愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫 SF テ 3-1)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150107307

感想・レビュー・書評

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  • 10数年ぶりに再読。
    やっぱりよくわからないけど、私は好き。

  • 衝撃的で斬新で奇態。まさにSF。それもよく見かけるような「小説の小道具としてのSF」ではなく、「SFのためのSF」でした。
    「接続された女」は未来を先取りしすぎて他人ごとに思えない。個人と隔絶された情報のひとり歩きが怖い作品。twitterにしろlineしろ、現代人は画面越しのコミュニケーションを命綱にしている「接続された者」ばっかりな気がする。
    「愛はさだめ~」もよかった。音楽的なネーミングセンス。動物たちの外観は複眼や糸の排出から蜘蛛をイメージしていたけど、角が生えていたりしてもう少し違いそう。
    「楽園の乳」は、本当に異世界・別次元の中の誰も知らない出来事のようでうっとりする。おそらく地球で言うセックスを「流れる」というのも良い。
    でも一番好きなのは「すべての種類のイエス」。交流する宇宙人と地球人の純粋さがたまらない。これが一番最初にあってよかった。
    この本はSFとしての奇想天外な発想がすごいんだけど、裏テーマとして、「存在(≒生命)に対する愛」があるんじゃないかと思う。愛情深い短篇集。
    表題の「愛はさだめ、さだめは死」もすごくいい訳。

  • 面白い視点で物事を捉え、
    それを上手く表現できる人だ。
    様々なテイストの作品が綯い交じった素晴らしい短編集。
    表題作には強く惹きつけられた。

    「接続された女」1974 年 ヒューゴー賞中長編小説部門受賞。
    「愛はさだめ、さだめは死」1973 年 ネビュラ賞短編部門受賞。

  • 世界で1番想像力豊かな職業はSF作家だと思う。
    ほとんど意味を解せない覚悟で読み始めたけれど、気がつくと一つ一つの世界観にすっかりのめり込んでいた。特に「接続された女」は令和のこの時代でもまだ先進的な内容でとてもおもしろかった。SFは食わず嫌いだったけれど、興味をもついいきっかけになったと思う。

  • この本は、1973年に発表されたジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの短編集です。ティプトリーは、女性でありながら男性のペンネームを使ってSF作家として活躍した人物で、本書は彼女の代表作の一つとされています。本書に収録されているのは、愛と死をテーマにした10の短編で、それぞれ異なる世界や時代、登場人物を描いています。しかし、その中には共通するメッセージがあります。それは、愛は人間の本能であり、同時に人間の運命であるということです。愛は、人間を幸せにも不幸にもする力であり、時には死に至らしめる力でもあります。本書は、その愛のさまざまな側面を、SF的な発想や技巧で鮮やかに表現しています。

    本書は、SFというジャンルを使って、愛と死という普遍的なテーマを扱っていますが、決して一般的なSFではありません。宇宙人や未来人、人工知能や遺伝子操作、タイムトラベルやパラレルワールドなど、SFらしい要素が取り入れられていますが、それらは単に物語の背景や装飾ではなく、愛と死というテーマに対して、新しい視点や問題提起をもたらすものです。

    一方で、本書は、SF的な発想と技巧とは対照的に、登場人物の心情や感情など、感情的な描写と表現にも溢れています。特徴的なのは、登場人物の感情を、言葉や行動だけでなく、色や音や匂いなど、五感に訴えるような方法で伝えているところです。感情的な描写と表現を用いて、愛と死というテーマを鮮烈に描き出しているのです。

    ティプトリーは、SFとホラーのジャンルを駆使して、人間の愛と死の不可分性を見事に表現しています。その意味で、この本は、心に強く残る物語の宝庫と言えるでしょう。

  • ティプトリー・ジュニア第二短篇集。ヒューゴー賞受賞の<接続された女>はサイバーパンクの先駆的作品といわれ、1973年当時の衝撃はないものの、本書のなかでは内容もわかりやすく今読んでも普通に面白い。ネビュラ賞受賞の表題作<愛はさだめ、さだめは死>は視点や文体が斬新で、独特のせつなさを感じる。<男たちの知らない女>には男性の弱さみじめさを見てしまった気分。全体的に切り口や視点のとり方が見事だけれど、SFへの耐性がないと読みづらい作品が多いと思う。

  • 『愛はさだめ、さだめは死』読みおわった。なんというか、いわゆる「サイケデリック」といった文章だなあ。だもんで何言ってるのかわからんというぶぶんも多々あるんだけど、おもしろいなあ。『たったひとつの冴えたやりかた』に対する期待感が高まった。


    『接続された女』のすさまじさ。『最後の午後に』も余韻がよかったなあ。全体的に、性別に関してのとんがったテーマと文章とのアンバランスさがなんだかとてもよい感じ。すごいぜ。

  • 淡々としているのに、切りこまれるように残酷。

  • SF短編12篇。

    サイバーパンクな「接続された女」、カフカの“虫”に通じる「愛はさだめ、さだめは死」、宇宙開拓地のカタストロフィな「最後の午後に」。

    そのほかの短編も含めどこか悲劇的で物哀しいのは、どれだけ科学が進んでも人間は満たされないからなのかもしれない。

  • SF。短編集。
    全体的に分かりずらい印象。
    「エイン博士の最後の飛行」「接続された女」「男たちの知らない女」「愛はさだめ、さだめは死」は、期待を裏切らない良作。☆3.5。

    「すべての種類のイエス」
    エイリアンと人間の交流。ヒッピー?人間のほうが少し変わった人たち、という設定が面白い。
    「そしてわたしは失われた道をたどり、この場所を見いだした」
    冒険ものはワクワクする。
    「エイン博士の最後の飛行」
    ネビュラ賞の最終候補作に残ったらしい作品。一読では理解できず悔しかったので、webで調べてから読み返し。凄い作品でした。静かな文体が逆に怖い。
    「接続された女」
    サイバーパンク。ギブスンよりも分かりやすい。
    「恐竜の鼻は夜ひらく」
    タイムスリップ・ユーモアSF。こんなのも書けるのか…多才。
    「男たちの知らない女」
    SFでありながらも、サバイバルものとしても、性別に関する作品としても秀逸。
    「愛はさだめ、さだめは死」
    人間が登場しない作品。インパクトは抜群。そして、なぜか感動的。

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