四季彩のサロメまたは背徳の省察

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 383
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095374

感想・レビュー・書評

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  • 耽美で淫靡な連作ミステリ。「歩く女百科事典」ってなんだそりゃあ、とか。節操ないにもほどがあるだろ、とか突っ込みたくなってしまうのですが。猥談もこんな感じで語られると芸術的に思えてきますね……現実にいたらかなり困りそうだけど、キャラクターとしては魅力的です。
    一人の少女の死を巡る謎から、それぞれの恋慕と嫉妬と謀略がぐるぐる渦を巻いて深まっていく物語は絶品。そして怒涛のラストにはもう絶句するしかありませんでした。「サロメ」を絡めたなんとも美しくて残酷な謎は、永遠に解かれることがないのかもしれません。

  • 題名通りの話でした。
    あと、表紙通り。
    …いや、表紙はちょっと違った感も醸し出しているのでそれはさておき。

    作中に出てくる絵画を画像検索しながら読んだら面白いかもなと思いました。やってません。
    通勤電車で読むのはさすがにちょっと無理だった。

    こんな感じの本、いつか読んだことがあったなと思い出そうと思ったのですが出てこない。
    表が裏で裏が表で。
    なんだったかなあ、気になるような気もするけど気にならない。

  • オスカーワイルドの「サロメ」を中心に置いた推理もの。

    4章からなるが、各章のテイストは少しづつ異なり、最初はオカルト風味で最後は推理風味となる。また、1章は「乳房」2章は「尻」3章は「太腿」4章は「背中」と、フェティッシュも色とりどり。全編を通じて絵画や文学それに音楽など、美学の各要素がちりばめられている。そしてやっぱポオなのね。マラルメなのね。

  • 私立扇央高校朗読部の主・華影忍。〈歩く女百科全書〉を自称する彼は、新入部員の後輩、通称「カラス」から、春休みに一目惚れした女生徒を探してほしいと頼まれる。だがカラスが探していたのは、「存在するはずのない」少女だった。
    カラスの仄かな恋心は、嫉妬が引き起こした残酷な夏の事件、軽薄さが全てを崩壊させた秋の事件を経て、次第に忍と彼の婚約者との歪な関係へと繋がっていく。青い春の只中で、今は亡きサロメの幻影に囚われた美しき男子高校生の1年を描く。

    エロ×ホラー×ミステリ×芸術。カオス!頼むから忍先輩もう何もしないで!という感じ。忍先輩とかその周囲の女たちとかがしてることって昔の少コミとか携帯のTLマンガみたいな下品極まりないことなんだけど、不思議と耽美で尊いことみたいにみえるのが森晶麿マジック。あいまあいまで、尻とか太腿とかの美学も挟んでくるのがずるい。
    しかしレイカさんとかマラルメとか美学とかのワードを放り込んでくるから、カラスと黒猫のリンクにワクワクさせたいのだろうけど、逆効果な気がする。現状の黒猫と剥離しすぎてて、違和感あって白けてしまう。ただの美しい後輩ってだけでよかったなと思ってしまいました。付き人との初々しい関係がよかったのになー。

  • こんな高校時代過ごしたら一生囚われちゃう。
    森晶麿さんの描くある意味高校生ゆえの愛のかたちなのかな。
    それをバスの中で読んでしまう私の背徳感…

  • この作者イケメン書くの好きだよな~。理想詰め込み過ぎててもうイタいを超えて笑える。
    なんだかんだ綺麗ごと言っても好きな女ひとりわからないなら意味ないのでは。

  • ああやっぱりカラス…!可愛いやないの。
    乳房もんだりなんだりなかなかエロスでした。
    森センセは女子が好きそうな男子をよく知っとられる。
    黒猫読み返したいな。買うべきか。

  • お耽美な雰囲気で
    見事に惑わされました

  • あっという間に読み終わった。
    黒猫シリーズみたいなのをちょっと予想していたが、全く違った。性の話ばかりで同じ著者とは思えない。凄い世界観。
    生々しい描写が多いけど、謎が気になって読んでしまう。
    そして、最終的に終わりのない闇。
    怖かったけど、面白かった。

  • この背徳のかたまりなお坊っちゃんはなんなんだ、と唖然としたけど女性のほうが上手であった。

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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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