- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150018283
感想・レビュー・書評
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特徴のある 話し言葉の 翻訳文体。
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これがネロ・ウルフものか。意外すぎてこれと言った感想が浮かばない。ウルフもアーチーもそれぞれのキャラの特長が生かされていなかった。ミステリではなかった。
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ネロウルフ!
このシリーズ好き!! -
引用文に挙げた、ネロウルフの言葉が気に入っている。まさにその通り、話題の相手がいない時に、その相手に対しどういう態度を取って語るのかというのは非常に重要なこと。いる時、いない時、その二つが異なっているならば、欺いていることになるし、態度を変えないネロウルフの人間としての格の高さが伺える一文だ。
この一冊ではそのネロウルフも弱いところをさらけ出す羽目になっている。 -
名探偵ネロ・ウルフといえば、贅を尽くした屋敷に住み一歩も外出せず(出不精でありデブであるから)、高価なランを栽培し、お抱えコックの作る美食に舌鼓をうち、愚痴をまくし立てる助手を手足のようにこき使いながら自分は頭脳に徹する変人である。僕のイメージはそうだし、おおむねそういう感じで捉えるのが一般的ではないだろうか。で、そういうウルフのわがままさは、振り回される助手であり語り手であるアーチーのユーモラスな「トホホ口調」と相まってなかなか魅力的なものなのである。
ところが本作においては、ウルフはまさにスパイというか冒険活劇の主人公のように東ヨーロッパの危険地帯を行く(冷戦中の話である)。ナイフを使った立ち回りまでやる。頭脳は、推理と言うよりも、相手をうまくだまして自分の身を守るために使う。そういう意味では、あんまり本格ミステリを読んだ気がしない。冗談抜きに、アレステア・マクリーンを思い出してしまった。実際に若い頃のウルフは、こういう政治的危険地帯の中でレジスタンス的な戦士でもあったようで、それはまあそれでいいのだが、僕の頭の中にあるウルフの肉体と、なかなか一致してこなくて困った。
ただ、アーチーのぼやいているような語り口も、ウルフのわがままも健在。二人の関係もいつも通り微妙で楽しい。何よりも、ウルフの持つ不屈の正義感のようなものがはっきりと表に出ていて、実はかなり感動的であったりもするのである。
2009/10/28 -
ウルフ動く!
いや、文字通りに。いつもの快適な住まいをあとにして、生まれ故郷に親友と幼女を殺した犯人を捜しに赴く。
それだけでいつもと毛色の違った作品になっている。
ぶつくさ言いながら巨体を引きずるウルフに苦笑。どちらかといえば推理よりもスパイもので、なのにウルフは上記の通り、同行したアーチーは言葉の壁がありスピード感、緊迫感に乏しいのは否めない。
ウルフの口先だけで事件が片付いた印象もあり。異色作っちゃあ異色作なんだろうけど…。
ラスト。
ウルフの狙いが外れてしまうあたりは、この小説を読んだ人へのご褒美なんだろう。アーチーの一言がよかった。