- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152083418
作品紹介・あらすじ
『利己的な遺伝子』で科学界を震撼させたドーキンスは本書において、彼のホームグラウンドである生物学・進化学から脳科学・ゲノムサイエンス・認知心理学、はては物理学・宇宙論を縦横に援用し、科学がはらむ"センス・オブ・ワンダー"をさまざまな側面から解剖する。そこに浮かびあがるのは、ヒトとは何か、どのようにして生まれたか、という最終的な問いへの答であった…天才ドーキンスにしか書き得なかった究極の科学啓蒙書、待望の邦訳。
感想・レビュー・書評
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ドーキンスさんの邦訳本の中では訳文が読みやすく感じます。
大人の方で科学ネタに興味があって、さりとてあんまり軽い内容じゃ満足できないという方には一読の価値ありと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サイエンス
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ハトの迷信行動の話(第7章「神秘の解体」)と、カッコウの卵の色や模様を仮親の卵に似せる遺伝子は、雌の性染色体上にあるはずだという予言(第10章「遺伝子版死者の書」)と、人間は、脳が再構築したヴァーチャル世界に住んでいるという話(第11章「世界の再構成(リウィーヴィング)」)がおもしろかった。第8章「ロマンに満ちた巨大な空虚」で、スティーブン・ジェイ・グールドの説を批判しているが、偽科学・疑似科学と同列に並べるほどの辛辣さに驚いた。序文の「ここで私がしたいのは、科学における好奇心(センス・オブ・ワンダー)を喚起することである。」という文(8ページ)や「超自然現象を信じる心性というのは、詩的な畏敬の念(センス・オブ・ワンダー)が本来内包する感覚を踏みにじるものだといえるだろう。本当の科学がもたらすべきものはこの詩的な畏敬の念(センス・オブ・ワンダー)である。」という一節(11ページ)を読んで、センス・オブ・ワンダーといえばSFだなあなどと余計なことを考えていたら、第2章「客間にさまよいいった場違いな人間」に、「科学の衣装をまとった好奇心がもし詩人の中に生まれていたなら、さらに偉大な詩が生まれていただろう。その証拠にSF小説の世界を指摘したい。この分野は高くは評価されていない。しかしジュール・ヴェルヌ、H・G・ウエルズ、オラフ・ステープルドン、ロバート・ハインライン、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、レイ・ブラッドベリを見たまえ。そのストーリーはしばしば古代神話にあからさまに題材を得ているとはいえ、彼らは詩的な言葉を用いて科学のもつロマンティックな面を高揚し得たではないか。」(49~50ページ)と書いてあった。第7章「神秘の解体」には、フレッド・ホイルのSF小説「暗黒星雲」の一節を借りたという記述(202ページ)もあるし、ドーキンス先生はSFをお読みになるんだねえ。「祖先の物語」の参考文献。
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中央
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主にドーキンスの専門の?動物行動学、ダーウィニズムと統計学的な観点から「科学的思考は決してイマジネーションをおとしめるものではなく、むしろその逆」ということを啓蒙する。
「偶然の一致」に神秘性などを感じてしまう人間の傾向も、ダーウィニズムで説明しえる![p237]人間の脳はまだ石器時代ぐらいの設定で、現代社会はそのころに比べて大きな差があるということがそもそもの問題だ。
また、誤ってはいるが聞こえのいい素晴らしい詩的な表現(それが素晴らしいものであればあるほど)が多くの誤りを拡げてしまうことにも冷静に、冷徹に言及している[p275など]。
ドーキンスの脅威的なパラダイムシフトは、自然淘汰の単位を「個体」ではなく「遺伝子」にみたことだった。その軸から「ミーム」という人間の文化的な側面を遺伝子的なアナロジーで捉える概念も考案された。本書では最後にはこのアナロジー、類推が人類の飛躍的な発展要因であったのではないかと結ぶ。詩やアートの価値を進化論的に優位な戦略に寄与するか否かで判断しようとするのは面白いが、あくまでもひとつの側面であろう。 -
しばしば”神秘”や”奇跡”のような言葉で語られる非科学的な自然現象への解釈を批判し、同時に実際に自然の中に存在する感動的ともいえる驚異の事象を細かくほどいていく、読みごたえのある一冊です。
ドーキンスらしく、宗教やそれを利用したものにはとことん厳しいですが、決して過激さだけではなく、あくまで科学者の書いた科学への関心を呼び起こす本です。
特に興味深いのは動物が認識している世界が脳の働きによってもたらされている、という話。聴覚、視覚がいかに”欺いて”いるのか、という事実には驚かされます。
DNA鑑定を中心にした、「法の世界のバーコード」も、社会と科学を繋げる興味深い話題です。
一人の人間が書いたとは思えないほどの多種多様な話題で、文学にも精通しているのだから、本当にドーキンスは超人だと感じます。 -
『利己的な遺伝子』は絶賛2回目の挫折中ですが、これはすいすい読み進められました(図書館で借りて期限があったせいかも?)。
なんか分からなくても、これからポピュラ・サイエンス系をどんどん読み進めよう!って気になりました。文学だけでは分からない世界をもっと知りたいなと。
星占いに関するあのジョークは、私もいつか言ってみたい!!