- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150413330
感想・レビュー・書評
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チャーリーのIQが低いときは知能遅滞だが優しく好ましい青年として描き、手術後は高慢で不遜で自意識過剰な嫌な人間として描くのどうなんだ?と思わなくもない。
結局平均的なIQを持つ人間によるポルノ小説なんじゃないかという視点は必要だと思う。
知的障害を持つ人間すべてが優しく心根がいいわけではないに決まっているし(平均IQの人間が皆そうでないのと同様)、それが全人類において共通認識として持たれるべき。まだ世間はそのフェーズでもないのに知的障害=のろまだが優しい、みたいなキャラをこんなに広めてもよかったのだろうかと思う。
ぼんやりしたメッセージとして「知的が低くても心がやさしければいい」みたいな内容として受け止められてしまったのが納得いかないんよな。別に心が優しくなくてもええやん。
特に日本においてはもっと性格悪い障害者キャラがメジャーになってほしいな。先鋒を走ってるのは乙武さんだと思っていて、私は彼が不倫したとしきも品行方正な障害者というステレオタイプを破壊するためなんじゃないかと邪推しており嫌いになれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いやー、大傑作ですな。とにかく長いなーとはおもいつ、こんなに面白いSFは初めて。
句読点からの、急激な成長は凄い。
実際の成長もこんな風に、ある一点からいきなりる
グーンと伸びるんだろうなぁ。 -
中学か高校の時ぶりに読み返しました。私が最も好きな本の中の一冊です。
知的に障害のある主人公チャーリーが現代科学により圧倒的な知性を得、またそれを失っていく過程で、人間関係や愛、喜びなど様々や感情について気づいていく物語です。
この本の第一の特徴はその叙述方法にあると思います。主人公の日記を媒介として、主人公の言語力の稚拙さとその成長をうまく表現しています。あとがきにもありますが、これを翻訳するのは大変だったでしょう。
私が障害(とくに知的障害)に興味を持つようになったのは、この本がきっかけだったことを思い出しました。そして、今考えてみるとチャーリーと同じような人生を歩んできたように思います。
(以下自分語り)
私は小学校、中学校と勉強をほとんどせずゲームやアニメばかりに熱中していました。そのため学校での成績は低く、周りに馬鹿にされて生活していました。しかし、思い返すと、そんないじられていた頃の生活は、みんなに愛してもらっていた気がします。
高校に入り急に勉強に目覚めました。世間一般に言う難関大学に合格することができました。しかし、この頃から自分の中にプライドと他者を下に見るクセが生まれ始めました。「自分は頭が良い、自分が一番だ」といった考えが先行してしまい他者への思いやりが欠けてしまっている気がします。
この本の中でもチャーリーは知性が高まるにつれて自分より頭が良くない人を下に見てしまうという表現があります。彼にそんな自分を重ねる中で、そんな自分の性格に嫌悪を抱くと同時に治したいと思いました。
自分のことばかりではなく、他者のことを、そしてその他者とのつながりを大事にして生きていきたいと思います。
知性を失うその瞬間まで、唯一無二の友人であったアルジャーノンの墓に花束を添えたいと思うチャーリーのように、周りの人を大切にしたいです。 -
知性と愛情について。特に愛情とは、について考えさせられた本。母親やその家族が幼少期の主人公チャーリーへ与えた恐怖と愛情の枯渇がいつまでもチャーリーを支配し続ける。私自分もチャーリーであり、またその母親なのかもしれない。
『金や物を与える人間は大勢いますが、時間と愛情を与える人間は数少ないのです。』
この一文は非常に響いた。子育てをする身として、常に心に留めておきたい。 -
書店で文庫本になっているのをみつけ気になり
本棚の奥からひっぱり出してみた
あのピンクの花束の表紙を
初めて読んだのは三十数年前 高校生のとき
きっかけは勿論 氷室京介
ひらがなだらけから 漢字だらけになっていくのは 英語ではどうやって表現するのか気になったよなぁ 英語版も読んだんだっけ? -
チャーリーと同い年の知的障がいを持つ妹がいる。もし妹が彼と同じように手術を受けて知能が上がったら、妹は幸せなのかな?と考える。30数年かけて育んでいくものをチャーリーと同じように数日、数ヶ月という短い時間で自分の身にしていくことはどんな気持ちなのだろうと考える。もしかしたら妹は知能が上がることなんて望んでいないかもしれない。もしかしたら今のままの方が幸せなのかもしれない。いろいろ考えさせられました。
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チャーリーは幸せだったのかな。読み進めるほどに辛くなっていったわたしの心を最後の経過報告が救ってくれた気がした。
「ぼくの家族のことやぼくのことがよくわかたのもうれしいです。」
「いまわ家族があることがわかっているしぼくもみんなみたいな人間だとわかっているのです。」
この文章がわたしの心を救ってくれたし、チャーリーも救われたのだと思えた(思いたい、でもある)。チャーリーがこの気づきまでもを忘れることがないといいなあ…。
パン屋に戻り、いじわるをしてきたクラウスにもう一度機会を与えてくれとチャーリーが願う描写がとても好きだった。他人を許せる強さと優しさ、高い知能よりなにより素晴らしいものを彼は持っている。
最後の一文を読み終えたとき、チャーリーの純粋な他者への優しさと思いやりに胸がいっぱいになって、タイトルが読む前の何倍も深く、素晴らしいものに感じられて。この一文に抱いた感動を忘れたくないな。 -
名作と言われる所以がわかった。はじめは読みづらいが、徐々に読みやすくなってくる。
チャーリーが前半から半ばにかけて天才になっていくが、天才になっても悩みを抱えていたことから、人間誰しも悩みを抱えていると改めて気づいた。特に、恋愛系の悩みは難しい。
また、ニーマ教授が見栄っ張りで「巨人の群れの中の竹馬」と評されていたが、まさに自分にも当てはまると思った。
そして、最後のアルジャーノンのおはかにはなたばをそなえてやってくださいという部分にチャーリーの優しさが現れており、非常に心を動かされた。この作品では、知能の高さがあるだけでは何の意味もなく、愛情や道徳心が重要だと伝えているのではないか。
海外文学入門書としておすすめ。また、人を見下してしまう人も読むべき作品。 -
かなり前に読み終わったのに最後のシーンが未だに忘れられない
表現の仕方も、ストーリーも、私の忘れられない小説のうちのひとつ