- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163812205
作品紹介・あらすじ
"知恵伊豆"この賢者なくして「徳川の平和」はなかった。老臣たちの権謀を抑え、江戸城下の建設に腐心する松平信綱に最大の試練「島原の乱」が迫る。松本清張賞作家が為政者の真の勇気を問う意欲作。
感想・レビュー・書評
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知恵伊豆と呼ばれ、三代将軍家光の全幅の信頼を得ていた松平信綱。彼が実子のように信頼していた少年、小太郎。少年時代から神童と呼ばれ、信綱の意向で長崎に下り、医学を学ぶ。長じて医者(南蛮医)となる。江戸に凱旋するが、信綱の出世を快く思わない政敵などの暗躍で、本人の意向とは別のところでキリシタンとの関係を取り沙汰される。折しも飢饉が続き、島原では不穏な動きが目立つようになり、その取り締まりとして信綱が抜擢され、軍を率いて鎮圧に向かう。小太郎の青年期に起こったことが徐々に判明していっても、二人の信頼関係は揺るがないのだが、、、。キリスト教に対する徳川の苛烈な取り締まりは、小説を読むだけでも心が揺さぶられる。村木さんの本は「マグガリータ」以来だが、期待以上の内容で大満足。
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知恵伊豆と呼ばれた松平信綱と、まだ若き彼の元に医術を学びたいとやってきた少年小太郎の物語だ。
知恵伊豆は村木嵐のほかの作品でも登場するからよほど好きな人物なんだろうな。
江戸の切支丹迫害を丁寧になぞった物語で、切り取られた時代やモチーフとしては興味深いのだけれど、作者が語りたいのが信綱なのか健之丞なのかどんどんと排他的になっていく時代の流れや移ろいやすい人心なのかがわからず、興味深い、と思いつつものめりこめないままに終わってしまった。
タイトルの意味は最後に判明する。寂しいタイトルだ。 -
著者は司馬遼太郎家に勤めていた女性で、司馬氏に「むら気らん子さん」とあだ名されたことから、このペンネームが生まれたらしい。
この作品は徳川家光・家綱の時代に活躍した松平信綱が主人公だが、作中で大きな役割を果たすのは、事情あって信綱の養子となった美少年(架空の人物)の存在。作品には伏線が多く、推理小説を読むかのような面白さがあった。 -
『マルガリータ』を書いた時、弾圧する側の人物信綱も書こうと思ったそうだ。「立場も生き方も違った人々が、そのとき胸に抱いた思いを書きたかった」とは著者の弁。
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「感動したー。泣いたー」と夏目父。
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知恵伊豆と呼ばれた養父・松平信綱と医師を目指す健之丞の物語。
互いの立場を思いやるがゆえの決断なんだろうけれど、もどかしいなぁ。