- Amazon.co.jp ・本 (513ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150701512
作品紹介・あらすじ
不幸な過去を抱えた家で起きる毒殺事件。エラリイを苦しめる、錯綜した謎と過去の呪縛
感想・レビュー・書評
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ライツヴィルシリーズの第一弾。クイーンの恋愛絡みエピソードはあるあるなのか?ちょっと冗長感。容疑者を取り囲む群衆の様子などリアルで今もネット上では同様だと思う。『十日間〜』がよりロジカルで好みだが悲劇ドラマとしては読み応えあった。
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ライツヴィルの町で一時期逗留するために不動産屋を訪れた推理小説作家のエラリィ・クィーン。彼は旧家の屋敷の隣の家を紹介される。しかしその家は、新居になる予定だった二人の結婚式直前に花婿が失踪し、貸家となってからも内覧に来た男性が急死したことから、『災厄の家』と呼ばれるいわくつきの家だった。
いわれを気にせず住み始めたエラリィだが、失踪した花婿のジムが三年ぶりに戻ってきて婚約者だったノーラと無事に式を挙げたことから、家は彼らに明け渡すことになる。
ジムとノーラ、二人の三年越しの結婚生活が始まったが、ノーラはジムの持ち物の中から自分の死を予言するかのような手紙を発見する。さらに、不穏な雰囲気の中開かれた大みそかのパーティでついに毒殺事件が。
エラリィは、ノーラの妹、パットとともに真相の究明に挑む。
クリスティーと同時期に活躍した本格ミステリの巨匠の作品。時代の雰囲気がクリスティーと共通するためか、安心して読むことができる。新訳なので文章も滑らかで読みやすい。
ただ、結婚式の日に自分を捨て、三年ぶりに戻ってきたあげく詳しいことを話すわけでもなく、いきなり結婚しよう、といわれても、果たして心情的に受け入れられるものなのだろうか。性格にもよるだろうが、自分なら考えられないなあ、と思ってしまい、ストーリーに入り込みにくくなってしまった。
また、推理力のない私でも早い段階から犯人とその動機を当てることができるほどだったので、犯人の意外性は少ないかもしれない。
主人公、エラリィ・クィーン氏は、女性が気を許しやすい当て馬的存在で、最後には紳士的に身を引く、といった役回りである。ポアロシリーズでいうヘイスティングズに近いが、探偵役でもあり、ヘイスティングズよりもモテキャラである。クリスティーの作品に登場する男性は、クリスティー好きの私から見ても一部を除き型にはまった人物が多く残念に思うことが多いのだが、エラリィはなかなか魅力的だ。
逆に、女性の登場人物はクリスティーに比べるとちょっと物足りなく感じる。
本書では、事件の中心となる次女のノーラ、エラリィと一緒に謎を解く三女のパット、若い頃に駆け落ちをして家族と疎遠になっている長女のローラがストーリーを引っ張っていくのだが、ローラの人物像が自分の中で最後までまとまらず、ぼんやりした印象になってしまった。これがクリスティーならもっと魅力的な人物になったのではないかという気がする。
エラリィ・クィーンシリーズは初読み。新訳が次々と刊行されているようなので、最初の印象だけで決めつけず、続けて読んでみようと思う。 -
エラリー クイーン作品のなかでも話の展開が大きくてスピード感がありリズムよく読める一冊だった。
トリック・犯人共に最後までわからなくて焦らしに焦らされた。なんとなく国名シリーズ内のエラリークイーンよりもアクティブな印象を受けた。ちょっと恋愛要素が強めだったのが意外。 -
「早川ミステリハンドブック」で新発見いっぱいのクラシックミステリであがっているので読んだ。クイーンは中学生の時にⅩとYを読んだきり。粛々と謎解きが進むといったような内容だったと思うが、それに比べこれはどうだ。シュールで騒々しく極彩色な面々と行動、それを覆う街。テリー・ギリアムの「ゼロの未来」の画面をなぜか思い浮かべてしまった。う~ん、名作だというがなじめなかったなあ。でも映画にしたらおもしろいかもと感じた。
ライツヴィルという小さな町を舞台にライト家の三姉妹がからむ。長女は離婚して町に戻ってきていて、二女ノーラは3年前の結婚式直前に新郎ジムが雲隠れ、裕福な親が用意した家は空き家になっていてそこに作家エラリー・クイーンが借家する、が突然ジムが帰ってきてめでたくノーラと結婚。クイーンは隣の母屋に間借りし直すが、ノーラは夫の蔵書の間から「妻を殺す・・」という3通の手紙をみつける。クイーンは三女パットとともに真相を追うが・・ そのうち夫ジムの姉だというローズマリーが新居にやってきて居座ってしまい・・ この姉、最初から姉じゃないだろうという気はするんだよなあ。
「災厄の街」CALAMITY TOWNという題名のように、街を襲ったライト家と街の人々の騒動。
1942発表
2014.12.15発行 2021.8.25第4刷 図書館 -
ライツヴィルの名士の家で起こった毒殺事件。夫が資産家の妻を殺そうとしたという実に単純な、しかし考えてみれば奇怪な事件にエラリイ・クイーンが挑むミステリ。
事件が起こって以降のライツヴィルが本当に嫌です。まあミステリではありがちなんですがこういう閉鎖的な村だとか町だとか。疎外されてしまうほうからすればたまったものじゃないなあ。そんな中でジムの無実を証明しようとするライト家の人々とエラリイ。とはいえ傍から見ればジムが犯人で全然おかしくない、むしろそれ以外にどんな真相があるというのか、と決めつけたくなる気持ちもわかりました。だからこそその事件の後で起こる悲劇と明かされる真相にはやりきれないものが。
わかってみれば手掛かりはいろいろあったのだけれど全然気づけなかった……登場人物のさまざまな発言の裏に隠された真実にも愕然。ものすごーくシンプルな謎だと思っていたけれど、これは解けません。完敗。 -
さすがは越前さん。
劇的に読みやすくなった!