てらさふ

著者 :
  • 文藝春秋
3.16
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本棚登録 : 285
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900087

感想・レビュー・書評

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  • 将来を夢見るのは若い人の特権だけど、Wikipediaでどのように書かれるかを想像するなんてのは時代ですかね。でも、どうせ見るならまっとうな夢を見て欲しい物です。
    完全な別問題だと分かりつつも、ちょっとだけ、最近世間を騒がせている理研の話 が頭をよぎっちゃいました。

  • 概ね面白かったんだけどねー
    出だしの弥子とニコの生い立ち部分も結構笑えたし。
    やっぱラストなのかなぁ。
    途中までの、この二人どうなっちゃうの?
    ってハラハラしながら読んでる間がピークで
    最後の方は読むスピードもダウンしてしまった。
    好きな作風だったので残念。

  • 2014.5.5結末までドキドキして読んだ。結末が期待はずれ。

  • 小樽郊外の田舎の町・オタモイに住む中学生の弥子(やこ)は、中学生らしい選民意識、自己評価の高さと自意識を持っていて、なりたいものにはなんでもなれると思っている。
    しかし同時に自分は”本物”の偉人になることはできず、本物が出てくるまでのつなぎ役として評価されれば充分だと考えていた。

    母が男と出て行き、祖母と暮らしていたニコは、将来を案じた祖母にオタモイに住む曾祖母の家に預けられ、弥子と出会うことになる。
    美少女だが思考力の乏しいニコと出会い、弥子はふたりで組めば成功できると確信する。

    弥子とニコ、物語は交互に進んでいくが、それぞれを俯瞰した視点で描かれているからとても客観的な筆致である。
    だから書かれている内容は子供らしく稚拙なのだが、冷静な目を通しているからむしろ冷たく乾いた印象を受ける。

    弥子は、卵の黄身と白身のように自分とニコがそれぞれの特性を活かした役割を演じることで、有名になれると確信し、黄身の役割を担う弥子は、コンビの頭脳として計画を進行していく。
    まず読書感想文のコンクールに照準を定め、緻密なリサーチにより仕上げた作文で全国大会の賞を取る。
    次は史上最年少で芥川賞を取る、という目標を決め、見事受賞、美少女作家”堂上にこる”としてニコは時の人となる。

    この話で特異な点は、弥子がニコに嫉妬しないところだ。弥子はあくまで”黄身”としての評価で満足している。むしろ”表面だけ”でしかないニコを馬鹿にしている風でさえある。だから物語に安易に想像されるような崩壊は訪れない。
    そしてニコは自分で考える、ということをしない。弥子の言うことに従い、堂上にこるとしての役割をこなしていた。

    破綻がのきっかけはひとりの少年である。
    糸田君は弥子たちと同じ中学を出た先輩であると同時に、堂上にこるのデビュー作であり、芥川賞受賞作を執筆した人物の孫であった。弥子が書いた物語は、四十年前に書かれた公募小説の盗作だった。
    芥川賞を取る、と言っても、さほど文才もない弥子なので、最初の応募作は予選も通らなかった。
    そんなとき、ニコの死んだ曽祖父の部屋で配達されなかった公募小説を発見する。郵便配達員だった曽祖父は、様々な公募に出された封書を盗んで隠し持っていた。その中に糸田くんの祖母の小説も紛れていた。

    事実を隠したまま弥子は糸田くんと親しくなっていったが、ニコも糸田くんを好きになり、ふたりは付き合い始めてしまう。
    堂上にこるを演じることがしんどくなったニコは、糸田くんに全てを打ち明け、糸田くんはそれを許す。
    ニコは弥子と手を切り、”堂上にこる”は引退する。


    ゴーストライター、ユニット(という言い方をしていいのか)による影武者など、例の作曲家騒動と一致する内容が多いが2012〜2013年にかけての連載ということで、奇跡的なタイミングで一致した内容。

    弥子はオタモイなんて田舎にいるから、自分は評価されないと感じているし、ニコは耳のなかから音楽が響いてくると動き出してたまらなくなり、ここではない場所へ行きたくなる。
    二人は遠くへ行きたいという思いが一致していたけれど、結局ニコは身近に糸田君という人を見つけ、弥子はひとりになる。

    卵の黄身と白身の出会いと別れの話、というほど感傷的な物語ではない。
    正直ストーリーよりも、端々に書かれる弥子の痛々しいほどの”何者かになりたい”という気持ちの方が印象に残った。

    小説としてはもう少し物語が濃くなる何かがあった気がして、物足りなさも感じる。肩すかしなあっさり。

  • ここではないどこかへ行きたい少女2人の計画・・・ドキドキしながら読みました。
    この少女達とは友達には絶対なりたくないけど、愛おしさを感じてずっと見ていたい気になる。
    もっと注目されてもいい小説だと思うんだけど、現実にゴーストライター事件なんか起きちゃったし、タイミング悪かったかなー?
    私はとても好きな世界でした。
    もう一つ思ったのは、私は作家にはなれないな・・・。

  • "BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“今週の新刊”で登場。
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/highlight/30.html

    最新作であり、最高傑作だと思います。
    書く有名ジャンルには”最年少”というものがある、ということろこ弥子は目をつけます。そして自分が最も目指せそうな”最年少”とは、文学である。文学の最高賞といえば、芥川賞。弥子は、最年少の芥川賞作家をにこと一緒に目指します。」(代官山蔦谷書店ブックコンシェルジュ 間室道子さん)



    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 一言で言ったら中二病の少女たちの物語、なんだけど、この足元がグラグラするような怖さは凄い。
    ドロリとスルリとペロリとした、少女という「女」たちの中身。

  • 読書感想文は自分で書けたけど,次からはパクリ?
    新人賞とか芥川賞とかの裏(ウケル文体)とかは本当なんだろう。最後がいまいちかな。

    ラジオの書評で紹介されていたので,図書館に予約。かなり待って2014/04/13に借用。20日の外出時から読み始め,21日に読了。

  • 女子っぽい陰湿さ相変わらずー。
    もうちょいどんでん返しがあってもよかったかな。ここから湊かなえだったら殺人おこるな笑

  • ・ ・ ・
    ワタシのホントの居場所は
    ココじゃないのよ〜。って人
    いますよね。

    そう思うなら、自らの才で
    さっさと行ってくれっ!
    と思うイケズな私。

    ささやかでも いいから
    人生ナビ設定しときたいね (´・_・`)


    てらさふ=衒さふ=みせびらかす。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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