- Amazon.co.jp ・本 (501ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150411800
作品紹介・あらすじ
ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と、周到にして大胆な計画-冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作。
感想・レビュー・書評
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200ページあたりから一気に話が加速してきて読むことをやめられない。
先が気になって、寝る間も惜しんで食事もしないで一気に読んでもうた。
めちゃおもしろかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
青空のなかに、ほどほどの大きさのジェット機とその下に影のように張り付いた小さな戦闘機……このカバー絵がカッコイイ。
垂直離着陸でかつ長時間飛行も可能、かつ攻撃能力やレーター設備も充実した開発中の戦闘攻撃機を使って、右肩上がりの資本主義の象徴ともいえるボーイング747ジャンボジェットの真後ろから攻撃態勢を取り、身代金を要求する……この大胆不敵な作戦の行く末が、この本の見どころ。
作者の航空機運航の描写は結構マニアック。
緊張感の中での、管制官、犯人、747機長のやりとりはプロとして起立している、半面、政治家たち、将軍たち、ファーストクラスの乗客やマスコミたちの様子が、より滑稽に映る。
ベトナム戦争を描くと結構重い題材となるところ、場面ごとに古いアメリカのホームドラマをパロっているような「オチャラケ」要素が盛り込まれているところも、万人受けの理由ともいえる(ありえない~ってツッコミもまた楽しい)。
ベトナム戦争は、1973年にアメリカ軍の撤退、1975年に南ベトナムのサイゴンが陥落し終結した。
この本は1977年に刊行され、従来のミステリーとはひと味違う「冒険小説」として世に認められる1作となった。 -
最初は読みづらかったが、後半一気読みでした。
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第72回アワヒニビブリオバトル「【復路】お正月だよ!ビブリオバトル」第6ゲームで紹介された本です。
2021.01.03 -
40年ぶりの再読。ブックオフで偶然に見つけ、初読のときの面白さを思い出し購入。古さを全く感じない超一級のエンタメ本でした。
ロス出発のジャンボ機が最新鋭爆撃機に追跡され、ミサイルの標的に。200人の生命と引き換えに犯人が要求したのは2千万ドル相当の金塊。犯人は10トンもある金塊をどうやって運ぶのか?本書は犯人が爆撃機を盗むところから始まり、ドキュメンタリー風のリアリティで物語は展開。なるほど、こう来たかという快感が味わえます。
77年度文春ベストミステリー第1位。冒険小説の歴史的傑作。未読の方は是非! -
傑作冒険小説の誉が高い,ということのようだが,噂に違わぬ面白さ.ほぼ一気読み.
ボーイング747がハイジャックされるのだが,その方法が奇想天外である.しかし,緻密に計画されており「そりゃないわ」という感は一切ない.
ページを繰る手が止まりません.
日本で高評価を得たのとは異なり,残念ながらアメリカでは一切話題にならなかったようで,そのため,作者はこの本1冊のみを出版し,その8年後には早逝してしまう.そう思いながら読む謝辞は泣けてくる. -
これは会心の一作!
海外エンタメ小説の名作といわれるだけあって、文句なしに面白かった!
ベトナム戦争下、出動命令が下された、戦争や自身の在り方に疑問を持つ戦闘機パイロットのグラント。同じころ中国で造船所を営むフォンの元には、ハロルド・デントナ―と名乗るミステリ作家が現れ、船を一隻注文するのだが……
裏表紙にある内容紹介で、二人の目的というのはすでにネタバレされているのですが、それでもこの二人が大胆不敵な犯罪計画の準備を進めていく様子は面白い。それを支えるのは、作中のリアリティにあると思います。
グラント、デントナ―、それぞれの行動は一見荒唐無稽と思われるものの、詳細な部分や情報もしっかりと描かれており、物語に迫真性を持たせます。その迫真性と詳細さが、中盤から描かれる大胆不敵かつ、壮大なスケールの犯罪にも説得性と緊張感を与える。
ますます話は荒唐無稽になりながらも、それを絵空事と感じさせない緊迫感が続き、気づけば物語のとりこになってしまう。ホワイトハウス、国防総省、FBI、マスコミ、それぞれを翻弄し手玉に取りながら、計画が華麗に遂行されていく様子はとにかく痛快。
一方で犯人がどのように目的を達するのか、終盤まで見えてこない部分であったり、意外な展開もありド派手なエンタメとしてだけでなく、ミステリとしても十二分に面白い。
完全犯罪ものだと、天童真の『大誘拐』、岡島二人の『99%の誘拐』(どっちも誘拐ものだ)や、映画だと『オーシャンズ11』『グランド・イリュージョン』あたりが思い浮かぶ。
こうした作品って犯罪の経過だけでなく犯人側である登場人物も魅力的だと思う。この作品も犯人側の視点の面白さはもちろん(犯人と政治家のやり取りは痛快の一言!)、犯人と交渉にあたる人たちの緊迫感や、彼らのプロフェショナルな部分も、作品の魅力と言えそう。
作者のルシアン・ハイネムはかなり多彩な人だったらしく、6各語を操る新聞記者でありパイロットの資格も持っていたそう。飛行機や戦闘機に関する知識。軍やベトナム戦争に関するところのリアリティ。そして戦争や権力者に対する皮肉な視点というのは、こうした経歴も関係しているのだと思われる。
そのいずれもが、物語に有機的に結びつき一切の無駄なく、エンタメに仕上げられているのが、本当に見事という他ない。これ一作しか作品は発表していないそうで、それが惜しまれます。
解説によるとこの『シャドー81』がいきなり新潮社から文庫で出版され、それがヒットしたことで海外作品の文庫出版が一気に盛んになったそう。そんな出版社の犯罪戦略すら変えてしまう、それだけの力を持つこともうなずける、40年前以上の作品とは思えない、今でも色あせない名作でした。 -
『#シャドー81』
ほぼ日書評 Day368
文庫本とはいえ500頁の長編のため、流石に一気読みとは行かなかったが、久しぶりに続きがどうなるのか気になって仕方のない一冊だった。
1970年台の本のため、犯人追尾や探索に今日と比べると色々と技術的な制約は多いとはいえ、よくもこれだけの仕掛けやトリックを考えつくな、しかもそれがわざとらしくなく、きわめて自然に展開されるのだ。
ミステリものはネタバレ厳禁なので、Amazonの紹介文を貼っておく。
ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と、周到にして大胆な計画―冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作。
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約480頁の作品の前半200頁は、いらない。
無駄に長い。後半だけで充分に面白い。
冒険小説のジャンルだけど、これはブラックユーモア小説だよな。