- Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151300370
感想・レビュー・書評
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面白かった!解説の久美さんの言うように「大好きなキャラたちが本当は悪い奴だったら‥」とハラハラして一気読み。ミス・マープルの登場がちょっと少なかったのは残念だけど、犯人をはめるパターンや真相解明に至る小さな気付きなどお見事。
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傷痍軍人のジェリー・バートンは療養のため、妹・ジョアナと村の邸宅を借りて住み始めた。田舎でのんびり過ごすはずが、悪意と中傷の手紙が住民たちに届く事件が発生。村は疑心暗鬼に覆われてしまい──。
「やはり田舎へ行くのがいい。村の世間話やスキャンダルに興味を持ったり、隣人の詮索をしたりして過ごしてみなさい」
ジェリーが主治医にそう言われ、療養で滞在することになった村・リムストック。田舎の空気を吸いながら、面白おかしい世間話やスキャンダルを耳にして暮らすはずだった。しかし、村には中傷の匿名手紙が飛び交い、「火のない所に煙は立たない」と噂が煙のように立ち込め、その果てには名士の夫人が服毒自殺!療養ってレベルじゃねぇぞ!という事件に翻弄されていく。
ミス・マープルシリーズの長編・第三弾にあたる作品。とはいうものの、主人公はバートン兄妹であり、マープルは終盤の推理に手を貸してくれるのみ。マープルを初めて読む方にはオススメはできないかも。誰この人?!となる可能性がある(笑) 雰囲気は通常運転で、そこは安定の面白さ。バートン兄妹は村を支配する独特の空気を肌で感じていく。よそ者だからこそ感じるギャップや、住人たちのあくの強さが際立つ。ただ、バートン兄妹もさらりと毒舌なのでお互い様かなあ。ジョアナの最後のあれは冗談で済むのか?!と思った。
中傷から始まる謎。犯人を追う中で発生する事件。まさに煙に巻かれる。仕掛け自体はシンプルでピンとくる読者もいそう。霧が晴れるように謎が解ける流れがいい。本作はそこにラブロマンスも仕込まれていて、バートン兄妹がする恋の行方も見どころに。村でも家でものけ者にされているミーガンの感性をジェリーが認め、ミーガンもまた自分の気持ちに気付いていくドラマがよかった。噂ではない真実とは何なのか。それは自分の身をもって確かめなければわからないのだ。
p.132,133
「偉大な発明や天才の業績の大部分は、自発的なものにしろ強制されたものにしろ、とにかく怠惰に負うところが非常に多いというのがぼくの持論なんです」と、私はいささか熱弁をふるっていった。「人間はともすれば他人の考えに動かされ、それを鵜呑みにして得意になりたがるものですが、しかし、そんな習癖がついていなければ、自然に自分で考えはじめるものです。そういう態度こそ、独創的な考えを生み、尊い結果を生む母体になるのだと思います」
p.142
「人間は自分勝手にやった悪事まで神のせいにする傾向があります。しかし、悪魔ならともかく、神さまがほんとうにわれわれを懲らしめる必要はないでしょう。そうでなくてもわれわれは、もっぱら自分たちを懲らしめ合うことに精を出してるのですから」
p.295
ミス・マープルはまた編み物をはじめた。「ばれないように人殺しをするこつは、手品のこつとよく似てるのですよ」と、ぼんやりつぶやくようにいった。
「すばやい手さばきで、人の目をごまかす点がですか」
「それだけじゃありません。正しくないものを、正しくない場所で人々に見せる必要があること──いわば、いかさまな誘導がその秘訣なんです」 -
ミス・マープルものとして読むとちょっと物足りないかもしれない。ミス・マープルの出番は後半のごくわずか。
それでもやはりクリスティらしい誰もが怪しく見える作品で、主人公の兄妹が微笑ましい。
じっと編み物をしながら、頭をフル回転させるミス・マープルのように世の中を見てみたいと思ってしまう。彼女の頭の中では様々なことがきちんと整理されていくのである。 -
ミス・マープル3作目。だけど、今回はミス・マープル登場は控え目。そもそも冷静に考えればそこだよな、って結論を色々な事柄で粉飾してめくらましされる。『邪悪の家』にも通じる流れだが、ロマンス要素もあり、クリスティの持ち味が存分に出ていると思う。
しかし、ミス・マープルのキャラはここまで3作で少しずつ違う気もする。次あたりからは安定してくるのかな。 -
ミス・マープルもの・・・だよね?と、読んでいる途中で、表紙左上の【マープル】マーク(※)を、思わず確認してしまいました。
と、いうのも、なかなかマープルさんが登場しないのですから。
怪我の療養の為、妹と共にロンドンから田舎の町にやってきた、傷痍軍人のジェリー・バートンの視点で話は進みます。
誹謗中傷が書かれた匿名の手紙から始まり、さらに自殺や殺人まで起きてしまうという、もう静かに療養するどころではなくなってしまったバートンさんがお気の毒。(でも、ミーガンという個性豊かな娘と会えて、そこは良かったですよね。)
終盤近くになってようやくミス・マープルが登場するのですが、一旦警察が事件を解決したような展開に「今回マープルさんは完全に“ゲスト”扱いなのかな?」と思ったのですが、ところがどっこい、やはりありましたよ、マープルさんが暴く更なる真相が!ううむ。さすがクリスティーです。今回もやられました。
※余談ですが、ハヤカワ・クリスティー文庫の【マープル】【ポアロ】マークはとても気が利いていて、親切だなぁ、と思います。良い仕事していますね。ハヤカワさん。 -
ミス・マープルの登場が実に289ページ目!じっくりと人物を描くクリスティらしい作品。主人公のジェリーや妹のジョアナのキャラクターに好感が持て、ロマンスの要素もほくほくしてしまった。個人的にとても好き。
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長編なのでなかなかマープルさん出て来ず。だが語り手である飛行機事故で傷病兵のため休暇で田舎に訪れた資産家ジェリー目線で進むストーリーは快活な妹のジョアナとペアで繰り広げられサクサクと進む。昔テレビで見たトミーとタペンスシリーズのような軽快さを感じた。
意外な登場人物の友人という形で登場のマープルさんの導きで事件解決みたいなパターンもアリだなと思った。-
miyacococoさん、ペース早いですね!この本読んだ時、マープルなかなか出てこないので、その点が一番焦りました。トミーとタペンスシリーズ...miyacococoさん、ペース早いですね!この本読んだ時、マープルなかなか出てこないので、その点が一番焦りました。トミーとタペンスシリーズTVで見られたんですね、いいなぁ。2022/12/04
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111108さん、コメントありがとうございます♪ブックオフで何冊か買えたので他の積ん読をさしおいて読んでしまいました(((^_^;)トミーと...111108さん、コメントありがとうございます♪ブックオフで何冊か買えたので他の積ん読をさしおいて読んでしまいました(((^_^;)トミーとタペンスみたのかなーり前ですよ!その当時のNHKでジェレミーブレッド版シャーロックやディックフランシスの競馬シリーズも放映してました。トミーとタペンスは小説読んでないのでいずれは手を出すと思います(*^^*)2022/12/05
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miyacococoさんお返事ありがとうございます♪NHK海外ドラマ充実してた頃なんですね。うーん見たかった!トミーとタペンスもお待ちしてま...miyacococoさんお返事ありがとうございます♪NHK海外ドラマ充実してた頃なんですね。うーん見たかった!トミーとタペンスもお待ちしてます(^^)2022/12/05
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