三国志 第十二巻

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163824406

作品紹介・あらすじ

前代未聞の宮城谷「三国志」、堂々の完結!曹操の祖父は宦官だった――かつてない地点から始まった宮城谷版「三国志」。最終巻の今回は蜀の滅亡=三国時代の終焉が描かれます。

感想・レビュー・書評

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  • 正史ベースの宮城谷版三国志の完結巻。

    本巻では、司馬氏が主権を握った魏の内紛、皇帝が力を取り戻そうとする呉の政争、そして蜀の滅亡までです。
    最後の最後まで政治の中心にいる人物像が見事に描かれていて、正義が必ずしも勝てなかったり、政権を握っても堕ちていったりと歴史は繰り返しますね。
    足かけ13年の大作で、演義で有名な部分だけでなく、曹操の祖父の時代から始まり、蜀の滅亡までの約150年にわたる歴史を均質な視線で書ききられたのはさすがです。
    以前にも感想に書きましたが、演義では主役級の諸葛孔明などはむしろこれまでの像よりかなり小粒になってしまっています。
    それよりも、演義前、演義後の登場人物にも魅力があることを知り得たのが大収穫でした。

  • 魏軍の快進撃に蜀は浮き足だつ。遂に皇帝の劉禅は、魏への降伏を決定する。呉も孫休の逝去で衰退が始まる―。
    <amazon商品詳細より>

    呉の内乱と衰退、魏の内乱と蜀の滅亡。
    どこも内乱だらけではあるが、呉の内乱がむごい。
    権力争いだけに特化して、国の国力を下げるだけ。
    魏では司馬氏が実権を握り、
    それに反発する者たちの内乱が相次ぐが、
    司馬氏の政治が悪いとは思われない。
    だからこそ魏王朝から禅譲を受けて『晋』として成立したのだろう。
    蜀の滅亡はあっけなかった。
    何度も姜維が魏に攻め込んではいたが、何の結果も得られず、姜維の奮闘虚しく、劉禅は一戦に及ばず降伏する。


    宮城谷さんの三国志にあるのは、ヒーローたちの物語ではない。
    その時代に産まれ、生きていた様々な人たちの姿である。

  • 蜀が滅び、魏が晋になり、呉が併呑されて
    三国時代が終わった
    ここまで続いた物語を読んだのははじめて

  • こうして晋ができたんだ!

  • 【前代未聞の宮城谷「三国志」、堂々の完結!】曹操の祖父は宦官だった――かつてない地点から始まった宮城谷版「三国志」。最終巻の今回は蜀の滅亡=三国時代の終焉が描かれます。

  • 壮大な物語も終盤へ。
    蜀の没落は劉禅のせいにされるが人材が枯渇しているなか大虐殺を発生させずに幕を降ろさせたのだから暗愚と決め付けられまい。
    呉の滅亡までは詳述なし。

  • 最終巻でした。
    意外と最後があっさりで「えっ?もう終わり」というかんじでした。
    黄巾の乱以前から始まり、物語性を排した文章に苦戦したけど、資料を追うような楽しさがあり面白かったです。

  • 173年に及ぶ英雄達の歴史がいよいよ終わる。司馬兄弟は夏侯玄、諸葛誕らを死に追いやり、魏の実権を握り、司馬師の病死後、昭は蜀を滅ぼす。呉も孫綝の独裁を取り除こうという企みが。蜀の最後の将軍・姜維が最後の秘策を考える中で、洛陽に着いてからの蜀の廃帝劉禅の脳天気ぶりが寂しい。これが正史であれば、正しい歴史を認識するためには必要な本だと思うが、小人物たちの興亡の繰り返しは人間の醜さの歴史である。魏の晩年は後漢の後をなぞるかのよう。12巻を通してはっきりした主人公がいない中では小説よりは通史というべき内容で、わかりづらさは否めない。この中で圧倒的な存在感があったのは8巻まで登場する曹操1人だったように思う。

  • 余りにも淡々とし過ぎて小説というより論文のようだ。
    史料を繋ぎ合わせて事実と思われることを類推し、矛盾や欠落は指摘する。
    想像の翼を広げないのであれば、史料を読んでいれば良いということにはならないか。
    作者の義務感のようなものばかりが感じられた。

  • ときに春秋の英雄たちを引き合いに出しながら、あるいは異なる文献から歴史の真実と裏表を描いたこれまでにない三国志。様々な視点から三国志の姿を見せてくれた。どちらかと言うと化けの皮が剥がれたといった感が大きい。英傑達への失望ははかり知れないものがあるが、しかるにこれが現実なのであるとも思った。どこか安心もした。肩の力がすっと抜けたようなエンディングの静けさはこの三国志の象徴のようでもあった。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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