燃える頬

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 32
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163194103

作品紹介・あらすじ

あの夏、ぼくは十五歳だった。父さんと二人、戦争の音が遠く響く森で暮らしていた。そして、僕はあの人に出逢った。炯る目で遠くをみつめる、あの人に-性と死を知り、大人になる季節を流麗に描く傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • まず装丁画のターナーの「メルクリウスとヘルセ」がとても…美しい…。
    しかし、この絵画のテンションじゃなくね…………???????
    だって久世光彦だぞ………???????????????????
    ってくらい、いつものリアル寄り湿っぽいときの久世光彦でした。

  • 私小説。面白くもなんともなかった。読むだけ無駄

  • 戦争の最中、主人公の15歳の少年夏夫とその父親は、疎開という名目で森の中の丸太小屋に移り住んだ。戦争と遠くかけ離れたような美しい森の中で、夏夫は父親との男同士の生活に誇りを感じ、また、年上の「あの人」との出会いによって性を知る。まだ15歳なのか、もう15歳なのか、夏夫は常にその問いに直面しながら、少年の世界から男の世界へと足を踏みいれていく。
    自分の家族を男側と女側に分け、男である自分と父親の生活を守ろうとしたり、女である母と姉を嫌悪したりする一方で、大人の女性である「あの人」に肉体的にも心理的にも溺れていく夏夫の姿が、大人になろうともがく少年の一面をうまく表現している。そういった面から見ると、「あの人」がいわゆる魔性の女のように描かれているのも、ふさわしい設定である気がする。また、夏夫と父親の終盤の語らいの場面には静かな感動があり、夏夫と一緒に泣いてしまった。

  • 映画の引用がいまいちよく分からなかった気がした…。
    のは、ゲームしながら読んだせいだろうか(我ながら不躾)


    浮かぶ情景が戦争中の日本じゃない。
    アメリカの片田舎とかの方が近いかも。

    なんだか綺麗な作品だった。
    森の音とか、夏夫とあの人とか、上手く言えないけど、ただ単純だけど、良かった気がする。
    母と姉はねー、自分も一応女だけど「これはないな」と思った。誰であろうと「領域」ってものがあるんじゃないの?
    それによく泣く人間って好きじゃない。泣いたら話なんてできないじゃない。
    でもこの二人も実際居たら辟易するけど、物語全体で見ると「別にいいんじゃない」って感じ。
    ただ、森を浮かべた時にあの二人は思いたくない。
    自分が夏夫だったら強引にでも追い出してるな……


    15歳って、大人なようで子供だなーと改めて思った。
    もう全然子供だね。自分も今15なんだけど。

  • 久世さんが亡くなってから、どういう文章を書かれた方なのか気になって読みました。田舎の自然や子どもというものがつくる空気の中にこういう性的な妖艶なものを絡ませられるのが新鮮だな、と思いました。

  • 不思議な森の生活。舞台は第二次世界大戦末期、主人公は父と二人で東京から疎開してきた15歳の少年。戦争はますます激しくなっていたはずなのに、その森の生活には、まるで生活苦や食糧難といったものからはかけ離れ、優雅ささえ漂っている。日本の片田舎であるはずなのに、西洋的な空気感はなぜだろう。疎開先の森の日々は、ゆっくりと静かではあるがその一夏に少年はある女性と出会い、少しずつ大人へと変わっていく。

  • 昔子供だった若いおじさんたちへ。
    夏休み時期に読むのに最適。
    なんとなくあこがれてしまう。

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著者プロフィール

久世光彦

一九三五(昭和十)年、東京生まれ。東京大学文学部美術史学科卒。TBSを経て、テレビ番組制作会社を設立、ドラマの演出を手がける。九三年『蝶とヒットラー』でドゥマゴ文学賞、九四年『一九三四年冬――乱歩』で山本周五郎賞、九七年『聖なる春』で芸術選奨文部大臣賞、二〇〇〇年『蕭々館日録』で泉鏡花賞を受賞。一九九八年紫綬褒章受章。他の著書に『早く昔になればいい』『卑弥呼』『謎の母』『曠吉の恋――昭和人情馬鹿物語』など多数。二〇〇六年(平成十八)三月、死去。

「2022年 『蕭々館日録 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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