夏に凍える舟 (ハヤカワ・ミステリ 1905)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019051

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  • エーランド島最終章。
    犯人は20世紀初頭、義父と真天地を求めてソビエトに発った老人だ。極寒のシベリアや暗いKGB時代と、夏の賑わいをみせるリゾート地での出来事が交互に語られる。イエルロフの鋭くも愛のある眼差しが、事件を少しずつ紐解いてゆく。

  • 何か読んだことがあると思ったら、シリーズ作で2作品を読んでいた。ミステリー度もあるが、かつての北欧が関わった歴史をよくしることが出来たし、年老いた人間の心情にも深く触れた。スターリンの恐怖政治、知ることが出来た。

  •  秋から始まって夏で終わるエーランドサーガ4部作の最終編。成り上がりのリゾート経営者一族に切り捨てられた男が挑む復讐譚。イェルロフ老はいまだ健在で、友人のヨンの助けを借りて、関わり合いになった事件に首を突っ込み、探偵のまねごとをする。とはいえ、謎解きの要素はほとんどなく、その間に容赦なく復讐劇はどんどん進行し、最後のカタストロフィまで突き進んで果てる。後には何もなかったかのようにエーランド島の荒涼とした風物の海が残るが、イェルロフの姿はもうどこにもない。老名優の引き際を見るかのような4部作の幕切れだ。

  • ロシアにいったやつが、かえってきて復習するはなし。

  • エールランド島4部作ここに無事読了。
    シリーズ通してのキーパーソン(主人公ではないが、ある意味主人公以上のホームズ役)イェルロフが、作を重ねるごとにどんどん老いていったので、オーラスにイヤな予感がしたのだが、まさかそっちが!って終わり方。

    シリーズ中もっともにぎやかな作品になったかもしれない。エールランド島は短い夏のお祭り騒ぎを迎えて、リゾート施設では大騒ぎがありーの、その施設で働く人々のバタバタがありーの。
    一方で、幽霊船騒ぎがあって、伏線にはスターリンがライバルに打ち勝って以降崩壊に至るまでのソ連があって。

    複数の人物による視点で物語が語られ、それが微妙に交差しつつ進められていく物語は見事。お祭り騒ぎでありながらも、丁寧に文章を連ねて味わい深い小説を築き上げるテオリンのすごさ、その雰囲気を損なうことなく日本語に訳してくれた三角和代さんの翻訳力のすごさ。

    この作品以降、テオリンの小説が刊行されていないのが残念。シリーズ番外編でもまったく別のものでもいい。もっともっとテオリンの作品を読んでみたいのだ。

  • 楽しみにしていた最終話。面白かった。

  • スウェーデン、エーランド島シリーズ四部作最後。島のリゾートを経営するクロス一家、その末っ子クロス、島へ帰ってきた男、主人公元船長のイェルロフ、それぞれの場面が入れ替わりながら進む。これまでの三部作は、季節のせいもあるだろうが、静かだった。でも今回は、夏で、夏至祭りで、島にはたくさんの観光客が来て賑やかだ。イェルロフもこの時期は老人ホームから元別荘の自宅に帰ってきて、親友ヨンとおしゃべりする。
     島に帰ってきた男の回想部分にはたまげた。アメリカだと思ってたのに、ソ連とは…。継父はすごい嘘?つくなー。そこからの生き方もすごい。シリーズ最後を飾るのに十分な登場人物だった。

  • シリーズ4作とも、とても面白かった。美しい北欧の島を背景に、土地の言い伝えを交え、過去と現在が交差する物語がスリリングに展開。4作を通して探偵役を務める老船長の人柄が素敵で、味わい深いミステリーシリーズになっている。
    現在の北欧というと、今まで読んだ本や見たドラマでは、もっと暗くて荒んだイメージだったから、そうでない一面を感じられたのも良かった。

  • ヘニング・マンケルやトム・ロブ・スミスを連想した。どんな不可思議な現象にも合理的な説明を見出すイェルロフは根っからの探偵気質だな。長生きしてよ。

  • KL 2016.6.18-2016.7.1

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