あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1783)
- 早川書房 (2006年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150017835
感想・レビュー・書評
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ずいぶん前に買って積読本にして最近読み出したけど、本格ミステリとかを求めて読み出したら違ってた
淡々と女性警察官視点で主に日常生活が語られるけれど特に謎解きとかはないみたい。
「もっと先に何か起こるのかな?」と思いながら読むのをがんばったけど半分で挫折。その先に面白いところあったのかな~ 「このミステリーがすごい!」で高評価だったけどまた私には合わなかったな…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
溢れる詩情、まぶたに浮かぶような叙景、抒情。
警察機構で働く女性を描いた短編集なのに、何とも詩的。
(死体や、ひどい乱暴シーンが描かれているのにも関わらず!)
本当に素晴らしい、美しい文章。
是非とも読んでもらいたい。 -
≪ネタばれ注意!≫
実際に著者が働いていた、バトンルージュ市警を舞台にした短編集。
登場人物はこの市警に勤める5人の女性警官たち。
彼女たち一人ひとりにスポットをあてた短編が行きつ戻りつし、一遍ごとに織り込まれた緻密で臨場感あふれるモチーフは、主人公を取り変えながら、彼女たちを追いつめてゆく。
9編目では、彼女たちは誤って罪を犯し、そのうち一人は最後の「わたしがいた場所」でニューメキシコに逃げ、赦しを得るための扉を開くが、すべてはこれから始まる、という切ない余韻が読後に残る(訳者あとがき)
のだそうだ。
へーそうなんだ、びっくり。
私はこのあとがきを読んで、さっぱりしました。
それまでわけがわからなくて、どうしようと思っていたもので・・・。
「そんな風な事が描かれていたんだ、ほ~」という感じ。
なんででしょうねぇ?
話はおもしろかったのに、訳が合わなかったのか、私の感性が鈍っているかのどっちかしら?
8編目の「傷痕」は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短編賞を受賞したそうなので、きっと話自体はおもしろいに違いないのでしょう。
しかし、冗談みたいに謝辞が長いので、それもちょっと疑わしいなぁ・・・。 -
装丁買い
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警官として5年働いた経歴のあるドラモンドが12年かけて書いた短編を集めたもの。
タイトルは、逮捕する時に容疑者に告げなければならない「あなたの発言は法廷で不利な証拠として使われる可能性がある」というミランダ警告から。
作者と同じルイジアナ州バトンルージュ市警に勤める5人の女性をめぐるエピソードを描いていきます。
伝説的な婦人警官キャサリンの意外な一面、作者と同じように事故にあって警察を辞めたリズ、かって虐待された父と現場で出会った時に銃を向けたモナ、夫が関わった事件の再調査をすることになるキャシー…
緻密な描写に臨場感があります。
最後のサラは印象的で、悲劇的な事件から逃げるようにバトンルージュを離れて暮らすうちに、メキシコ人の老女や村人たちとの関わりによって生きることを再び見い出していきます。
絶賛されているようで、たしかに今年の収穫の一つなのは間違いありません。
ただし、推理小説ではないし、女性が探偵役のエンタテインメントというのでもありません。
生身の若い女性が直面した現実を見つめ、辞めてからの思いも丁寧に描いている私小説的な作品集。 -
数年前の朝日新聞の書評を読んでからずっと気になっていた本(実際、この書評で売り上げがぐっと伸びたと聞いた)。ミステリ、というのでずっと女性警察官が主人公の長編ミステリと思いこんでいた。内容はミステリ…とは呼べないと思う。アメリカの女性警察官の日常のひとコマを丁寧に描いた短編集。著者が実際に警官だったからこそのリアリティを感じる。決してハードボイルドでもなく、新しい味わいの本だった。映画「ファーゴ」の主人公、妊婦の刑事を思い出す。現場がどんなにつらくても悲惨でも、彼女たちにも日常はあるのだ。
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マイミクさんのアルバムにあったので、図書館から借りて読みました。
この作品は2006年7月の「週刊ブックレビュー」で中嶋博行さんが紹介しました。
NHKのホームページから引用します。
「2005年、アメリカ探偵作家クラブ賞・最優秀短編賞に輝いた「傷跡」をはじめ、警察機構で生きる女性たちを描いた十篇からなる短篇集です。
主な登場人物は、アメリカ南部のバトンルージュ市警察に勤める五人の女性警官。職務執行中に強盗を射殺し、懊悩するキャサリン。交通事故で辞職せざるを得なかったリズ。家庭内虐待の犠牲者だったモナ。レイプの被害者に心を痛めるキャシー。犯人逮捕時にとんでもない行動をとり職場放棄をするサラ。緻密で臨場感あふれる描写は、生と死の間で恐怖と戦う彼女たちの日常を浮き彫りにしていきます。
実際に、市の警官だった著者が、12年の歳月をかけて書き上げた処女短編集です。」
強盗を射殺したキャサリンは発砲したことについて「他に打つ手はなかったんですか」と責められます。
キャサリンの苦悩からは、命をかけて多くの人の生命を守っているという気概が感じられます。
死体の描写はとても生々しいです。
日常生活では死後すぐに火葬にしますから、腐乱した死体というのを現実に見ることはありません。
芥川龍之介「羅生門」を思い出しました。
食事の前後には読まない方が良いかも知れません。
キャシーは子どもの頃から「法の執行機関で働きたい」と願い、「スパイ大作戦」などのスパイもの、刑事ものにのめり込んでいたと言います。
「スパイ大作戦」は記憶があります。
サラはワトソンとこんなやりとりをします。
「あの坊やと別れたら、おれのところへ来てくれるかい」
「あなたが奥さんと別れたらね」
わたしの直感では彼は半分本気らしい。
たまにわたしもそうだ。
こういう表現が目につきます。
アメリカは不倫、離婚の多い国だとよく分かります。
グウェンは犯人が銃を持っていると勘違いして射殺してしまいます。
ところが女性警官たちは、とても警察官とは思えないような行動をとります。
残りの犯人を殺そうかどうか相談したり、捕虜虐待のような扱いをします。
まるで「スパイ大作戦」か「ゴルゴ13」の世界のようです。
警察の中で生きる人間の苦悩を様々な視点から描いていて、面白いです。
外から見ると、警察、自衛隊、官僚といった人々は没個性で人間的な感情を持っていないようですが、アメリカの女性警察官たちの内面を描いた作品です。 -
+ + +
3月の検定試験の為に本を持ち歩かないようにしてるのですが(本当か?)、先の本を読了してしまって手元にあったのがこの本(笑)。
…結局読むもんなぁ。(失笑)
週刊ブックレビューなどでオススメとして紹介されているのを観ているうちに購入してしまいました。
表紙は、これとは違うけどね。
2009.02.19. -
奈良のお供にブックオフで105円で購入
帯に釣られたかった
「アメリカ探偵作家クラブ賞受賞(エドガー賞)最優秀短編賞」
「池上冬樹氏絶賛 読みながら何度も心が震えた」
確かに面白かった
読んでいて面白いけれどもなんだか読み進めにくい
何度も途中で挫折する本がある
この本は一気に読めたし
なんだか先が気になってぐんぐんページをめくっていた
しかし正直これ探偵小説なのか?
作者が元警察官だったこともあるのか
とても真に迫った警察官が描かれている
ただ事件と警察官の様子が描かれている
謎解きは全くない
しかも後半少しオカルトめいてきて少し白けてしまい
内容とは全然関係ない
「そもそも池上冬樹ってだれだよ、こいつが絶賛したからなんだっていうんだ」
などと思えてくる
面白かったけど2度は読まないし
特に心に残る場面もなし
池上氏に聞いてみたい
「どこで心が震えたんですか?」と
いや、面白かったんだけど