鏡は横にひび割れて (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300424

感想・レビュー・書評

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  • 再読で、すっかり忘れていたのに
    ある一行を読んだ瞬間
    犯人も動機も思い出しました!
    なんでこんなインパクトの強い事件を
    忘れていたのやら。
    しかし、この「一行でひっくり返る」感が
    ミステリを読む楽しみのひとつでもある。

    マープルさんは事件関係者ではなくて
    顔見知りの婦人が被害者だったのね。
    村に越してきた女優さんが開いたパーティで
    毒殺されてしまった女性。
    ちょっと親切の押売りが強くもあったけど
    それで殺すほど恨みを買ってたとも思えない。
    ならば、本来は女優がターゲットで
    間違って殺されたのでは?となるわけです。
    仮にそうだとしても残る
    誰がどうやって…の謎にマープルさんが挑む。

    家政婦に年寄り扱いされて
    憤慨するマープルさんに共感したくなります。

  • もっと凄く面白い作品が沢山現れている。が、めまぐるしいITの進化でも、人の思いや行動の進化の速度は緩やか。クリスティの作品は兎に角普遍的。それが走り過ぎる自分の気持ちを整えてくれる。

  • どの人物も犯人っぽくて怪しい。証言を追うごとに謎は深まるばかり。しかし、真相は…物悲しい動機と結末に苦しくなった。マープルの年寄り扱いされるさまが、おかしくホッとさせられる。クリスティー作品の面白さにはまりそう。

  • なんて痛ましい悲劇なんだろうか。
    ミステリーの内容としてはたわいも無いものかもしれない。だが、そんなことどうでもいいと言い切れるほど面白い。
    特に最後の場面は悲しくも、美しい。

    本作ではバントリー夫人に、ミス・マープルお気に入りのクラドック警部と懐かしい面々が登場する。ミス・マープル自身、さらに年をとっているが鋭さは健在だ。本人は昔より頭が働かないと嘆いているが、とんでもない。
    やはりミス・マープルはいつまでも唯一無二の名探偵だ。

  • 何度も読んでる。犯人の動機より、むしろ被害者の被動機(?)が特徴なのと、やはりテニスンの「シャロットの乙女」の引用によるビジュアル的な印象が強い。
    マープルはあまり動き回らないのだけどマープルはいつもそうだったっけ?お手伝いさんなど周りの人たちとの日頃のやり取りの特徴を良く把握していて、コメディ味があったり話にも少し関わってきたりするのもマープルならではの観察で良い。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    穏やかなセント・メアリ・ミードの村にも、都会化の波が押し寄せてきた。新興住宅が作られ、新しい住人がやってくる。まもなくアメリカの女優がいわくつきの家に引っ越してきた。彼女の家で盛大なパーティが開かれるが、その最中、招待客が変死を遂げた。呪われた事件に永遠不滅の老婦人探偵ミス・マープルが挑む。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    久々のクリスティ!
    久々のミス・マープル!

    ...ミス・マープル?
    えっ、ミス・マープルシリーズは読破したはずだけど...?
    だがしかしブクログ登録前のことのようで記録ナシ...

    と言うわけでとりあえず読んでみた。
    うん、読んだことあるよ!絶対あるよ!

    あーそう、ここ、ここね、怪しいんだよね!
    このおばさんがひとり興奮して喋ってる所に謎があるんだよね!
    そしてこのおばさん確か...ネタばれだね!

    ...と言うわけで(2回目)やっぱり読んだことありました。
    すみません。

    記録って大事だね...

    でも2回目にも関わらず楽しく読めました。
    ここ怪しいんだよね、確かこうなるんだよね、
    でこの人はこうなんだよね...

    って思いながらも、途中まで犯人を思い出せない
    記憶力の弱い私(´ω`*)

    いいんだ、その分何度でも楽しめるから(負け惜しみ)

    いやーでも久しぶりにクリスティ読んだけどやっぱり楽しいね!
    また月イチくらいで読みたいな。

    多産な作家さんの本はいつまでも楽しめてよいですね。

    ...って全然本の感想になってないですね。
    すみません。

    ミス・マープルの住む、静かな村セントメアリーミード。
    この街も近代化の波に巻き込まれ、新住宅地や新住民が増えてきた。
    そこへ著名な女優が引っ越してきて...

    別の作品で殺人の起こった(死体の置かれていた)邸宅で、新たな殺人が...!

    と、同シリーズだからこそのお楽しみもありつつ。

    このタイトルがまた秀逸ですよね。
    テニスンの詩「キャメロット」から、だそうです。

    本文中で引用される言葉は、

    ”鏡は横にひび割れぬ
    「ああ、呪いはわが身に」と、
    シャロット姫は叫べり。”

    不吉な感じが一言で伝わってきますね...
    この詩を訳した人たぶん天才...
    昔の日本語って美しい。

    せっかくなのでキャメロットの方もいつか確認してみたいところです。
    やっぱりミステリーはいいなぁ。

  • 母から勧められて。

    想像していた通りの結末だった。
    悪意がなくても人を傷つけることはあるし、一度やってしまったら引き返せないこともある。
    報われない、悲劇的な最後だったが、詩で締めくくられていることもあり、読後感はすっきりしていた。
    チェリーとナイトの今後が気になるところ。

  • アガサ・クリスティのミス・マープルもの。

    クリスティの中では一番好き。
    なんというか、人間の行いと結果のバランスの悪さを描ききった。
    派手さはないんだけど、じっくりとした手応え。

    タイトルも秀逸。テニスンが凄いのか、クリスティが凄いのか。
    それとも訳者が凄いのか。

  • ミス・マープル物の傑作。
    何よりも印象的な題名が素敵!テニスンの詩からの引用です。
    セント・メアリーミードに新興住宅地が出来時代が変わって行く。マープルの親友の家にもアメリカの有名女優が引っ越して来る。
    その女優のパーティーである老嬢が毒殺される。誰かと間違えて殺されたのか?それとも狙われたのか?
    何と言っても殺人の動機が秀逸でした!雰囲気があってとても好きな作品。

  • 都市化が進むセント・メアリ・ミードと、ミス・マープル自身も老いを感じる今日この頃。懐かしい人々のことを思い出し、少しセンチメンタルになるマープル。
    大物女優とその夫が移り住んだゴシントンホールは、かつて『書斎の死体』で死体が発見された曰く付きの場所。そこで開催されたパーティには、多くの周辺住民が参加する。そしてそこで、野戦病院協会幹事のヘザー・バドコックが殺害される。
    ヘザーはパーティの主役でもある女優のマリーナと間違えて殺されたのか、それともはじめから彼女自身が狙われたのか。全ての鍵は、ヘザーと対面した時にマリーナが浮かべた「凍りついたような表情」にあった。
    立て続けに殺人が行われるものの約450ページとやや冗長に感じるが、全ての真相はマリーナの仕草に集約されているので、それを推理しながら読むと面白い。最も、終盤に入りマープルが目撃者たちの言葉を正確に検証するあたりで大方の予想はつく。
    当事者であれば理解できるであろう殺意の描き方が巧み。
    変わりゆく村でも情報の伝わるスピードは健在で、人々の在り方や価値観の変化にもクリスティは常に目を向けている。

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