夜を着る

著者 :
  • 文藝春秋
3.13
  • (8)
  • (18)
  • (62)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 204
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163267500

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 旅や移動にまつわる八編の短編。
    付き合っている彼女に二度目の中絶をさせたあと、ドライブする話や、大学卒業旅行中に友人が付き合っていた教授が事故死したことを知る話など、ため息をついてしまうようなストーリーばかりだった。
    個人的な嗜好を言わせてもらうと、ため息をついてしまうような話がとても好きだ。

    妻子がいるのに教え子に恋をしたものの、教え子に逃げられた哀れな大学教員の話。『終電は一時七分』について書く。

    (簡単なあらすじ)
    殺した女を自宅敷地内に埋めて、七年間過ごして捕まった男の家を見に来た五郎。恋仲だった教え子の紹子には逃げられ、もちろん妻子には拒絶され、ボロボロの状態のはずが、五郎はまだ演技をしているようだった。死体が埋められていた家の前で出会った女が五郎を誰かと間違えたとき、五郎はその男になりすました。なんとなく新聞記者のフリもしてみる。

    (簡単な感想)
    いまの自分は本当の自分じゃない、みたいな態度だから教え子にも笑いものにされて、奥さんお子さんとの関係もめちゃくちゃになってしまったんじゃないかな。日常的に演技ばかりしてると、演技している自分が普通の状態になってしまったりするのかもしれない。そんなふうに思う。

  • 旅にまつわる8つの話が収録された短編集。
    筆者にとって旅先は「いずれは立ち去らなければならない場所」「もう二度と来れない場所」だった、という背景を知ると、8つの物語から感じていた逃避感の理由がわかった気がした。
    あとがきを読むのが一番楽しかったかも。

    <収録作品>
    アナーキー/映画的な子供/ヒッチハイク/終電は一時七分/I島の思い出/夜を着る/三日前の死/よそのひとの夏

  • 旦那の尻尾を掴んでやろうぜ――スイミングスクールで知り合った美穂と秋郎は東北へと向かう。
    (アマゾンより引用)

    この旦那嫌なヤツだったな

  • よくまぁ、これだけのシチュエーションの男と女の話があるもんだ。
    世の中の人たちって、こんなにたくさんの経験があるのかしら……と錯覚してしまう。
    小説家ってすごいなぁ……

  • 旅にまつわる短編集。人が旅に出るのには理由がある。それが小旅行であろうと、あてのない流浪の旅であろうと。晴れていようと、曇っていようと。孤独であろうとも、そうでなくっとも。人生と同じように、すすむ。でも、何かを見つめ直すのにはいい機会だなぁ、と改めて思った。

  • なんとも摩訶不思議なタイトル... と同じく何気ない日常の一コマなのになんだこの非日常的な感じw

  • 短編8つ。
    二度目の堕胎帰りのカップル、不倫相手からすすめられた島に母と一緒に旅行した思い出、浮気相手の死を恋人たちとの旅行中に知った女など。
    どの話も陰鬱な印象だった。
    相手とわかりあえない苛立ちから突飛な行動をとってしまったり、それでも思い切り良く突き進めずにうやむやにしてしまったりするかんじがリアル。

  • 井上荒野さんの作品を読むのは初めて。短編集。名前は荒野(こうや)と読むのだとずっと思っていたけど、(あれの)さんだったのね。
    自分としては、小説でもあまり男女の恋愛モノが好きではない。中でも不倫とか浮気とかを美談にしたドロドロ劇場は読んでいて不快感しかないから嫌い。この作品は純粋に恋愛モノってわけではないだろうし、テーマはもっと違うところにあるのだろうけど、節々に垣間見える男女の関係が自分としては苦手分野にあって幸先不安を感じた。でも、じっくり読んでみると、その恋愛模様も含め意外と気持ちよく読めた。現実的で決してハッピーエンドで終わらないところも良かった。装丁もなんとなくクラシカルな感じがあってイイネ!

  • 一度読みたいな、と思っていた作家さんで図書館で見つけたので借りてみました。
    読んでいてすごく感じたのが、主人公が不幸な女性ばかり。
    他の方がレビューで書いていたとおり、「曇り空」な作品。
    私は嫌いではないです。
    文章も読みやすく、きちんとした文体で書かれていて、他の作品も読んでみたいと思う

    「アナーキー」「映画的な子供」「ヒッチハイク」「終電は一時七分」「I島に思い出」「夜を着る」「三日前の死」「よそのひとの夏」8編からなる短編。
    どの話の女性も少し不幸で、男性はデリカシーがなく最低。
    後ろから3作は改題をしているみたいだけど、改題後の方がいいタイトルになったと思う。
    「映画的な子供」「夜を着る」「三日前の死」が好き。

  • あとがきが気に入ったから手元におきたい

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上荒野の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×