ファイアフォックス (ハヤカワ文庫 NV 428)

  • 早川書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150404284

感想・レビュー・書評

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  • ひとりクレイグ・トーマス祭り開催中。2作目は映画にもなった本作。制空権の均衡を揺るがすソ連の最新鋭機を米国スパイが盗み出すという荒唐無稽に思えるこの作品は、1976年に実際におきたソ連将校による函館空港へのMIG-25での亡命事件が元になっているのは間違いない。MIG-25は当時日本には配備されていないF-15とそっくりの機体だし、簡単に日本領域に侵入されてしまったのもあり子供心にびっくりした記憶があります。
    その機体を盗み出すのはベトナム戦争でPTSDを患いつつもパイロットとしては自他ともに優秀と認めるいささか中二病的な主人公。昔読んだ時にはピンと来なかったのですが、この歳になって読むとなかなかにグッとくるものがあります。自己中心的で中二病の主人公ですが神経をすり減らす逃避行はリアルであり、ちょっとねじれた主人公の説得力のある心理状況を描くのは著者の特徴でもあるように感じます。映画ももう一回見てみようかな。 

  • 面白いよ!映画も良かったけどね!

  • 前半の潜入から戦闘機奪取までの話と、奪取後の逃走の話の色合いが結構違っていて、ふたつの別々な話を読んでいた印象が少し。
    どちらかというと前半の方が好みかな。
    後半、主人公以外の視点が多くなるところが、テンポを悪くしている印象。
    時間をおいて出た続編はどんな感じかな。

  • ソ連の新型戦闘機をアメリカ人パイロットが盗んで逃げる話。そんな単純な話なのに滅法面白い。ソ連に侵入し戦闘機に乗り込むまで、SISやCIA、そして多くのロシア人協力者が綿密に計画を実行し、パイロットを送り届ける。特に死を覚悟して協力するロシア人たちの静かだが熱い闘志が胸を打つ。そしてパイロットが戦闘機を奪ってからの逃避行もまたハラハラドキドキで、前半で何かと情けなかった男とは別人ぶりだ。戦闘機に途中給油するための作戦には度肝を抜かれる。面白かったー。

  • クレイグ・トーマス初期の作品。1986年の執筆だが30年以上たった現在でも全然陳腐化してないことに驚かされる。1976年函館にベレンコ中尉がMIG25で亡命してきた際にソ連の最新鋭機が飛来とマスコミも浮足だったが、機体を調査されるとチタン合金ではなくステンレス製あったり、アビオニクスにも真空管を使用しているなど肩透かしだったのと報道されたが、初めてみる垂直双尾翼の流線形の機体は当時中学生の目には衝撃的であった。また、海面近くを飛来されるとレーダーに映らないなど防空の盲点が明らかになるなど安全保障の課題も同時に明らかになったことを記憶している。さて、本作品は冷戦真っ只中のソ連でMIG25とは比較にならない高性能のマルチロール機が開発され西側の技術では凌駕はおろか、追いつくこともままならない性能であることがスパイからの報告で明らかなった。ソ連内部にアセットを持つイギリスの諜報機関がソ連の共産党書記長の御前飛行の目前に機体もろとも奪取する奇想天外の作戦を実行に移す。東西の軍事バランスをも崩しかねない高性能機を奪取するプロットだけでもワクワクする題材であるが、クレイグ・トーマスはストーリーに幾つもリアリティを付与することでソ連への進入、御前飛行の舞台となったビリアルスクへの行程を手に汗握る展開とすることに成功している。そして、空軍基地への進入、パイロットとのすり替わりと次々と続くハラハラドキドキは読者を引き込み話さない。そして、MIG31はガントの手により空間へ放たれる。取られたソ連も黙ってはいない。本作品の1/3を占める脱出行も非常に読み応えのあるものとなっている。

  • 1977年の刊行、2013年にハヤカワ文庫は文庫書籍の寸法では一番大きなトールサイズに変更の折に、実に36年ぶりの復刊となった。作者のグレイグ・トーマスは1976年、日本で起きたミグ25戦闘機による「ベレンコ中尉亡命事件」にヒントを得て、この小説を一気に書き上げたというスパイアクション小説。
    冷戦のさなか、西側陣営の軍事バランスを大きく覆す超高性能戦闘機ミグ31「ファイアフォックス」の脅威を知ったイギリス、アメリカの諜報機関は共同でこの新型機の<略奪>を計画する。
    ベトナム戦争において心に深い傷を負うも、敵対するソビエト製戦闘機に精通する知識と卓越した操縦技術を持つパイロットのガンツ少佐をソビエト国内の戦闘機実験場へ潜入させる西側諜報部員を交えたスパイアクションの前半部、ファイアフォックスの略奪に成功し同機を操ってソ連領からの脱出を巡り、ソビエト軍の攻撃と追撃してきた2号機による空中戦を描く航空戦闘アクションをクライマックスに置く構成は後のトム・クランシーらの国際軍事アクション作品に大きく影響を及ぼし、1982年、クリント・イーストウッド主演で『ファイヤーフォックス』として映画化された。
    それにしても冷戦下のソビエトはベレンコ中尉がミグ25「フォックスバット」で日本へ逃げられるわ、元米空軍パイロットのミッテェル・ガントにミグ31「ファイアフォックス」は盗まれるわ、亡命目的の手土産にミラウス艦長に最新鋭タイフーン級戦略原子力潜水艦「クルスヌイ・オクチャブリ(レッドオクトーバー)」は持って行かれちゃうわで、もう、可哀そう過ぎる。

  • 古い。
    映画見てなんとなく内容知っている。
    読んでいて、なんかこう臨場感がない。

    とにかくネタが古過ぎるの一言。
    30年前に読んでいたら面白かったのかもしれん。

  • かなり昔に、クリント・イーストウッド主演で映画化された。
    実際にミグ31はその後開発されたが、「フォックスハウンド」と言う西側呼称で、機体もミグ25の改良版だったりする・・・

  • 危機また危機の連続で休む暇を与えてくれない。アクションファンなら必読。

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