ナイルに死す (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (581ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300158

作品紹介・あらすじ

美貌の資産家リネットと若き夫サイモンのハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。突然轟く一発の銃声。サイモンのかつての婚約者が銃を片手に二人をつけまわしていたのだ。嫉妬に狂っての凶行か?…だが事件は意外な展開を見せる。船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外きわまる真相とは。

感想・レビュー・書評

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  • ポアロシリーズで最長編、疲れた~。今回は序盤200頁まで何も起こらず。300頁で犯人予想。350頁で予想を変更したのが失敗。最初の予想が当たってた!悔し~い。超絶美人で金持ちのリネット。友人ジャクリーンと付き合うサイモン。リネットはジャクリーンからサイモンを略奪し結婚する。ナイル河のエジプトの船旅で拳銃殺人など3人が死亡する激しい展開。たまたま居合わせたポアロ、レイス大佐(再会が嬉しい)が犯人を追い詰める。今回は財産横取り、窃盗犯罪などのミスリードもありページ数に比例して犯人捜査を楽しめた。惜しかった!⑤

    • ポプラ並木さん
      ゆうママさん、こんにちは。
      そうなんです。ポアロは月1で読み友さんと読み合いっこしています。
      別サイトで明日同時UPして2人で感想会をし...
      ゆうママさん、こんにちは。
      そうなんです。ポアロは月1で読み友さんと読み合いっこしています。
      別サイトで明日同時UPして2人で感想会をしています。
      今回は残念でした。最初、妻に犯人予想伝えたら無言で、外れたかな?と思って変えてしまったら、残念な結果でした。今度は自信をもって犯人予想します!ポアロシリーズは完全制覇は再来年です。長丁場頑張っています。
      2022/02/19
    • 土瓶さん
      ポプラ並木さん。こんにちは。
      突然ですが一曲歌わせてください。
      ミステリー、ナッアッイルー♪
      映画「ナイル殺人事件」を思い出してしまい...
      ポプラ並木さん。こんにちは。
      突然ですが一曲歌わせてください。
      ミステリー、ナッアッイルー♪
      映画「ナイル殺人事件」を思い出してしまいましたw
      なんと当時は二本立てで、もう一本はルパン三世の初めての映画作品でマモーのやつでした。
      懐かしいな……。
      筋も犯人も思い出せないのに歌だけ覚えているなんて。
      ミステリー、ミステリー、ミステリー、ナッアッーイルッ!♪
      たいへん失礼しました^^
      2022/02/19
    • ポプラ並木さん
      土瓶さん、いつも「いいね」ありがとうございます。映画見ていないけど面白いらしいですね。その時の曲なのかな?
      今回の殺人事件の真相はなるほど...
      土瓶さん、いつも「いいね」ありがとうございます。映画見ていないけど面白いらしいですね。その時の曲なのかな?
      今回の殺人事件の真相はなるほど+さすがクリスティ!と思いました。
      ポアロシリーズ、まだまだ読みますよ!
      2022/02/19
  • ゆったりから加速するミステリ。

    舞台はナイル河をさかのぼる豪華客船。

    限られた場所、限られた人物で描かれる物語は文句なしに心を弾ませる。

    事件が起きるまではただ流れに身を任せゆったりと人間関係、人物像を楽しむ時間。

    そして一発の銃声から物語は一気に加速する。

    誰もの秘めた思惑、絡まる感情が物語を複雑に見せ、真相へと導いていく過程、一気に読ませる手腕はお見事。

    あの時のあの行動、言動、なるほど参りました!
    ポアロの考古学的な発掘に基づく真実の取り出し方も興味深い。

    燃え尽きた後を見るような読後感、ちょっとせつない。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      映画までには読みたいと思っている作品。
      ゆったりから一気にって感じかな、楽しみ♪
      今映画館は我慢中。
      こんにちは(^-^)/

      映画までには読みたいと思っている作品。
      ゆったりから一気にって感じかな、楽しみ♪
      今映画館は我慢中。
      2020/03/17
    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪

      そうそう、これは登場人物多くて事件が起こるまではゆっくり人物描写を楽しむ感じだよ♪
      映画で観た方がわかりやすくて楽...
      けいたん♪こんにちは♪

      そうそう、これは登場人物多くて事件が起こるまではゆっくり人物描写を楽しむ感じだよ♪
      映画で観た方がわかりやすくて楽しめそう♪
      映画館もどこも…コロナのせいで悔しいね(>_< )

      マスクも手に入らないし、毎日ドキドキ。早く終息すると良いね。
      けいたんも体調に気をつけてね♪
      2020/03/17
  • 大富豪の美人女性とその夫、元親友で恋人を奪われた女性のドロドロな愛憎劇で起こる殺人事件。
    そりゃ殺人もおきるよねって言うくらいのドロドロ具合なんだけど、事件はそんなに単純じゃなかった。
    登場人物が多いから殺人事件とは別の事件も起こったり、一癖二癖ある人が居たり。
    でも素敵な女性も複数いたので彼女達は幸せになって欲しいな。

    会話上に伏線があって、ポアロがちゃんと誰の言葉が怪しいか教えてくれてるけどやっぱり分からなかった。
    オリエント急行のようなクローズド・サークルでの殺人は、捕まらないという自信が無ければできないと思う。つまり犯人はとても頭が切れて有能。
    ポアロがいなかったら容疑者から外されていたはず。
    タイトルが「ナイルの殺人」では無いところがもの悲しいなぁ。

  • 最近ミステリーを読んでいなかったので熱が高まっていたことと、映画化されるということで読んだ。
    序盤からしばらく事件らしい事件は起こらず、登場人物のひとりがあわや落石に巻き込まれてもしばらく登場人物と旅行の描写が続く。このままエジプト紀行が続くのも悪くないかと思い始めたあたりで、唐突に資産家の女性が殺される。この緩急の付け方がまず小説としてお見事だと思う。

    彼女に好いていた男をとられた別の女性が当然の成り行きで一番怪しまれるのだが、彼女には事件当時に完璧なアリバイがあった。事件の直前にその男の足をピストルで撃って興奮状態にあったため、一晩中看護師に付き添われていたからだ。ここから話がいきなり動き出し、立て続けに二人が死亡する。そのうちの一人はなんと事情聴取をしているポアロの目の前で射殺されてしまうのである。...その割にポアロやほかの登場人物は悔しがったり動揺したりしないのだが、あまりに殺人が連続したので感覚が麻痺してしまったのだろうか。

    その後は名探偵たるポアロが鮮やかに事件を解決して見せるわけだが、クリスティーは決定的な情報を読者に気づかれないように隠したり、関係ない人物がさも犯行に関係しているように思わせるのがとても上手だ。読んでいると全く気付かないのに、解決編を読み終わって振り返ると、自明だったはずなのになぜ気づかなかったのだろう?と感じてしまう。さすがミステリーの女王である。この作品が名作と言われているのは、ナイルの旅の描写に加えて事件だけでなく物語にもきちんとオチをつけてくるところにあるのだなと感じた。かなり長いと思った旅行パートにも伏線が張り巡らされていたことにも後から気づいて二度おいしい。これから公開される映画も楽しみに待ちたい。

  • Death on the Nile(1937年、英)。
    ポアロ・シリーズ。クリスティのミステリ中、最大の長編。

    ナイル河を遡る豪華客船で、新婚旅行を楽しむ若き資産家夫妻。しかしその船には、花嫁の友人で、花婿の元婚約者の女性が、銃を携えて乗り込んでいた。緊張が高まる中、遂に銃声が轟いた…。

    丁寧に構成されているという印象。奇抜さや意外性では他の代表作に及ばないが、そのぶん万人が納得しやすいフェアな展開になっている。背景の人間ドラマが丁寧に描かれているので、ミステリファン以外の人にも読みやすい作品ではないかと思う。

  • 面白かった。とても、面白かった。

    クリスティのミステリ作品中最も長大なボリュームの本作。
    確かに手に取った瞬間、これは厚いなあ…!というのが第一印象だった。
    それにミステリなのに、しばらく読み進めても中々第一の殺人が起こらない。
    沢山の登場人物達が丁寧に描かれ、ゆったりとした旅の様子が描写されている。
    読了後にふと思ったのが、これはクリスティが感じたナイルの雰囲気なのではないだろうかと。
    ゆっくり流れる時間。悠久の土地。何となく、素敵な雰囲気を感じる…。
    はじめに書かれている訳者の『はじめは少しゆっくり読んでください。』
    という一文の意味も、読了後に頷ける。
    これは、のんびりと、ゆっくりと読む小説なのだ…。

    これは愛の話である。
    作品中に垣間見れる様々な愛が、時には恐ろしく、時には可愛らしく、時には少し可笑しい。
    誰が殺され、誰が犯人でどういう動機だったのか。
    そういった分かりやすい推理小説の面白さだけでなく、
    登場人物達の恋愛模様がとても、気に入る。

    あまりの面白さに一気に読んでしまったが、
    また今度、ゆっくりのんびりと読み返すことにしよう…。

  • ナイル河での船旅の中でおきた殺人事件の話。

    乗っている人たちのくせが強い中、1番目立っていたのが、新婚旅行で来たお金持ちの美女夫婦。

    しかもこの美女、親友の彼氏を奪って夫にしたので、もうそれだけで興味津々。

    ただ、途中で犯人がわかってしまった自分。

    しかし、さすがクリスティで、最後まで目が離せないな内容になっています。

  • ⚠️2022年放映の映画版についても言及があるため、未視聴の方は軽いネタバレにご注意ください⚠️

    今回の教訓:愛は人を変える
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    エジプトのエキゾチックな景色の後に後半バタバタと展開していった映画版と違い、小説ではウィンドルシャム卿とリネットの結婚問題にページが割かれていたため、リネットがサイモンを奪うまでの過程が見られ、じわじわと迫り来る嫌な空気を味わうことができました。

    ジャクリーンとの友情が壊れるだろうことは予測できたのですが、まさかジョウアナまでリネットを脅かしていたとは……油断ならないリネットの身の上を思うと、せつなくなります。映画を観てからかなり経っているため記憶が朧気なのですが、映画ではジョウアナについては確かあまり触れられていない(というかアラートン親子も出てこない)ため、船上にいない人物の話が度々出てきて伏線となっているのも、小説ならではだなと思いました。(私が覚えていないだけかもしれない)

    とても巧妙なトリックで舌を巻くばかりなのですが、あまりに複雑すぎて自分の理解が追いつきませんでした。話は5点満点ゲージ突き破ってますが、悔しかったので私情で-0.5です笑

    個人的に自分で考えながらじっくり読み進めたい方には原作、エジプトの景色を目で楽しみたい方(本の事件とは対比的なエジプトの雄大且つ神秘的な情景描写もお見事でしたが)、比較的サクッと話を楽しみたい方には映画がおすすめかなと思いました。

  • 登場人物が多く長い割には
    サクサクと読みやすかった。
    犯人は後半戦には予想がつきやすく
    あとはどのようなトリックなのかなーと楽しんだ

    ポアロは人の手紙を平気で読む癖がある、みたいな描写があり、ちょwポアロwと思わず吹きました

  • 長編だったけど、構えていたよりもとても読みやすかった。登場人物のエピローグ的な序盤は特に煩わしさは無く、それが事件への動機候補に混在して面白かった。王道ミステリーのアガサクリスティ、本当にすごいな。
    映画を観てないので、映画も観たい。

  • クリスティの長編で一番長い作品らしい。正月休みに読もうと思っていたが、その後の三連休に読み終えた。
    犯人、動機、は大体目星がついたものの、トリックの肝が分からず、ポアロの種明かしでカタルシスを得る。
    基本的な構図は坂口安吾の『不連続殺人事件』と似ているかも。(発表は勿論クリスティが11年早い。)

    • 111108さん
      鴨田さん、こんばんは。

      私も『不連続殺人事件』と似てると思いました!坂口安吾はこの作品知ってたのでしょうか?偶然?
      鴨田さん、こんばんは。

      私も『不連続殺人事件』と似てると思いました!坂口安吾はこの作品知ってたのでしょうか?偶然?
      2023/01/09
    • 鴨田さん
      111108さん、コメントありがとうございます!
      敵性語排斥運動前の作品でもあるし、マニアの坂口安吾は読んだ上で本歌取りをしたのかなあ、と思...
      111108さん、コメントありがとうございます!
      敵性語排斥運動前の作品でもあるし、マニアの坂口安吾は読んだ上で本歌取りをしたのかなあ、と思います。たぶん。
      2023/01/09
    • 111108さん
      鴨田さん、お返事ありがとうございます!

      なるほど、年代から考えると知っててもおかしくないという事ですね。構図は似てても味付けは安吾風ってこ...
      鴨田さん、お返事ありがとうございます!

      なるほど、年代から考えると知っててもおかしくないという事ですね。構図は似てても味付けは安吾風ってことでしょうね。
      2023/01/10
  • 映画化されるみたいなので。長い。そして前半が特にゆったりしすぎていてまだ~?って感じ。映画で見たら人物の区別が付きやすかったり、登場人物にもう少し感情移入できたりして、入り込めるかな?

  • クリスティの代表作と名高い。
    それにふさわしい傑作である。

    とにかく、これでもかと言わんばかりの「全部盛り」である。舞台はゴージャスにエジプト(今でもナイル川クルーズとなるとそれなりだが、当時における『海外旅行』の立ち位置を考えるべきだろう)、主人公はゴージャスに美しく若き大富豪。密室となる豪華客船に乗り合わせた人々は色とりどりに胡散くさく、騒動の火種はそちこちに…と、盛りだくさん。それらすべてをもてあますことなく、優れた推理「小説」に昇華せしめているのは、さすが女王・クリスティである。
    「アガサ・クリスティー完全攻略」に、クリスティが意識的に作り上げた代表作との指摘があったが、同感である。ミステリとしての完成度は言うに及ばず…男と女、それぞれのおろかさと、愛の苦さ。これもまた、クリスティが生涯懸けて追求し続けたテーマであるのだから。

    2018/7/15〜7/16読了

  •  豪華客船上で起こった殺人事件にポアロが挑むミステリー

     クリスティー作品はミステリとしての完成度も一級品ですが、メロドラマ、恋愛群像劇としても面白い作品が多く、そしてそれがしっかりとミステリと結びついている点が魅力的だと思います。この『ナイルに死す』もまさにそのような作品です。

     事件が起きるまでは登場人物たちの描写や人間関係の描写にページが割かれます。これがまた非常に長くて、事件が起きるまで200ページ以上費やされるのですが、これが読ませます。こうした日常描写や人物描写が巧いからこそ後半のミステリ部分が生きてきます。

     さまざまな要登場人物たちの思惑を丁寧にほどきつつ、事件の真相にじりじりと近づいていく推理はお見事の一言! しっかりと練られたプロットなんだな、と読んでいて伝わってきます。

     クリスティーファンには犯人はある程度見当のつく作品かもしれませんが、それでもダブルミーニングなどを使った精巧なミステリで惑わされ倒しました(笑)。エジプトの描写も相まって非常に芸術的なミステリ作品とも言えるのではないでしょうか。

  • 金持ちの美しい女性リンネット・リッジウェイ。
    親友の恋人を奪って結婚するが、新婚旅行先に親友もついてきて…
    舟に乗っている旅行者は一癖ある人ばかり。
    船旅の映画化も綺麗な画面でまとまっていました。

  • 異国のラブロマンスを読んでいるようだった。
    エジプト旅行をしている、とまではいかなくても空気感は十分伝わってくる。
    ミステリーだということを忘れそうになった頃、事件は起きる。
    資産家のリネット、夫のサイモン、元恋人のジャクリーン。
    この三人を中心に物語は展開するが、いつもどおり意外な真相が待ち受けていた。
    読み終わって思うのは、愛は恐ろしいってこと。

  • いわくつきな登場人物たちが織りなすドラマ、誰しもが怪しく見える書き方。クリスティの雰囲気が存分に楽しめる長編。加えてエジプトの異国情緒さやクルーズ船という閉ざされた空間での殺人事件とくれば自ずとテンションもあがる。ダイナミックさも本書の特徴で殺人事件が発生するまでは旅行気分で読んでいたのだが後半以降のスピード感は先へ先へとページを進める。クリスティの凄さとしては登場人物の無駄のなさを感じた。これだけの人物にドラマとバックボーンを付け惜しみなく回収していく。事件そのものも楽しめるがそこも魅力かと。

  • 数十年ぶりの再読。ナイル川を航行中の船内で起きた連続殺人に名探偵ポアロが挑む。ミステリに読み慣れた人なら犯人の目星はある程度ついてしまうかもしれない。けれど、ドラマチックな展開と、複雑な謎がホロホロと解けていく快感はクリスティならでは。やっぱりクリスティは面白い。随所でポアロが自分が割り当てられた役割を語るのはメタミステリの先駆けのようで興味深い。考古学を専攻していた身としては、古代エジプトの固有名詞が一般的な訳と少し違うのが気になるところではある。

  • 遺跡を巡りつつナイル河を遡る船旅なんて素敵だなぁ。勿論一部の上流階級しか乗れなかったと思いますが、アガサの作品では資産家は間違いなく殺される側になるので考えものです。
    他の作品と違わず、読後しばし茫然としてしまいました。長旅を共にした登場人物、特に犯人の内面も心に迫ってきます。
    あと、いつもの容赦の無い描写!
    『彼女は、褐色の犬のような目をした、大柄で不細工な娘である』
    くうぅ。
    でも一番容赦無かったのは、物語の中心となる、社交界で知られた美貌の女性の死。騒がれたものの本当の意味では誰も悲しんでないという事実。ポアロもその女性より、むしろ真犯人側に心を寄せている(変な意味でなく)のが印象的だった。
    真実をそのまま見る観察眼。これだけの作品を生み出してるけど、アガサは徹底的なリアリストだったのかも。なんて、アガサその人自身にも興味が湧いてきます。
    自分はどんな風に観察、描写されるんだろうなんて考えながら読んでしまうのは私だけでしょうか?
    次はヘイスティングズが出てくるのが読みたいな。

  • 厚みといい、中身といい、じっくり腰を据えて読みたい作品でした。ポアロたちから見ても異国情緒溢れるこの物語。舞台は題名通り黄金の砂漠の国エジプトです。
    今回の事件はある3人の男女の恋愛事情から紡がれました。
    愛し合っていた男女と、男に横恋慕した金持ち美人の女。結果男女は破局して男は金持ち美人に靡き、捨てられた女は二人を恨む。
    設定としてはよくある恋物語っぽいですよね。でもただの恋物語で終わらせないのがクリスティ氏です。
    結婚した男女の行く先々に現れ地道な嫌がらせ行動を重ねる女は、二人の新婚旅行の旅路にも現れます。その旅の同行者(居合わせた人ともいいますが)が我等がポアロ。他の同行者も曲者が揃いに揃っています。
    各々の思惑に思想、そして幾人かの恋模様。ひとつひとつの謎がポアロに解かれていくたびに「そうきたか!」と手を打つに違いありません。

    しかしまぁなんてクリスティ氏の描く登場人物には魅力的な人間が多いのでしょうね! しかも現実にいそうな人間で、というところが更にその魅力を高めているのだと思います。
    特にクリスティ氏の女性陣が私は大好きです。きっとどの作品にもクリスティ自信の投影と、クリスティが思い描く理想と反面教師が混ざっているのだろうなぁと思いながら読んでいます。
    今作の善人随一は間違いなくミセス・アラートンでしょう! 私もお母さんと呼びたいです。リネットはビジネスウーマンとしてその冷静な考え方を見習いたいと思うし、ジャクリーンの意志の強さ、それに度胸と行動力も見習いたい。そしてコーネリア。コーネリアの考え方はきっと相手も自分も幸せになれる考え方だと思うのです。

    部屋にいながら「逃避的文学」による小旅行へ是非旅立ってください。


    ちなみに今作の相棒レイス大佐が有能すぎてヘイスティングの存在価値は大丈夫か!?と密かに不安になったのは内緒です。(作中ポアロがヘイスティングの名前を呼んでくれてなんだかほっこりしました。)

  • 終盤、張り巡らせた伏線が次々に回収されていく様が、倒れていくドミノを見ているようで気持ち良い。ただし、この作品を名作たらしめているのは、そのトリックを生み出した人間ドラマだろう。この犯人の頭の良さ、情の強さと潔さは、数あるクリスティ作品の中でも最も印象的なもののうちの一つだ。

  • 推理は大方当たっていた。豪勢な登場人物たちに、エジプトの雰囲気、素敵でした。色々な角度から登場人物を描写して、本質を隠すのが本当に上手。脱線の散らばらせ方も見事。

  • この前に読んだ、「オリエント急行」「そして誰もいなくなった」「ゼロ時間へ」「アクロイド殺し」と比べると、結末に意外性はありませんでした。
    ただ、みんなが何かしら秘密を隠しており、それが順序よく明かされていくのが、読んでいて楽しかったです。映画版がもうすぐ上映開始なので、そちらも見てみたいなと思います。

  • お金目当てで妻と結婚し妻を殺す
    愛する人も巻き込んで

    登場人物が多くて本も厚いし、混乱せず読めるかな〜と思ったけど、関係図を書いて見ながらすんなり読めた

    ナイル川、エジプト、歴史苦手だな〜と思い乗り気じゃないけど評価高いし借りてみよう。と思い立って借りて良かった!!

    一時期ミステリー小説にハマって今は離れていたけど、久しぶりにミステリー読んだらめちゃくちゃ楽しかった!!

  • 新訳のため、読みやすかった

    トリック自体はそこまで難解ではないものの、
    話に引き込まれて先の展開が気になる

    ファーガスンが面白いキャラクターで印象的
    ティムとロザリーは応援したくなった

  • ポワロが言っている考古学的な発掘の話そのままの作品。
    発掘で何かみつかると、そのまわりを広く整理をして、くずれた土はとりのぞき、その物体に別のものがついていたら、ナイフできれいに削り落とし、最後にその物体だけぽつんと取り残されているようにする。
    絡まり合っている複数の事件が丁寧に解かれていった。

  • 友人の恋人を略奪する形で結婚した資産家の美女。エジプトへ向かうそのハネムーンの間、ずっと友人に付け回されることになり、さらにはナイル川で乗り込んだ船の中で起こる事件。事件は起こるべくして起こったという印象ですが。とにかく複雑。そして登場人物がどれもこれも怪しい! 読み応えたっぷりのミステリ。
    トリックも印象的だし、ストーリーも惹きつけられるし、そこここにちりばめられた伏線や各登場人物が抱えている問題など、読みどころはあまりに盛りだくさん。そんな中で数々の可能性を潰しながら真相へと至るポアロの推理が実に見事なのですが。しかしよくよく考えるとこの事件、犯人側からすれば災難すぎますね(苦笑)。あれだけ綿密に計画していたのに、いちいち見られるってそりゃないわ! 下手すりゃエンドレス? 多大なストレスだっただろうなあ……とやや同情を禁じえません。

  • 550ページを超すボリュームもさることながら、殺人事件が
    起きるのが250ページを超えてからというのも衝撃的
    と言っても読書中に退屈を感じることが一切無いのはクリスティーがただのミステリー作家でない証左か

    序盤から登場人物は多いし、舞台となる場所も殆どの人にとって縁遠い場所だから風景もイメージしにくい。それでも読むことが難しいと感じさせないのはポアロの登場が早いことと、物語初々しいカップルとそれを追い回す元カノを中心に展開していく構図が明確であるからか

    トリックについては取り調べの中で発せられたある台詞を注意深く調べればある程度見当をつけられるものでは有るけれど、殺人が起こるまでに費やされた描写の数々によって巧妙に気付きにくくなっている
    どの点を取っても名作としか言いようがない作品であった

  • 複数のいろんな事件が同時に起こっていて話がややこしくなっているというのはアガサおばちゃんに多いパターンだなあ。
    犯人の落とし前の付け方、これもアガサおばちゃんに多いパターン。
    日本だと長距離列車で事件が起こるが、この頃はナイル川を昇る船で事件が起こるのか。
    ナイル川かあ。あまり興味はなかったけど、ちょっと行ってみたくなったよ。
    まんまとアガサおばちゃんの思惑にはまってしまったか。
    犯罪とは関係ないところでの最後のどんでん返しも良かった。
    まあ、★4つってことで。面白かったです。

  • 久々のクリスティです。いわくありげな人間関係に旅行の解放感とエジプトの景色、個性的なキャラクターたち。綿密に作り上げられた状況と最高の瞬間に起こる事件。殺人事件を喜んじゃいけないんですけど、それまで焦らされた分興奮します。よし、ポアロの出番だ!と。…いや、本当はもっと上品な盛り上げ方なんですけどね。
    似たような舞台のオリエント急行とどっちが早い時期に書かれたのか調べてないですが、犯人の意外性ではオリエント急行の方が上。ただしこの作品では、ある程度犯人の目星はつくのにその人には犯行不能というアリバイの壁を崩す過程、さらにその証拠固めの過程が楽しめます。乗船客一人一人が物語を持っているのもいつもながら面白いし、読者はきっとお気に入りのキャラを持ち、その人に相応しい結末を望む。ハッピーエンドを迎えられるか、悲劇となるか…。ミステリと人間ドラマの相乗効果がもう最高です。

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