忘れゆく男 (ハヤカワ・ミステリ文庫 メ 3-2)

  • 早川書房
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本棚登録 : 41
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151805523

作品紹介・あらすじ

身元不明の死体の血縁関係者が判明。が、男は認知症で事件に関連することは何も……

感想・レビュー・書評

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  • 重度の認知症である男は殺人を犯したのか。そして殺されたのは誰なのか。
    一人の男の過去を幾たりもの人々の言葉が浮かび上がらせていく。
    静かに語られる島の風景と相まって重く、暗く。そして辛く。
    こういうミステリ、たまらなく好きだ。
    前作より物語もその語り口もよくなっていると思う。三部作ということなので次作に期待してしまう。

  • 前作同様、ヘブリディーズ諸島の過酷だけど時には美しい表情を見せる自然、そこに暮らす人々、登場人物たちの心情が緻密に描かれ、すぅ〜っと物語の世界に入っていけた。酷かった孤児たちの扱いも問題提起として主人公のフィルタを通すことで迫力がある。認知症を身内に持つ身としては悲しくて切なく読んだいた『忘れゆく男』のその後についてラストでの輝きが救いとなり、心に染み入るお気に入りの一冊となった。シリーズ最終作の翻訳が待ち遠しい!

  • ブックオフの100円コーナーから適当に取った一冊ですけれども、これが思いのほか、面白いのでした…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    翻訳者の腕前のせいなのかどうだか分かりませんけれども、ともかく全然知らない国・島なのになぜだか情景が浮かび上がってくるような文章…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    あらすじにはミステリと書かれてありましたけれども、これはミステリというショボイ枠を超えた、なんというか…文学性! みたいなものを感じましたねぇ…。

    というか、実体験をもとにして書かれたのかな? あとがきには実際に経験した者へのインタビューを綿密に行っているそうですが…だからこそのあの描写力なのですね!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、そんなわけでこれはルイス島シリーズとかいうのの二部、なのだそうで、面白かったのでぜひとも一部も読みたいものですねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • ここはどこだ、なぜ自分は家ではなくここにいる?重度の認知症のケアをする施設に入ったトーモッド。孤独な彼のもとを元刑事フィンが訪れる。フィンはトーモッドの娘の元恋人だった。その頃、泥炭地からは身元不明の遺体が発見されていた。被害者はトーモッドの血縁関係者だという。フィンは事件を調べ始めるが、明らかになったのは、家族も知らないトーモッドの秘密だった…忘れゆく男の記憶と想いをめぐるミステリ。

    前作「さよなら、ブラックハウス」も印象に残る作品だったが、今作はそれ以上かもしれない。スコットランドのルイス島の風景描写が今回も良い。そして実に切ない結末。

  • なんとも切ない……
    すべての真相を知る男の頭の中は、何もかもを忘れゆく運命にあって。
    けれど、過酷ながらも瑞々しい若かりし頃の記憶は鮮明で。その現在と記憶が交互に描写され、哀切感がよりいっそう増す。
    人は過去を積み重ねていくイキモノなのだな……と今更ながら。
    事件の真相云々より、男の生き様そのものが胸を打つ小説でした。

  • 『さよなら、ブラックハウス』の続編。前作を読まなくても支障は無いと言えば無いのだが、出来れば読んでおいた方がいいだろう。
    基本的な物語の構造は前作と似ているが、歴史の暗部という意味では本作の方がヘビーになっている。前作ではややセンチメンタル過ぎるようにも思えたが、本作はそれが随分と突き抜けたので、逆に清々しさも感じた。
    終盤のばたつき感が引っかかるといえば引っかかるかなぁ……。

  • さよなら、ブラックハウスはフィンの青春時代の
    回顧、本作はフィンの初恋の少女の父親が隠した
    壮絶な人生の回顧。
    認知症による現在の混乱、苛立ちと、
    語られることのない記憶に焼きついた秘密の過去が
    哀愁を帯びて、静かにつづられている。
    三部作の最後の作品が待ち遠しい。

  • なんかもうめちゃ趣あっていい感じ。
    訳者の方も書いてはるけど、終盤のセリフがこの作品のテーマそのものやろ、グッときた。

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