グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 263
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150315559

感想・レビュー・書評

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  • 女子高生の夏紀と大学生の登志夫(年齢は夏紀と同じ)は異なる宇宙(並行世界)にいる。土浦に到着する飛行船グラーフ・ツェッペリンを介して出会う。この二人は量子の性質である情報のあるなしが同時に存在しているのと同様な存在である。この二人の関係は恋人になるものではなく、恋人でもあり兄弟でもあり本人でもあるような量子的存在だ。だからこそ、ラストに向かう現象は、シュレディンガーの猫のように観測されるまでは状況が確定しないことになる。量子の振る舞いを17歳の男女として表現したところが、あやふやな立場と相まってより揺れる心の不安定さが伝わってくる。さくっと読めて面白かった。

  • ⚠️少しネタバレあります。

    140あたりと315辺りの展開は好き、加えてその時の夏紀の感情についての描写は、難しく書かれながらもどことなく共感できるものがあり本に夢中になれた。

    話の内容は中々難しかったし、もう少し恋愛要素が欲しかったのも確かだが、個人的には後半の時間と情報の関係性、その情報の集まりとも言える時を進む或いは後退する時の描写がとても好きだった。

  • 星2.5
    だらだら感があり、ストーリーに起伏がなかった。いや、夏紀と登志夫が結びついたところから「来るか!?」と思ったけど、そこからはなんだか観念的な世界に飛んでいってしまった。夏紀の最後の行動もあまりに唐突で、よくわからなかった。

  • 最後9分の1までは丁寧に綴られていた二人の思考や身の回りの出来事や人間たち、なんか意味あったんだろうか。
    君の名は。にも言えることだが、この少年少女二人がお互いを強く思い合うようになる理由(過程?)よくわかんないよな。色々過程があってお互いのことを知っていくうちに思い合うようになるより、理由はわからないけどすごい愛おしい!みたいなほうがロマンチックなんですかね。
    量子力学の知識あったらもっと楽しめたのかな。ストーリー仕立ての量子力学解説本のストーリー部分がこれだったら面白そう

  • まさかの、茨城県土浦SF。
    のっけから、知った地名がバンバン出て来てビビったが、著者がここの出身らしい。

    表紙の感じから、「君の名は」かよと思ってしまったが、まあ、そんな感じかもしれない。

    今、日本のSFってこんな感じなの?
    科学の最先端ワンアイデアと、設定がそのまま構成になって作品になるみたいな。
    ちょっと甘酸っぱい青春の、なんつか、高校文学部的な。

    あとは作者の文章家としての技能と、編集者の腕?

    結果として思ったより悪くないと思ったのも事実だが、最悪なのが、おそらく、作品のキモになる幻想的な展開と、量子論の裸の説明。

    ここがもっと上手く処理出来ていれば、もっと素直に楽しめたような気がする。

    一番気になったのは、「竜ヶ崎」だなあ。
    地名としては正確には「龍ケ崎」なので、土浦市民からしてもそんなものかとちょっとショック。

  • Boy meets girl のお話かと思ったのですが、ちょっと違った?

    ここからネタバレ

    平行世界の夏樹と登志夫が 君の名は みたいに恋人同士に
    なるのかと思ったけど、まさかの同一人物、からの融合?からの夏樹自爆?

    最後、ツェッペリンを追いかけていくくだりが、理解不能。
    夏樹は電子のふるまいを操れる異能力者だったの?
    一つの世界のために、一つの世界を失くすという
    BAD ENDにしかできなかったのかなあ?

  • ふわっとした並行宇宙SF。でも、堅苦しい話は出てこないので、ささっと読むのにいい。四畳半神話大系のようなコミカルなところはない。恋愛色も薄い。
    最後は悲恋ぽく終わったのが意外だった。
    途中に少女のエッというエピソードもある。

  • 913-T
    文庫

  • 宇宙開発が進むがITインフラは未成熟な世界を生きる夏紀。宇宙開発は未熟だが光量子コンピュータが実用化される世界を生きる登志夫。幼いころグラーフ・ツェッペリン号を共に見たという記憶を持つ二人のボーイミーツガール/vice versa的青春物語。二人が生きるのは並行宇宙かあるいはメタバース世界の一つなのか。お互いの視点が入れ替わりながら謎に迫る展開に頁をめくる手が止まりませんでした。物理学を基盤とする時間や空間や存在に関する考察が興味深い。二人の世界がどうであったかは、読み手によって解釈が変わるでしょうね。素敵な作品でした。

  • 夏にぴったりの青春SF小説。
    夏紀と登志夫の世界は並行世界だったのかな。
    誕生日が同じで父母も同じ。でも、少し違う世界。
    最後の方で少し難しくなって物語に上手くついていけてない気がしますが、夏紀はグラーフ・ツェッペリンを落とさないことで登志夫の世界を優先させたのかな。
    ちょっぴりほろ苦い結末でした。

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著者プロフィール

1966年茨城県生まれ。茨城大学卒業。
お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。
1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』でデビュー。著書に『アイオーン』、『赤い星』など。編書に『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社)がある。2012年、『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩賞を受賞。ほかの著書に『翼竜館の宝石商人』などがある。

「2022年 『大天使はミモザの香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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