- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151400117
感想・レビュー・書評
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1951年に書かれた戯曲なので、20世紀っぽさを感じます。
日本の初演は1957年浅利慶太演出の劇団四季の舞台みたいです。2007年には蜷川幸雄演出、松たか子主演で上演されたようです。
ジャンヌの生涯そのうち、
[何故単なる羊飼いの少女が領主やら王太子やら教会の偉い人やら戦場の指揮官を説得できたのか?]
という疑問をたどっています。勿論作者の推測の域を出ていませんが。
ジャンヌ自身がどうしていいかわからず、必死に説得していた事はうかがえます。ただ、このジャンヌ・ダルクは19世紀以前に書かれたものと違って、あざといというかずる賢い印象も拭えません。一国の政治や軍隊を動かしてしまう訳だから、単に純粋なだけでなく、頭も良くて度胸も座っていたのだと思います。なので、ここで描かれているジャンヌ像もなくはないでしょう。
場面は最初から最後まで、ほぼ裁判の様子を描き、ジャンヌの過去を語るシーンで、回想シーンのように当時関わった人達が登場してその様子を実演する…という形式をとっています。なので実際に観劇したら疲れる芝居だろうと思います。読んでいるぶんにはさほど疲れませんが。
そして本書の最も大きなテーマが己の確立。ジャンヌは〈声〉に後押しされ、〈声〉の指示に従っている間は物事がスムーズに運びました。しかし〈声〉が聞こえなくなると、どう行動していいのか迷います。親の言い付けに従っていた子ども、会社の方針に従っていた社員も、一旦枠が外されてしまえば、どうするかを決めるのは自分しかいない。この辺もとても20世紀的だと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジャンヌ・ダルクを描いたジャン・アヌイの名作戯曲「ひばり」。ジャンヌの裁判で、その生涯を演じさせるという設定が秀逸である。最初から登場人物全員が舞台に立ち、それぞれがシーンによって呼び出され、あるいは名乗りを上げて参加する。魔女裁判のくだりは日本人にとってはわかりにくく退屈だが、いよいよ火あぶりかと思ったら、最後に戴冠式の場面で終わるという構成が素晴らしい。自分らしく生きるとはどういうことか、という現代のテーマが劇を太く貫いている。
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声が直接伝わるってのは、戯曲って形式の魅力だと思う。
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ジャンヌ・ダルクを描いた戯曲。
一言でいえば、とても俗っぽくて人間臭いジャンヌ・ダルク。
人間として行動し、人間として信念を貫き通す。もっと砕いて言えばとっても頑固。
そういった、ある意味「聖女らしく」はないジャンヌ自身もなかなか新鮮だし、シャルルとのやりとり裁判での司祭や異端審問官との応酬もテンポよく、読ませる。
多分舞台で見たら、とっても面白い。
訳者はあえて俗っぽい翻訳を試みたと書いているが、その翻訳も個人的に成功しているように思う。読んで損はしない、佳作。