貧困の終焉: 2025年までに世界を変える

  • 早川書房
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (534ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152087232

感想・レビュー・書評

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  • 使命感に駆られる本。実際に政府と経済を動かしてきた人だけに説得力あり。同時にそう簡単に政府に助言できない自分は何をすべきかと途方に暮れもする。

  • 著者の豊富な経験と経済学の知識が絡み合った開発問題の指南書。貧困問題にかける情熱がひしひしと伝わってくる。先進国は途上国の債務を放棄すべきなど、過激な発言も多い。しかし経済発展のはしごに足をかけさせることが援助の役割であり、そのために先進国は協調してもっと援助額を増やすべきだという意見には納得させられる。

  • 国際開発分野で働くきっかけとなった本

  • 著者のジェフリー・サックス氏が先日(10月2日)、国連大学で講演をしたので、それを聴講するにあたって数年ぶりに再読。前にこの本を読んだのは恐らく5年以上前。NGO職員としてそれなりの年数を重ねてから読むと、また違った発見があったりして面白く読めました。

    中盤の150ページ分ぐらいは著者が貧困削減のために取り組んだ各国でのケーススタディになるので、この分野に関心が強い人でないと面白くないかもしれません。ただ、この本が出た2006年当時と今とでは、例証されている中国やインド、ロシアなどの実情がかなり変わっているのが分かり、たかだか数年でも状況は大きく変化するんだなぁと実感できます。

    貧困撲滅に関し、著者は一貫して楽観的です。楽観的という言葉が悪ければ、希望をまったく捨てていないと言うべきかもしれません。
    世界中から貧困をなくすにあたり、先進国の役割と責任ばかりを強調するのではなく、現時点で貧しい状態にある国の政府や人々にも、一定の責任と義務を負わせるべきだという考え方にも好感が持てます。このへん、アメリカやヨーロッパの中途半端な視点の人だと、昔懐かしい「白人の責任」を持ち出して「貧しい人は何も悪くないから富める国はとにかく支援をしなければならない」となるし、一方で貧しい国(政治的傾向として貧しいという意味では中国なども残念ながら含まれるでしょう)は自国の責任と義務を棚上げにして「先進国は我々が発展するためにあらゆる貢献をすべきだ」となってしまうので、どう転んでも敵を作りやすい理論だとは思いますが、それを言い切ってしまえる度胸と見識は称賛ものです。

  • 共感

    教育・衛生・地理・・・・

    「傲慢な援助」へ

  • 世界1/6の最貧国が貧困から抜け出せない理由は、腐敗政治でも、民主主義の不足でも、自由化や民営化不足でも国民の怠惰でもなく、供与国の援助不足。

    特に成長スピードの遅いアフリカで、より多くの援助〈投資〉が必要とされる理由や方法論、具体的な投資セクターと必要額等が、明快に書かれています。

    軍事費一辺倒で約束を守らないブッシュ政権とIMFへの厳しい警告もちらほら…

    『地球全体を幸福にする経済学』では、同様のポイントがうまくまとめられている反面しっかり理解するのに少し時間がかかりましたが、本書はストーリーや事例がすーっとわかりやすく頭にはいってくる印象を受けました。

    サックス教授のようにここまで逸脱した現場感覚を持てるエコノミストの方が、もっともっと増えてほしいと願うばかりです。
    居ても立っても居られない使命感に駆られると同時に、こんな自分にいったい何ができるんだろうと悲しくもなりますが(´Д` )涙…

    とってもおすすめの良書だと思います。

  • 専門書と思ったけど、これは違った。

    貧困は解決出来るのか?

    何故、僕たちがどこか知らない世界の人達の為に、何かをする必要があるのか?

    その問いの答え、貧困を解決する事により、僕たちにどんなメリットがあるのか、小難しい用語を使わずに、分かりやすく書いてある。

    正直、エコノミストと呼ばれる人達はこの手の援助関連については、否定的な意見を持っているかと思ったけど、この著書は違う。

    専門書のようには見えるけど、専門書ではない勇気を与えてくれる本。

  • 貧困の現場とはどのような状態なのか知っていること、
    貧困を克服するためには統計的にどういった数値目標が達成される必要があるのか定量的に分析が出来ていること、
    その上で確実に必要だと思われる施策は、その施策を果たすべき機関や人物に推薦し続ける熱意
    政治とは根本的には人間が幸福に生活していくことを達成するためのものであり、最終的に貧困克服を決定的にするのは政治の力である。

  • 「貧困の終焉」のために
    一、”極度の貧困にあって生存のために毎日闘っている前人るの1/6の苦しみを終わらせること”
    二、”中程度の貧困も含めた世界中の貧しい人々全員に、開発の梯子を昇れるように機会を与えること”
    ~p,66~

  • 卒論を始めなきゃと、思って読んだ、家にあった本
    長かった。

    本に何度も書いてあったけど、「最貧国は経済成長のはしごに手をかけることすらできないでいる。そのはしごに手が届くように先進国からの援助が必要だ」ということが伝えたいこと。
    援助なしには手をかけることはできない。一時的な援助ではなく、経済成長のきっかけを与えられるための投資の面が強い。
    保健、教育、インフラなどへの投資が、最低限の生活から抜け出すチャンスを与えて、貧困の罠から抜け出すことができる。

    そしてその援助は一般的に思われているよりとても容易にできるはず。少なくとも現状ではあまりにも努力不足。

    開発経済を勉強したことはないけど、財政の勉強よりは断然おもしろそうだと思った。

    そして、もし自分がこういったことを仕事にするとしたら、決して悪い言い意味ではなく、現場から離れてこういう風に理論や計画を立ててお金を流すよりも、なるべく現場に近いところで働きたいと思った。
    こうして理論や数字をどんどん出されると現実味がなくなっていく気がする。
    あとところどころに数字のごまかしみたいのを感じた。

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