デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方 (ハヤカワ文庫 NF 573)

  • 早川書房
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505738

作品紹介・あらすじ

1600人が参加した実験が、スマホとの最適な距離を導いた! アルゴリズムに操られる現代人のための、真の「新しい生活様式」。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の実践から導き出した教訓に加えてソローなどの哲学者や大学における研究を複数引用している。

    そのため他のミニマリズム本よりも読了後の納得度が高い。

    その分情報量は多いので薄い本を読んでデジタルミニマリズムに興味を持ったら読んでみる方が良いと思います。

    「オンラインの活動が悪い訳ではなく、オンラインの活動が増えると必然的により幸福感を得ることができるオフラインの活動が減る。」
    「だからこそSNSに代表されるようなテクノロジーとの付き合い方を具体的な指標と数字を設定して明確にし、生まれた時間で主にオフラインで行う質の高い余暇を行うべき。」
    という話が面白かったです。

    ちなみにインスタを良く見る人は下記をお勧めします。
    ・アプリをホーム画面から取り除く
    ・フォロー人数をダンパー数まで減らす
    ※ダンパー数=人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の認知的な上限。およそ150人。
    ・積極的に日常を知りたいと思わない人のストーリーをミュートに設定する
    ※ストーリーはユーザーの投稿量及びインスタ閲覧時間を増やすために開発された機能

  • 本書の要旨は、はじめにある 現代のハイテクな世界で生き延びるために必要なのはテクノロジーを使う時間を大幅に減らすことだ

  • 非常に難しい本。

    とりあえず推薦されたデジタル片付けから実施し、物質的な高い趣味を見つけることから始めなければ。

    具体例などもあってわかりやすいが、混乱してしまう部分もあるため速読を3回繰り返すのをオススメ。

  • スマホは手放さなければならない、SNSは止めなければならない、と言っているのではなく、冷却期間を設け自分にとって本当に必要なスマホの機能は何なのか、本当に必要な人とはSNSで常につながっていなければいけないのか、を著者は問いかける。

    その為の演習として、孤独を愛する事、対面の会話を取り戻す事、アナログな趣味を持つ事、アプリでSNSを開かない事等を挙げている。

    コロナ禍の今、スマホ・SNSの、ハードソフト両面での機能性利便性が重要視されているが、全面的に否定するのではない、節度を持った付き合い方を提唱する著者の考えに好感を持った。

    パルネット 本と珈琲 ベルマージュ堺にて購入。

  • デジタル・ミニマリストというとデジタル技術を全く使わないで暮らしていくことなのか。

    そうではなく、自ら目的を持ってデジタル技術とほどよい距離感で暮らしていくための手段や実践例などが書いてあります。

    私もデジタル技術を全く使わないで暮らしていくことは難しいですが、使い過ぎてしまってもう少しデジタルから距離をとりたいなと思うことがあります。

    デジタルを使わない時間、離れる時間をどのように活用していくのか、その方法も記述されています。デジタル技術で多くのことが知ることができる今だからこそ読む価値のある本だと感じました。

    時間を空けて何周か読んでみたいです。

  • スマホを持つのをやめようとかSNSアプリをアンインストールしようとは思っていないのだが、意味もなく見過ぎなのでは?いらない情報を摂取しすぎなのでは?という疑念がいよいよ募ってきていたので読んでみた。

    誰かの考えや感情に触れ続けていることが疲れの元になること、余暇に充実感を得るには自分の手を使う趣味が良いこと、この2点がはっきりがわかったのがよかった。ニュースをどうやって得るかに関していえば、いよいよ新聞を取るのを再開しようかという気持ちに。平日の昼休み、スマホはチェックしたくないが本を読むほど落ち着いてもいない。この時間帯で新聞をざっと読んでおけば、夜になんとなくPCをつけるのをやめられる気がする。

  •  読んでよかったと思いました。
     長いお休みの期間、なかなか外に出歩くこともできず、何かしてやろうという去年とは打って変わって今年はだらだら過ごしてしまいました。
     ついついスマホ、パソコン、テレビと3つを行き来する生活の中でふと「あれ、今日何したっけ?」となっていた矢先予約したこの本が届きすぐ読み始めました。

     現在30日間の休止中です。毎日むしろとても忙しく感じています。余暇活動も目標を決めたところです。
     スマホをしていたときは、スマホを触っていたいと言うよりはやりたくないことを後回しにするための時間稼ぎといった一番よくない使用の仕方だったと思います。

     スマホ、パソコンをこちらが扱う側ということを忘れずに、必要なときにのみ活用できるよう考えながら使用する意識を忘れないようにしたいです。
     もう本当に必要でないSNSアプリは入れないとここに宣言しておきます。いいねしない!

     以後したいこと
     ・ノートを買ってタイトルをつけ自分の考えをまとめる(自分への手紙)
     ・年に3回目標戦略習慣をたてて決行する。
     ・素敵な場所を探し、お散歩を定期的にする。
     ・自分の行きつけの店など人と会える場所を探す
     ・手を動かす自分の好きな余暇を見つける
     ・新しくできることを増やす

    p112・禁止するテクノロジーと関連する運用規定のリストが完成したら紙に書き出し、毎日必ず目にする場所に貼っておく。リセット期間中にやっていいこと、いけないことを明確に線引きしておくことが成功のカギとなる。

    p177私にとって散歩は、自分と対話する最良の時間になっているのだから。〜できれば景色の良い綺麗な場所が良い。そして、そういった散歩には一人きりで行こう。〜可能なら携帯電話も置いていくことだ。

    p184困難や不安に直面したら、自分に宛てて手紙を書く時間を作ってみよう。

    p233「以下要約」
       会話の営業時間を設ける
       新聞や面白い本を抱えてお気に入りのカフェに出向く。
       お気に入りのバーのハッピーアワーを自分の営業時間とする。
       毎日の散歩時間を決めて行う。
       毎日電話の時間を決める。

  • タイトルにミニマリストって書いてあるとつい読んじゃう。「スマホを手放してネットから離れよう」みたいな説教くさい本だったら嫌だなと思ったんだけど、「スマホやアプリなどの便利なツールを戦略的に使おう」って内容なのが良かった。

    本当に自分がやりたいこと・質の高い生活や趣味を楽しむために、SNSの使用を止めるか、時間を制限しようというのが筆者の主張。確かに、当初は映画や本の情報・ニュースを追うためにチェックしていたSNSを見る時間が増えて、最近は逆に映画や読書の時間が削られていることには薄々気付いていた。

    自分も隙があれば何か面白い情報が無いかとスマホを触っていることがあって、本で紹介される「スマホはスロットマシンと同じ」という言葉に共感しかない。良いスピーカーも買ったことだし、スマホをだらだら見る時間を減らして、良質なエンタメを摂取しよう。

  • とても面白かったです。デジタル(スマホ)依存が高くなることは、人間にとって様々な意味で悪い影響を与える、ということで、科学的な研究だけでなく実体験も盛り込まれていて説得力がありました。デジタル技術に警鐘を鳴らすこの手の本の代表格と言えば、シェリー・タークルの『つながっているのに孤独』、ニコラス・カーの『オートメーション・バカ』、あるいはジャロン・ラニアーの『今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由』などがありますが、これらの本以上に、きわめて実践的な内容となっていました。つまり、実際に「デジタル・ミニマリスト」になるためのステップや方法論が具体的に書かれているのが大きな特色です。

    本書がきわめて現実的なのは、デジタル技術を100%否定しているわけではなく、良いところは活用しつつ、使い過ぎないようにせよ、というメッセージだからでしょう。お酒と一緒です。赤ワインは少量なら体に良いと言われますが、飲み過ぎれば体を壊すからです。

    本書で印象に残った記述のひとつが、「孤立」と「孤独」の違いです。困ったときに頼れる人が周りにいないのが孤立で、これは完全に良くないことですが、孤独は必ずしも悪ではなく、むしろ歴史上の偉人は意図的に「孤独」の状態を作り出したことで、質の高い創作活動や意思決定ができたのだという主張です。そしてスマホ(のなかでも特にSNS)にかじりついているような生活をしていると、自分の孤独の時間はほとんど失われ、その結果思考力にマイナスの影響を及ぼすだけでなく、他者との関係性についてのストレス、プレッシャーを増やしていくという悪影響を及ぼすわけです。

    もう1つ印象に残ったのが、「接続(コネクション)」と「会話(カンバセーション)」の違いです。本書では、テキストメッセージの送受信や、フェイスブックでの「いいね」ボタンを押している行為は、会話ではなく単なる接続だということになります。それに対して、対面での会話、電話、あるいはZOOMなどのツールを使うことは会話になります。そして接続は、簡易だが中身がないという意味で、コミュニケーション領域におけるファーストフード(あるいはジャンクフード)であるということで、我々は食事面だけでなく、コミュニケーション面でもジャンクフードの依存度が高まっていることになります。

    テクノロジーへの過度の依存は人間を退化させます。エレベーター、エスカレーターばかり使っていれば筋力が衰えるのと一緒で、スマホ、AIなどのデジタル技術への過度の依存は、我々の脳機能(思考力、創造力)を衰えさせることになるでしょう。おそらく近い未来の健康診断では脳機能も診断されて、「AIばかりに依存していると思考力が衰えますから、たまには自分で考えて自分で行動してみてください」と医者からアドバイスされるような世界が来るのではないでしょうか。本書は色々な気づきが得られる本でした。

  • スマホ批判の類の本は嫌いだった。スマホをいじること自体を否定することは、最近の若者はという枕詞をつけた悪口と同じだ。仕事の連絡や知らない土地での道の検索など必要に迫られる場面は多々ある。また、SNSを活用して人脈を広げる人もいる。最近の若者でもゆとり教育に毒されていない人が多くいることと同様に。そのような有効な活用方法を一切合切考慮に入れず全て否定する姿勢は好まない。この本も同様の論調で私の気分を害してくるのだろうと思った。しかし、違った。味噌であるのはタイトルにあるミニマリストというワードだ。デトックスではない。必要最小限にとどめる、必要最小限は使用を認めている。最もわかりやすい解説は収穫逓減の話であった。経済学部で限界効用逓減の法則を学んだ。林檎をいくつも食べる時、追加で食べた1つの林檎によって得られる満足感は減っていく。スマホもそうだ。その日初めて画面を開いてスマホをいじる最初の10分間は新しい連絡やニュースなど得られるものは多い。しかし次の10分、さらにその次の10分はどんどん新鮮なものはなくなり、次第にスマホをいじるという行為は生産性のないものになる。このように筆者はスマホを全否定することなく適度な使用を提案している。さらに、この本の後半にはスマホをいじらない生活を今すぐ開始したくなるような内容がふんだんに詰め込まれている。スマホによって生活の質が低下していると感じている人は読む価値があると思う。しかし、特に面白くはない。

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