後妻業

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900889

感想・レビュー・書評

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  • 前科持ちの結婚相談所の男と、結婚したパートナーと死別を繰り返す中年女につきまとう黒い疑惑。恐るべき“後妻業”の手口と実態とは…。「色で老人を喰う」恐ろしき稼業を描く戦慄の犯罪小説。

    直木賞受賞後の第1作。賞を取ると忙しくなるのか、関西のやくざという世界は変わらないが、いつもの黒川作品のようなキレはなかった。「事実は小説より奇なり」を地で行くように、現実の世界でも今まさに後妻業が裁かれていて、その印象の方が強いせいかもしれない。
    (C)

  • 少し前、関西で実際に起こった事件をベースにしたと思われる、裕福な老人に近付いては事故を装って殺害して財産を手に入れる「後妻業」のお話。小説の舞台も大阪で、よりリアリティを感じさせてくれます。関西圏の人はよりいっそう楽しめるでしょう。

  • 高齢独身者、高所得者の財産を狙う犯罪がテーマ。実際に類似の犯罪または犯罪に進展しそうな事象がマスコミ等で話題になっている。
    大阪が舞台。登場人物はほとんどが「ワル」といえる人々。テーマから読者はだいたいのストーリーを想像できるが、ただその犯罪を物語にするのではなく、そこに介在する多種多様な人間模様を描き、読者を引きつける。
    大阪弁を文字にし、そこに不自然さがなく、小説作品として仕上げるのは、さすが黒川博行といえる。やくざっぽい人物がことばを発すれば、凄みが増し、若い女性がしゃべるとふわりとした印象さえ残す。これは私が関西の人間だから感じられるものなのか。他の地方の人たちにはどのように受け止められるのだろう。たんなる「ワル」がしゃべる凄みのある方言ととらえるだけなのだろうか?
    著者・黒川博行は初期作でも「グリコ森永事件」の犯人が模倣したのではないかと話題になった。時代の動向を観察し、作品に活かしていく鋭い先見性は今も持ち続けている。
    息を持つかせぬ展開で一気に読ませるエンターテイメント作品だ。

  • 似たような事件が明るみになったのも話題になりましたが「おどろおどろしいわ」の一言に尽きました。
    人とちがってカネは裏切らないと思うがゆえに執着するのでしょうか。
    何かが麻痺してるかのようなクズたちの振舞いにはフィクションとはいえ嫌悪感が募るばかりでした。

    小節を読むときは実際ドラマにした際にどういう役者さんがやったら面白いか想像しながら読み進めていくのが癖ですが、今回はまったく想像が出来ず…。実写化されたときのキャストが楽しみでもあります。

  • #読了。結婚相談所の男と結託し、資産を持っている独り身の老人を狙って後妻に入り、その資産を奪い取る後妻業を生業とする小夜子。遺産相続のトラブルから、小夜子の過去の悪行が。実際に事件にもなったトラブルだが、手口と黒川氏ならではの大阪弁でのセリフは秀逸。しかし、秘密兵器が「味噌汁と漬物」とは・・・

  • 2015.5.21

  • 後妻業を営む(?)主人公はクズ、それを使って稼ぐ男もクズ、彼らを追い詰める男もクズ。被害者と遺族以外の登場人物がほとんどクズばかり。クズとクズがからみあって足を引っ張り合うクズフェスティバルのような物語。

  • 予約人数150人超えの人気だったので、予約してみた。手元に届くまで7カ月かかった予約ベスト本。直木賞受賞第一作。

    最初に読み始めたとき、『なんて胸くそ悪い話なのだろう』と思い、読むのが苦痛になった。(そこまで思うほどすごい物語だし、読者の心を鷲掴みしていたのだけど)まず最初に、後妻にきた妻が自分の年老いた夫を殺そうと、ワーファリンを胃薬に取り換え、味が鈍くなった年寄りに漬物に醤油をかけてたべさせたり、味の濃いみそ汁を飲ませたり、コンビニの総菜を食べさせたりと、ネットで噂になった年の差カップル芸能人の嫁のような極悪非道の妻の話から始まった。

    しかしレビューでは、その後展開が起こるというものを見たのでとりあえず読んで行ったら止まらず、一日で読了してしまった。

    尚子・朋美姉妹が弁護士に依頼をして興信所が調べ始めるところからが息をもつかせぬストーリーだった。

    結果的には、結婚紹介所所長も最後には金で解決ができなくなったし、後妻の小夜子も夫たちと同じような運命をたどり、探偵も自分の信用を無くして徒労に終わったようなものだった。因果応報とはこのことなのだろう。

    参考文献が『黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人』と『木嶋佳苗法廷証言』という実際の出来事をモチーフにしているものだったから、リアリティが半端なかったのだろう。

  • 恐ろしい話だった。でも本当にあるんだろうと思われる。
    胸くそ悪いけど引きずられるように、読んだ。
    ただ終わり方がなんだかしっくり来ないかんじ。え?これで終わり?みたいな。

  • 怖かったー!
    そこまでお金に取りつかれている人間が
    怖い・・・。
    あまりにおぞましくて途中で読むのを
    やめようかと思うくらい・・・。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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