アルジャーノンに花束を 改訂版

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152033932

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと涙腺に来ました。主人公の退化していく様は一部、何気ない日常の崩れる痴呆への葛藤に通じるものがありそうな気がして、他人事ではないのかもしれない、と感じました。介護の仕事していた時を思い出して、考えること少々。

  • 高校生の頃、バイトに明け暮れていた私は授業をサボってよく図書室で寝て過ごしてた。



    そんな私を叱りもせずに何もしゃべらずただ黙って受け入れてくれた図書室の先生。



    ある日、いつものように図書室でサボって寝て過ごして目が覚めると私の横に一冊の本が置かれていた。



    「アルジャーノに花束を」



    いつもなら振り向きもしないがそのままページをめくると一気に引き込まれ読み終えた。



    図書室の先生に


    「こんなに面白い本初めて読んだ!」



    と言ったら


    「本はすごいよね、授業をちゃんと受けたら私のおすすめもっと教えてあげるよ」



    単純な私はそれからは教室に戻って授業を受けるようになった。



    高校を無事卒業できたのはこの本のおかげです○

  •  頭がよいこと・・・ものがたくさん見えること。知能障害を負った青年が、頭をよくする手術をするおはなし。手記の形で進むので、主人公が知能を得ることで、どんなふうに変わっていったのかがよくわかる。
     知能をえることが、かならずしも幸福につながるわけではない。SF的ではあるが、この中に描かれていることは、私たちのなかの普遍的な問題を指摘していると思う。人が人であるためにはなにが必要なのだろう。

  • 状況説明をつらつらと書かれる程つまらないものはないのですが、この本は説明一切なし、いきなり本の世界に引きこまれてグイグイ読まされます。日本語に訳した人もかなり上手い。

  • 初めのひらがなの羅列で読むのを止めた方は非常に損をしています。知能がつくにつれ、チャーリィは今までには知ることのなかった人間の本質に触れていけるようになるも、それを必ずしも幸せとは感じていないあたりが非常に秀逸。
    一年ほど前に読んだ本なので細かい所まではよく覚えていませんが、もう一度読みたい本です。

  • あまりに有名なダニエル・キイスの出世作。学生の頃に読んで、友人の間でも回してました。

    ストーリーテリングが見事でしたが、ちょうど真ん中で結末が読めるところが玉にキズなんですよね(苦笑)。ちなみに涙はこぼれませんでした。「何とかならないのかなぁ…」とは思ったのですが。

    当時目を見張ったのが、訳者の小尾芙佐さんの見事なまでの翻訳。「これ、原文どうなってんの?」と書店の洋書売り場へダッシュしました(笑)が、原文は意外とフツーで拍子抜けしたものでした(チャーリーのスピーチレベルのアップダウンを日本語訳ほど極端にしていないので)。訳者さんで当時すごいと思ったのは、この小尾さんと、トニー・ケンリックの訳をやってらした上田公子さん。私の心の師(笑)。

    当時☆5つだったのですが、現在はいろいろ読んだためか、こんな感じ…というところです。ファンのかたも多い本ですのに、ごめんなさい。

  • チャーリーの知識が増えるにつれ、はじめは滅茶苦茶だった句読点や漢字の使い方が知能の回復に応じて徐々に正しくなっていったり、漢字を多く使うようになったり、人称名詞が変わっていく。

  • これは有名ですね・・何度読んでも泣けます。
    なにが幸せなのだろうか・・考えさせられる一冊です。

  • 知的障害者が手術で天才になって、再び知的障害者に戻っていく。最後は泣いた。天才って空しい。科学って空しい。

  • 疑うことを知らない、決して他人を責めない、恨まないチャーリー
    チャーリーはみんなのことが大好きで、きっとみんなも同じようにチャーリーのことが大好きなのだと、心から信じている。人から向けられた悪意を抱き締められる人。一生懸命頑張ればきっとみんなと同じように利口になれる、そう信じてひたむきに前を見続ける健気さ

    高い知能を手に入れる前の、チャーリーの印象的な台詞。
    "みんながあなたがかんがえているようないい人じゃないことがわかってもがっかりしちゃだめよと彼女はいった。
     神さまが少ししかおあたえにならなかったにしてはあなたという人は使いもしない頭をもった人たちよりもずっとたくさんのことをやったと彼女はいった。
     ぼくの友だちはみんな頭がいいしみんないい人ですよとぼくはいった。みんなぼくのことが好きでいじわるなんかしたことないですよ。
     するとキニアン先生の目の中になにかたまってきて洗面所へ走っていかなければならなかった。"

    それから、今後の残酷な未来を悟ったチャーリーが、白痴の自分へ語りかけるシーン。

    "おれの光りがおまえの暗闇よりいいなんてだれに言えるかい?死がおまえの暗闇よりいいなんてだれに言えるかい?"

    高い知能を手に入れてしまったチャーリーは、人の悪意に触れる。賢くて誇らしいと思っていた周りの人たちが、取るに足らない普通の人間であったことに気づく。優しくて自分のことが大好きだと思っていた周りの人たちが、自分を笑いものにしていたことを自覚する。

    "ゆーめーになってもならなくてもぼくわどちでもかまわない。ただみんなみたいに頭がよくなりたいのでそうすればみんなぼくを好きになて友だちがたくさんできるとおもう。"

    果たして彼の望みは叶ったのだろうか?これが彼の夢見た「かしこくなる」ということだったのか?

    自分が退行していくのを自覚しながら、それに抗う術がないというのは本当に残酷だ
    これまでできていたことができない、自分の書いた文章が理解できない どんどん溢れていく必死に蓄えた知識の数々 これを受け入れる器は、少なくともわたしにはない。

    自分の切ない変化に抗うチャーリーはもちろん、それをそばで見届けなければいけなくなったキニアン先生の心情を思うとまた居た堪れない。チャーリーが過去の自分を忘れても、キニアン先生はそうさせてもらえない。

    "ぼくわ教室え入っていって昔の席にすわたら先生わへんな顔をしてぼくを見てチャーリイどこにいっていたのときいた。それでぼくわこんにちわキニアン先生きょうわ勉きょしにきたけどいままで使ていた本をなくしてしまいましたといった。
    先生わ泣きだして教室から出ていてしまったのでみんながぼくを見たけれどもたいがいのひとがぼくのくらすにいたひとでわなかた。"

    なぜキニアン先生が泣くのか、きっとチャーリーにはちっとも理解できないであろう。それどころかチャーリーは、昔の自分を惜しんで後ろを振り返ったりしない。そのかわり、昔の自分を未来にみているのだ。決して前を向くことをやめない。

    "どうしてまたばかになてしまたかぼくがなにかわりいことをしたかわからない。きっとぼくがいしょけんめやらなかったからかもしれないだれかがぼくにまじないをかけたからかもしれない。でもうんといしょけんめにべんきょーすればもうちょとりこーになって言葉もみなわかるよおになるだろうな。"

    ひたむきで、前向きで、まっすぐで、誰のことも責めないチャーリーの性格がよく現れたセリフだと思う。どうか彼が2度と絶望を知ることがありませんように。彼に信じることをやめさせないであげてください。

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