- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152091000
感想・レビュー・書評
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体の調子が悪い時に読むものではない。わかっているけど読んでしまう、そんな円城塔の最新刊。
はっきり言ってわからない。きっと意味は想定されていない。
円城氏の頭蓋にスパークした何かを紙面に無理クリ固定してみたらこういうことになったんだと思う。
余所様が横から見てわかるとかわからないとか云々言ったところでどうにかなるものでは、端から無いのではないか。
大急ぎで付け加えるが、面白い。
何か視認できないカラフルでふにゃふにゃしたものが超光速でぶっ飛んでいく。
元々視認できないし速度が測定できない、超高速なんだからきっと質量はないんだろうけど、そもそも超高速が何なのかわかっていないんだからどうしようもない。
と、無理やり出来もしない円城風に書かないとレビューもできない。
強いて言えばBoy's Surfaceよりはなんとなくわかりやすい気がするが、両冊共に理解できていないのだから比較しようもない。
無限と無限を比較するようなもの。
じゃあ何が面白いんだと問われると面白くなくなくて、読後に損をしたと思わないからだろうと無闇に消極的に答える他ない。
つまりこの本は¥1700+税より大きな質量を持っていると言える。
そりゃそうだ。206ページもあるんだから。
206ページ、どこをどのように進行しているか全くわからないお話を読むなど、元々正常な神経を備えた人間の仕業ではない。
書き進める方に至ってはもはや悪魔の所業。
ああ、きっとそういう正常でない読者に宛てて、そいつらが読み進めざるを得ない麻薬をそこかしこに突っ込んで文章を編む、世間様のお役に立つとも立たないとも評価の定まらない禁術を運用するのが円城氏なる悪魔なのだろうよ。
ああ、もう大好き。
いや、これをレビューと読んで良いのかどうかは、ボクにはさっぱりわからない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編集。
作者の本は初めて読んだ。どの話も淡々と彼の理論で進んでいく。説明しすぎず読者の理解への歩み寄りは最小限に留めていると感じた。
読みながら阿部公房の箱男に通じるものを感じてwikiで調べたところ阿部公房に影響を受けたと書いてあったので非常に納得した。二人の共通点はそこに書いてあることがすべてではなく、その作品を読むことで読者の頭に何かしら作用することで完成されるという点だと思う。
全て理解できない。おそらく半分以下しか作者の言いたいことはくみ取れていない。しかしそれでも考えるという行為まで含めてこの作品集なのではないかと思った。
表題作の「後藤さんのこと」は本文に何色も使ったり、タイトルは忘れたが掛詞で展開図を用いて言葉の表面積について考えたりと実験的な文章が多かった。小説ではなく評論に近い気がする。 -
文字の色を変えたり、問いかけたりと読んでいるこっちともコミュニケーションを測ってインスタレーションしているような小説。表題作の帽子の下りは面白い。ふざけ加減が絶妙でラストのエネルギー問題まで後藤さんを突っ走っていかせたのには感動すら覚えた。
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短編集。表題作の「後藤さんのこと」のみ読んだ。
文庫版は市川春子の絵が表紙なんだよなあ。
買おうかなあ…
2013.06.06 -
後藤さんとしてカテゴライズされる何らかの概念が、本書のように私達の身の回りで数多浮遊しているとしたら、それはプライベートランゲージの否定に対する挑戦であり、新しく世界を分割する言語的な意味論的な省察であって…といろいろ考えてみたけれど、実はそんなこと考えるは無駄なことであって、本書の主旨としてはただの言葉遊びなんだろう。たぶん。
でもそれは、佐藤さんでも近藤さんでもなく、後藤さんでなくてはならないのだと思う。 -
うーむ、相変わらずむつかしい...
短編集なんだろうけど、一つ一つがずっしり。
表題作の「後藤さんのこと」これも、簡単ではないけど一番読みやすくて、しかも結構面白かった。ちょっとくすっと笑えたりする。 -
(後で書きます)
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とりあえず、後藤さん(文庫)が出る前に読み終えられて良かった。
理解出来ているかどうかはさておき(いつものことです)、好きだなと思ったのは「考速」「墓標天球」。「墓標天球」にはほろりとさせられた。
「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」は、その辺のふと目に付いた文章の固有名詞を“銀河帝国”に置き換えて遊んでみました、みたいな感じか。“銀河帝国”という単語の重々しさ・重厚さと、文章の小市民な雰囲気のギャップに大変笑わせていただきました。
内容+装丁の良さで星4つ。 -
表紙(帯?)とか二色刷りとかとにかくその趣向がすきです。