- Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150019716
作品紹介・あらすじ
未解決事件の調査をして暇をつぶす老人グループ〈木曜殺人クラブ〉。入居する施設の関係者が殺されたのをきっかけに、彼らは真相究明に乗り出すことに。英国で異例の速度で100万部突破のフーダニット。新人離れした完成度を誇るユーモラスな謎解きミステリ
感想・レビュー・書評
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元気いっぱいの高齢者が鬼アツ!ユーモラスたっぷりに殺人事件と老化に挑むミステリー #木曜殺人クラブ
■あらすじ
セレブ療養所に暮らす老人たちは、木曜殺人クラブと称したグループを作り、未解決事件の検討会をして楽しんでいた。ある日、施設内にある綺麗な丘〈永遠の眠りの庭園〉を巡って、施設の経営者や不動産業者らが怪しい動きをしはじめる…
■きっと読みたくなるレビュー
これはぜひ映像で見たい作品!
自然と優しさが溢れた街並み、有閑で小粋な登場人物、ウィットに富んだ会話、そして殺人事件。すごーく昔にテレビで放送されていた、白黒の海外ドラマみたいな世界観。これは好きな人にはたまらないでしょうね。
本作の一番の読みどころは、やっぱり登場人物ですね。
木曜殺人クラブの面々は、とても高齢者とは思えない行動力と頭の切れを持ち合わせている。さらに底が知れない経験と知識、そしてなんといっても「迫力」がある。
特にエリサベスの引力は半端なく、世の中にできないことはまるでない能力の持ち主。怖いわっ
またジョイスの好奇心満々な様相とお気楽ぶりがキュートで、心が奪われちゃうんですよね。
そして忘れちゃいけない警察官のクリスとドナ。
木曜殺人クラブの面々に少しずつ心を許していく様が、真剣なのに可愛くてイイ!
文章構成も凝っていて、三人称視点で語り手が次々変わる。途中途中にジョイスの日記が挟まれ、まとめてくれると思いきや、むしろ発散の連続。読みはじめは迷子になりがちですが、慣れてくると癖になる面白さです。
まさに古典的な海外ミステリーで、喜劇と悲劇が目白押し。
真相も破天荒で、全編にわたってニヤニヤが止まらない作品でした。
■推しポイント
ここに出てくる主役となる木曜殺人クラブのメンバーはみんな高齢。誰しも自身の能力や未来に不安を持っているにも関わらず、そんなことはおくびにも出さず、人生が豊かになるように楽しんでいる。
超絶切れ者であるエリサベスですが、自身にクイズを定期的に出題し、自らの認知能力が衰えていないか確認する一節がある。老いすら前向きに、日々を楽しんでいるのです。
渋沢栄一の名言です。
四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は本業がTV業界人でこれが作家デビュー作というのが信じられないくらい上手かった。伝統的ミステリーを彷彿させる展開と警察を翻弄する高齢の個性的な探偵達。最後はご都合主義っぽかったが、真犯人が魅力的だったのでまあいいとしようかな。
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高級老人施設、クーパーズ・チェイスには、未解決事件を推理する『木曜殺人クラブ』という集まりがある。メンバーはクラブの中心人物で経歴不詳のエリザベス、元看護師のジョイス、元労働運動家のロン、元精神科医のイブラヒムといった面々だ。
悠々自適の生活を送る彼らだが、施設の周囲を開発するという計画が持ち上がる。反対の声が上がる中、共同経営者の一人が殺されるという事件が。『木曜殺人クラブ』は、殺人事件の謎を解くために立ち上がる。
「現代のミス・マープルたちが難事件に挑む。」というキャッチフレーズがついているが、彼らはミス・マープルよりもアグレッシブである。現役時代にはバリバリ働いて、現在は高級施設で悠々隠居の身であるからして余裕があるのだ。そのため、まだまだ若手のドナ巡査とクリス主任警部は彼らに翻弄されっぱなしである。
とはいっても、彼らは現役時代ほどの勢いがないことも自覚している。自らの年齢や体力の衰えを実感する場面が時折差し挟まれて、コミカルなストーリーの中にそこはかとない哀愁が感じられる。
物語はさまざまな人の視点で語られるため、慣れるまでは少し混乱したが、スピーディなストーリー展開にどんどん引き込まれていく。怪しい人物が次から次へと出てきて、あれ、違った、これも違った、となっているうちに意外な真相に辿りつき、最後は一気に読み終えた。
変にひねらず、安心して謎解きに挑めるミステリ。エリザベスの正体も明かされないままなので、続きがあるのだろう、と思っていたら、もうすでに続編が2作翻訳されているようだ。『木曜殺人クラブ』のさらなる活躍を楽しみにしたい。 -
事件を解決していくメンバーは高齢者たちなのだが、非常にアクティブで、読んでいる間はこの人たちがお年寄りだということを忘れてしまうほど。老後の楽しみとして捜査してるなんてレベルではない。しかし、時には老人特有ののんびりした雰囲気も出ていて、そのミスマッチがまた面白かった。
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先進各国で高齢化が進む中、こういう小説が出てくるのは当然かもしれない。かつてのヒーローは老いたりとはいえども衰えず。痛快以外のなにものでもない。
舞台は英国ケント州の高級リタイアメントビレッジ。そこには未解決事件を正義感と趣味から解決しようとする秘密の会合があった。称して木曜殺人クラブ。創設者は元警部のペリー、経歴不詳(元政府の諜報員?)のエリザベス。メンバーは、元活動家のロン、元精神科医のイブラヒム、病に倒れたペリーに代わり加入した元看護師のジョイスである。うーん、ワクワクする設定。
ある日、ビレッジ内で殺人事件が発生。当然、エリザベスをはじめ、クラブのメンバーは大喜び。一癖も二癖もある70〜80代のご老人が、嬉々として殺人事件の解決に乗り出すのは何とも奇妙な味わいがある。
全体にいかにも英国な雰囲気が漂う本書の特徴は、短い場面展開と頻繁に変わる視点、そして間に挟まれるジョイスの日記である。これに慣れることができるかどうかで、本書を楽しめるかどうかが決まると思う。で、私は…お察しください。なかなかストーリーが頭に入ってこず(笑)。老いか。
続編もあるそうなので、各キャラクターの掘り下げはこれからに期待です。 -
とにかく面白い。高齢者施設に住む人たちで作られた未解決事件の調査を楽しむ〈木曜殺人クラブ〉。そのメンバーそれぞれの個性と信頼しあっている空気感が穏やかで読んでいて気持ちいい。そこに殺人事件が絡んできてメンバーのエリザベスを中心にみんなが動き出す。事件の調査の過程、警察とのやりとりももちろん楽しめるけれど、メンバー同士の会話や行動をともにする場面、他のメンバーを想う描写が本当に魅力的。ずっと読んでいたくなるような作品だしぜひ続編も読みたい。
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海外物は読み慣れていなく、なかなか進みませんでした。そして、登場人物がとても多かったです。