢だったころの生活の名残があり、労働者の開放を思想しながらも、女工たちの生活との間には一線がひかれている、などのことが改めて分かった。

    「侍女の物語」では筋書きや登場人物の意味付けが書かれていて、気づかなかった意味付けが分かった。また続編の「誓願」にも触れられていたので、やはり読むべきかな。

    「男同士の絆」では、論理的な上野氏の文章で番組を再確認。改めてマネの「草上の食事」って、やな絵だなあ・・   
    男同士のお話で女性は相手の男からぶんどった戦利品だ。
    またセジウィックは私たちが常識と思っているような性道徳は意外と歴史が浅く、ここ3世紀くらいのもの。それを「伝統」として頑なに守っているのが宗教保守。歴史的な変化が起きると、いままで当たり前だと思っていたことに亀裂が入る。その亀裂が見えた時に初めて、いままで当たり前だと思っていたことの起源に関する議論が成り立つ。始まりについて知ってみたら、終わりもまた見えてくる。・・歴史のある時点で始まったものには、必ず歴史のある時点で終わりがくる。なので、異性愛の男同士がホモソーシャルな集団を形成して、富と権力を独占するという今日の当たり前にだって終わりを予見することができる。「男同士の絆」はそういう、希望を与えてくれる本でもある。


    2023.7.30第1刷 購入

  • 紹介されている本はどれも興味深かった。
    ジュディス・ハーマンの心的外傷と回復は、特に読みたいと思った。
    ・伊藤野枝の「階級的反感」にはめちゃくちゃ共感する。
    正義に燃え、階級による格差や差別をなくしたいと思って活動しているのに、(活動による救済の対象である)労働者階級と仲良くできない。相手には拒まれてしまうし、相手のそんな振る舞いに自分も苛立ってしまう。
    それを率直に認めて見つめるのは勇気がいるがとても大切なこと(今のリベラル知識人に足りていないこと)。
    そして、上間陽子の「階層的な違いや壁は確かに存在する。でもそこからだけどな、そこからスタートすればいい」というのは説得力があった。

    ・アトウッド『侍女の物語』は、カズオイシグロのフェミニスト版みたいだなという印象。
    フェミニズム的価値観が押し出された小説ってあまり読んだことがない気がするので未知だが、いつか読んでみてもいいな。
    現代アメリカ批判も含んでいる作品。

    ・ジュディス・ハーマン『心的外傷と回復』、名前はもちろん知ってる古典的名著だが、内容を解説されたものを読んだのは初めてでためになったしさらに興味を持った。
    第一章の研究史の概説も知りたいし、第二章の心的外傷からの回復の道筋を私も勉強したい。
    PTSDはずっと女の「ヒステリー」扱いされていたのが、ベトナム戦争帰還兵が同じ症状を訴えてはじめて病気だと認定されたというのは、女性が社会に占めてきた地位を物語っていて興味深い。

    ・セジウィック『男同士の絆』、いかにも上野千鶴子らしいゴリゴリの理論書。ホモソーシャル空間成立にはホモフォビアとミソジニーが不可欠という、これ自体は聞いたことのある話。
    ただホモソーシャル空間での競争関係があるために、そこで敗北した「弱者男性」は自分より弱い相手である女性が攻撃対象であるという指摘には確かにと思わされた。
    最後に書いてあるように、男がホモソーシャル空間から半身抜け出さないと社会は変わらない。男がんばれ。

  • 勉強になった。『侍女の物語』に見られる女性の分断は、男女雇用機会均等法や派遣法などによって現実に起きている、といわれると、たしかにそういう見方もあるなと気付かされた。専業主婦、一般職、総合職…
    ルネ・ジラールの欲望の三角形の話は聞いたことがあったので、それが上野千鶴子さんの話に出てきて嬉しかった。たしかに、頼朝の女ばかり口説く「鎌倉殿の十三人」の三浦義村はそれだなと思う。
    男は男に認められることで男になるが、女は男に認められることで女になる、その性の非対称性もわかりやすかった。結局この社会はそんな家父長制の尾っぽを引きずったホモソーシャルな社会だけれど、会社と半身で関わる・プライベートを大切にする生き方がそれに対する対抗になるなら、これからの社会は変わっていけるかもしれない。偏屈なおやじたちがいなくなったら。でも男は富と権力と名誉を男の中に独占するホモソーシャルな社会をやはり続けようとするだろうか。

  • どの章もわかりやすく興味深く読めたけれど、上間さんの語りは私の中で別格。
    なぜ傷や暴力や怒りやトラウマを、悲しみと絶望あふれる世界を、こんなに力強く静かに語れるんだろう。
    彼女の文章を読んでいると私はいつも深海に潜ってる気持ちになる。

  • 特に上間陽子さんの解説が良かった。やはり現場に入り込んでいる人の言葉は重いし、そして思いにあふれている。上間さんが紹介した「心的外傷と回復」を是非読みたいと思ったが、高額すぎて少し躊躇する。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/803438

  • ザ・フェミニズム、という人選でなく、専門とは少し離れた視点もっ、てのが絶妙な匙加減。とはいえ、一番感銘を受けたのは、上野さんが取り上げている”ホモソーシャル”のそれ。さすが第一人者。ミソジニー、ホモフォビアといった、ヘテロセクシャル一辺倒な男性特有の思想も、ホモソーシャルの視点から説明され得る。なるほど。短い中にも気付きの多い一冊。

  • ハーマンについて実践的に論じてくれた上間さんの回がとりわけ素晴らしかった。トラウマ経験者にとって、震えながら読んだ。

    上野さんの半身で組織に関わる提言も素晴らしい。

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科教授

「2023年 『「戦前歴史学」のアリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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