サンタのおばさん

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (66ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163205403

作品紹介・あらすじ

今年もイブが近づいて、恒例のサンタクロース会議が開かれます。その年から新たに加わることになったサンタは何と女性。女性サンタを認めるかどうかで会議は大騒ぎに…。

感想・レビュー・書評

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  • 10年以上前に読んでからの再読。

    約20年前に書かれた本ながら、ジェンダーや人種差別、現代の父親像や少子化問題をさらっと書いてる東野圭吾は流石。

    中学生の読み聞かせにと思ったけど、ちょっと長いからブックトーク的な紹介が理想かな。

  • 東野圭吾による絵本です。私にとっては初めての東野圭吾がこれ 笑
    初版が2001年のようですが、男女や人種の役割への思い込みに触れていて、最近論じられる社会問題にも通じています。

    ===

    世界中の子供達にプレゼントを配るサンタさんは、実は11人いるんですよ。アメリカ・サンタ、日本・サンタ、イタリア・サンタ…11人のサンタさんは、毎年フィンランドに集まってサンタ会議を開きます。今年は新しくアメリカ・サンタを決めることになっています。紹介された新しいサンタ候補を見た他のサンタたちはびっくり。だって女性だったんです。
    サンタといえば男性でしょ?父親の象徴でしょ?元となったセント・ニコラスだって男だし、サンタは赤い服にひげを生やすんだし…
    「いやいや、わたし、オセアニア・サンタは、真夏のクリスマスにサンタスタイルは暑いので、アロハシャツでサーフボードを認めてもらってますよ」
    「わたし、アフリカ・サンタは黒人ですがサンタに承認されましたし、ライオンに襲われないように赤は免除にさせもらってますよ」
    そう、サンタたちは、人間の生活の移り変わりとともに、みんなで話し合って人々にあったサンタを承認してきたのです。それなら女性がサンタだって良いではないですか。
    そしてアメリカ・サンタ候補の女性は言います。「私にサンタになって欲しいと言ったのは、私の息子です。息子の父親は亡くなりました。でも息子は『ママはパパの分も僕を愛してくれるって言ったじゃないか』っていうんです」

    人間の風習は、その時々で変わってきました。
    姿形に拘る必要はないではないか。

    こうして新アメリカ・サンタが誕生しました。
    初仕事は上々です。もちろん息子も大喜び。
    そしてクリスマスイブの仕事が終わった深夜、母と息子は新たな家族を…。

    ===

    初、東野圭吾がこれでした 笑
    絵も可愛らしくて(ただしサンタのおばさんは『小太り』って書いてあるけれど、絵はすっきりした 可愛らしいおばちゃんというのがちょっと合わない…姿形にこだわるな、というなら無理にスレンダーに書かずに小太りでいいじゃん。。)、11人のサンタたちが、アフリカサンタは緑のマント使用だったり、日本サンタはこたつでくつろいでいたり、オセアニアサンタはビーチでおやすみだとか、個性豊かです。
    サンタの歴史についても、モデルはトルコのセイント・ニコラスということなど、さり気なく知識的なことも書かれています。

    しかし言っていることはなかなか切り込んでいる。
     セイント・ニコラスってそもそも白人じゃないよね?だったら女性でいいじゃん。
     父性を与えられるのは男だけとは限らないし、母性を与えられるのは女性だけとは限らない。
     日本の子供たちにはみんなゲーム上げればいいから日本サンタは楽だよね。
     最近は父権が失墜しているので、サンタは最後の砦なんだ!いやそんなものをサンタに求めるな。
     子供たちはお金さえくれれば父親でなくてもいいんじゃないか。

    これらを「絵本」としてでほんわかした雰囲気を持たせて書くのですからやっぱり東野圭吾すごいですね。
    そして物語のラストでは、人間の、大人のロマンスもちょっと漂います。

  • サンタの現実…みんなに夢を届けようとすると細かい決め事が存在するんだな笑。サンタになる為の条件を各国のサンタが真剣に議論してて面白い。

    日本サンタは日本が少子化でプレゼントが少なくて済む、ゲーム機だけ配ってればいいと周りから若干バカにされてる笑。発言したと思ったら、サンタが父性の象徴。父親の地位の失墜につきサンタは父親たちの最後の砦 笑。個性がしっかりあっていい感じです!

    心温まるストーリになっています。絵本だけど漢字や表現が難しいから小学生向けでなくて、中学以上?向け。カラーのイラストがキレイでかわいいので、全ページカラーだったら尚良し。

    絵本の東野圭吾もとてもいい!

  • 東野圭吾さん、ミステリーだけじゃなくて、ほっこり系も執筆する事に驚き!そして、面白い!!!
    サンタクロース=男という固定概念があり、女性がやってもいいじゃない!という、現代に対応したサンタクロース物語だなぁと。
    まさかの最後、そういう展開とは。。。笑笑

    あと、杉田比呂美さんの絵もすごく可愛くて癒される!!!

  • 優しい絵で、「サンタさんはこうじゃなきゃいけない」とか「今まではこうだったから」というサンタさんについての固定観念の話をしている絵本。

  • 東野圭吾さんが書いている絵本。
    サンタのおばさん?
    と思い手に取ってみると、なんと作者が東野圭吾。
    びっくりして読んでみました。
    癒される、とても良い話でした。
    絵本だけど、話の展開が面白く、大人にも読んでほしいと思いました。私は好きです。
    杉田比呂美さんの絵もお話によく合ってて、海外の絵本では?とちょっと錯覚する本です。
    最後はほんわかして、温かい気持ちになりました。
    読んでよかったです。
    人に勧めたいです。

  • (あ、間違って置いてる…。)

    と、刺さった棘を抜くような気持ちで、東野圭吾さんのコーナーから
    この絵本に手をかけた。

    だから、驚いた。

    (東野さんって、絵本まで書いてたんだ!へぇ~♪)


    読んでみると、

    タイトル通り。

    女性がサンタになる、なってもいいか?と言う話。

    (サンタ会議)があまりにも堅苦しくて、逆に微笑ましかった。^^♪

    最近のクリスマス事情についての嘆きなどは、

    全国の大人の嘆きでもあるんじゃないかな?

    昔ほど、大人も子供も真剣に(サンタ)に頼ってはいないでしょう?
    (サンタの正体、暗黙の了解。とかね~)

    さて、問題の女性ですが、彼女はサンタクロースとして、無事公認されるでしょうか!?

    サンタクロースが白人で白髭で、男性限定じゃなくちゃいけない、なんて
    もっとも著者が嫌がりそうな既成概念ですからねぇ~。^^;

    巻末のたくさんの個性的サンタがとても可愛らしかった!

  • とても優しいお話でした。
    こういう作品もサラッと書いてしまう作者に脱帽!
    これからも色々な作品を待ってます。

  • まさしく、多様性の時代のサンタクロース☆
    今年も幸せなクリスマスが訪れますように❣

  • この本が出版されたのは2001年。
    サンタ協会ではサーフィンでプレゼントを配ることも、グリーンの服でプレゼントを配ることも承認されているらしい。そしてついに女性のサンタも誕生した。

    これまで、サンタと聞いて、女性をイメージしたことがなかった。
    確かに、男性だけがサンタとは限らないと思った。
    確かに、父性は男性にだけあるものではないし、また母性も女性にだけあるものではない。

  • 現在の社会に対する風刺が鋭い。そして優しさも満ちている。
    大人へのクリスマスのプレゼントにもよさそう。

  • 普通の絵本だと思って手に取ったら、作者が東野圭吾でびっくり。翻訳作品かと思ったけど、れっきとした20年前のオリジナル作品です。

    タイトルからして惹かれるし、話の展開もオリジナリティーに溢れ、多種多様性の要素も入っていて、最後はほっこり。20分程度で読める軽い本です。


  • 「告白」のスピンオフであるこのタイトルの絵本が本当に存在すると知り、また自分の住む市町の図書館が保有していたこともあり、興味本位で読んでみました。
    で、好意的な感想が多い中、ケチをつけるのは恐縮ですが、以下、盛大にツッコませていただきます。

    まず本書に登場するサンタ協会の支部配置地域の選定は一体誰が?全部で12支部あるが、アメリカ、カナダ、フランス、イタリア、イギリス、オランダ、ドイツ、ベルギー、フィンランド、日本、で、いきなりオセアニアとアフリカとは、また随分偏った配置ですな。政治的な、作為的な意図を勘ぐってしまいます。

    また、日本や欧州で現代に定着している、いわゆるサンタクロースの標準スタイル「白い髭、白い眉、赤い外套、赤いズボン」は、かのグローバル企業コカ・コーラが流布したイメージであって、そもそもサンタクロースは各国それこそ多様な姿をしていたはず。(もちろん性別や年齢も多様。)なので、女性がサンタクロースになることの是非について議論するなんてのは、随分と不寛容で排他的な組織なのだなぁという印象。

    そしてそれぞれのキャラクターも、イタリアサンタは時間にルーズで陽気、ドイツサンタは規定に厳しいだとか、これこそザ・ステレオタイプというか、偏見に満ち満ちているなぁという印象。

    もちろん、主題は、
    「姿形など大した問題ではない。」
    「問われるべきは人間的資質。」と、
    おっしゃりたいことはわかるのですが。
    男も女も無い!と訴えたい割に、まずタイトルから「おばさん」と付けてしまうあたりも随分乱暴な気がします。
    (好意的な意味を込めて、またわかりやすくする為のあえての「おばさん」なのかもしれませんが。)
    以上
    五月蝿〜いおばはんからの、どーでもいい指摘でした。既読スルーお願いしまーす。てぺぺろ。

  • 絵がほのぼのしてて癒された(笑)
    女性がサンタになっていいものか?的な話。
    『ちょっぴり切ない』って帯に書いてあったけど私にはどこにも切ない要素は発見できなかった(笑)
    大人の絵本て感じだね。

  • ほのぼの…クリスマスの前にもう一度読んでみる。

  • クリスマスをひかえた12月のある日、サンタクロースたちの会議が始まった。
    議題は『女性のサンタは認められるのか』…

    議論の掛け合いの中で各地のサンタの性格や国柄、情勢が織り交ぜられていて面白い。
    大人向けの絵本というよりは挿絵が多い短編という感じだった。
    読むとちょっぴり温かく、優しくなれる気がする。
    クリスマスだけじゃなく何もないときでも読んで欲しい本かも…

  • 大人でも十分満足のサンタさん絵本。ほっこりした。それぞれの国のサンタさん。どの国のサンタさんも子供を思って頑張っています。

  •  ただの絵本?と思った方。

     扱うテーマはすべての年代がわかりやすいが、とても考えささせられるお話。

     本はただページ数が多ければ良いというわけではなく、メッセージが大事だなと立ち返ることができる。

  • 小学生とか中学生に分かりやすく「多様性」を伝えてくれる本だなって思ったし、大人にとってもじんわり心を温めてくれるような、それでいて考えさせられるきっかけとなるような、そんな絵本だった。絵が温かくて好き〜。
    東野さんの言葉選びが一つ一つ丁寧で、それにあった絵で、外国の絵っぽいのも雰囲気あるし、個人的には結構お気に入りの本になった!
    押し付ける感じがないのも良い○

  • 小学生でもスラスラ読みやすく、多様性を受け入れることを分かりやすく絵本にしてくれたような本でした。

  • ほんわか、心があったかくなる話でした。

  • 子供に読ませてみたい。
    昔の大人にも読んでもらいたい。
    とてもいい作品でした。

  • 2001年の作品だけど、むしろ今の方がもっと評価されて好まれそうな話だった。サンタは男、爺さん、白髭、赤い服、お決まりの容姿だが、暑い国ではアロハシャツ、猛獣に襲われる危険があるから赤ではなく緑、色黒のサンタ、等、特例が認められてきた。じゃあ、女のサンタもいてはいいのではないか?
    最後の方のページの、各国のサンタのイラストが面白くて好き。特に日本のサンタ。

  • 東野圭吾さんが絵本を出版されているのを知らず
    図書館でなんとなく手に取って作者をみてびっくり。

    そういえばサンタって男性のイメージしかなかったなぁと思うと同時に世界の多様性について、短い話ながらも考えさせられる内容。

    各国のサンタのイラストが可愛い。

  • 30分もかからず気軽に読める本。(文字の多い絵本という感じ)
    ほっこり可愛いお話だった。

  • 東野圭吾作の絵本。

    様々な国を代表するサンタのご発言に、それぞれのお国の特徴が出ているところも面白い。
    日本サンタの熱弁も一人の父親である私の代弁者かな?(笑)

    男女それぞれ。
    既存のルールと新しい流れ。
    いろいろ盛り込まれています。

  • 心あったまる・・・

  • 杉田さんのかわいらしい絵に癒されます。絵本だけど東野さんが書いているだけあって
    大人が読んでも十分楽しめる。むしろ深読みすればするほど考えさせられる内容です。

  • 文章も絵もいいね。
    この本こそが素敵なプレゼント。

    小学校高学年くらい(?)から、進学やら就職やらで自分の立ち位置が変わるたびに目を通してみたら、都度違った視点での発見をしながら読んでいけるんじゃないかな・・・なんて思えるくらい、短い中にいろんなものがつまってて、かつ読後はちょっぴり温かい気持ちになれる本。

  • サンタ達の会議の様子が面白かった。イラストがとても良い雰囲気を醸し出しているので、そこから想像すると、サンタさん達が可愛くて、ほっこりした^ ^

    ダイバーシティの研修の材料として使われたりするみたい。なるほど。
    確かに、あーこういう見方もあるなーとか、ステレオタイプにとらわれてたなとか、気付く部分もあった。
    気軽に読めて、楽しみながら、視点が広がる良書。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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