ユートロニカのこちら側 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 291
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095770

感想・レビュー・書評

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  • 世界観が素晴らしい。作者の頭脳明晰なことが際立っている。近未来を予測させる内容で、非常に面白く読ませて頂いた。

  •  少し心が辛くなるような話が多いが、テーマ性が強く、非常に面白かった。マイン社の技術やアガスティア・リゾートを中核として、様々な登場人物の視点から、多面的に描写していく。キャラクター同士の交錯、そして時代の進行とともに変遷していく世論の描き方が面白かった。
     特に、ゆっくりと浸透していく技術や作中で描写された世論にはリアリティがあって、世界の前提からして違うハーモニーと比べるのはナンセンスかも知れないが、実際に意識の消失が起こるならこういう風になるのかもと思った。
     派手さはないけど、扱うテーマは面白く、情報端末が広く普及した現代だからこそ、身に迫るものを感じた。
     もう少し、SNSを通じた意見の発信(とりわけドーフマンが批判されたときとか)を取り入れるとより地続き感が強まったようにも思う。ただここは、意識して省いたのかもしれないし、あまり決定的に評価が変わる部分でもない。

     SFコンテストの選評がついているのも、個人的には面白かった。

  • 短篇で、色々な角度からユートロニカの姿を描く
    終わり方は、古い思想と新しい概念の融合による救いなのかもしれないし、新しさの受容ができない人は古い思想の残骸に頼るしかないという当然の答えなのかもしれない

    もう少し書き込んで欲しかった気もするけれど、クリアで乾いた読後感が心地良い

  • 『仕事をせずに暮らすため、プライバシーを捨てますか?』

    先日、直木賞を受賞した小川さんが、アメリカを舞台に、高度情報化社会の近未来を描いた作品。視覚や聴覚を含めた個人情報がすべて筒抜けになったら、何が起きるのか?その先に、ユートロニカ【永遠の静寂】は訪れるのか?

著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で、「ハヤカワSFコンテスト大賞」を受賞し、デビュー。17年『ゲームの王国』で、「山本周五郎賞」「日本SF大賞」を受賞。22年『君のクイズ』で、「日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞。23年『地図と拳』で、「直木賞」を受賞する。

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