- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163904917
作品紹介・あらすじ
阿川弘之氏が94歳で大往生されてから、今年八月で一年。娘佐和子が、強父語録とともに、父との62年間を振り返ります。たとえば――。「なんという贅沢な子だ。ふざけるな!」……4歳のサワコ嬢は、「このイチゴ、生クリームで食べたい」と口にしただけで、このようにと怒鳴られます。以来、罵倒され通しの日々が続くことになるのでした。「勉強なんかするな。学校へ行くな」……弘之氏は、特に娘は、勉強なんかしなくてもいいから、家でうまい食事を作れ、という主義でした。大学のテスト期間中も、サワコ嬢はお酌の相手をさせられたのでした。「子供に人権はないと思え。文句があるなら出ていけ。のたれ死のうが女郎屋に行こうが、俺の知ったこっちゃない」……娘のちょっとした口応えに対して、弘之氏は烈火のごとく怒り、このように言い放ちます。これは弘之氏の口癖でした。「老人ホームに入れたら、自殺してやる!」……元気な頃の父は、こうくり返していました。足腰が弱ってからは渋々、老人病院に入院しましたが、そこでも「すきやきが食べたい」「ワインが飲みたい」とわがまま放題なのは変わりませんでした。 いまや絶滅寸前の、怖くて強い父親ぶりが存分に描かれます。
感想・レビュー・書評
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朋奈ちゃんに読ませたいと思った。
俺より共感出来る事がたくさんあるだろう。笑
あと僕はこういうおじさんをやはり嫌いになれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
阿川さん、軽快でユーモアのある文章が読みやすく、やっぱり上手です。最近女優デビューもしてるけど演技もうまくって。。多才ですね。
なによりこの、横暴で気難しい父親とのエピソードを読み手に不快な気分を与えずに最後まで読ませたのは、文章力+愛情のお蔭でしょう。
とはいえ、それを差し引いてもこの父親の理不尽さには唖然としましたけどね。
具体例は省きますが普通なら絶縁してもおかしくないと思う。よくもまあ屈折せずに生きてきましたね、と声を掛けてあげたいくらいです。
そればかりか父親の晩年は甲斐甲斐しく入院のお世話までしているのだから、何十年も積み重なったあれだけの出来事をうまく昇華している阿川さんの懐の広さ、肉親に対しての無条件の愛の深さには恐れ入りました。
ただ、内容には一切口を挟まず、日本語の表現の指導のみを自ら行う作家としてのプロ根性には感銘を受けたし、父親なりの愛情を感じました。
親子の関係は色々ですからね。そういう関係もあるのかもしれません。。
でも、私の父親は普通に優しい常識人でよかったです。大事にしなきゃ☆ -
似てます。。。舅に。。。
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このお父さん、うちの祖父と似た面があったようで発売後すぐ母が買って来て文字通り泣いたり笑ったりしながら読んでいました。
そしてせっかくだから私もと読んで見たのですがこれ大変。
本当に泣けて笑えて泣ける。
外に持ってって読んじゃダメなやつです。
私には特に横暴な姿を見せなかった祖父だけどなんだか全てが祖父の顔で想像できました。
ちょうどこれを読んだ日に観た映画ではないけれど、亡くなってから初めてその人を想うこともあるのだと最近感じます。 -
「阿川弘之と言うより、阿川佐和子の父と言う方が通りが良い」と阿川弘之が言っていたのを
何かで読んだことがある。
娘思いの良い父だと勝手に思い込んでいたのだが、
そうでもなさそうだ。
書名の強父論は恐怖論、恐父論に通じるのだろう。
でも表紙の写真も裏表紙の写真も父娘とも良い顔、良い表情をしている。
少なくとも、DV親父ではないだろう。
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阿川佐和子が父阿川弘之との思い出を綴ったエッセイ。
平成生まれの私からすると信じられないほどの阿川弘之横暴ぶり。よくもまあ阿川佐和子はグレなかったこと。
そんな弘之の暴君ぶりに、いかに困らされたかという数々のエピソードが綴られているわけだが、不思議と愚痴っぽさや悲壮感を感じない。普通の人が書いたら愚痴っぽくなりそうなところを軽妙洒脱にまとめあげてしまうあたり、阿川佐和子さすがだなぁと思う。 -
阿川佐和子さんが描く、父、阿川弘之さんとの日々。今ではなかなかお目に係れない亭主関白で癇癪持ち。さらには男尊女卑な弘之さんのインパクトがスゴイ。佐和子さんも幼いころから、叱られ、怒鳴られて過ごしてきたらしい。でも、作品中、ところどころに覗く、お父様への愛情。お父様からの愛情。特に、文章を佐和子さんに教える時のやさしさが印象的でした。本書では弘之さんと佐和子さんの何枚かの写真が紹介されていますが、どれも幸せそうな雰囲気を醸し出しているように思います。たしかに頑固おやじさんで大変だったのだろうけど、固い絆で結ばれた家族だったのだろうな。そういえば、我が亡き父も同じような気性の持ち主だったっけ。
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強烈なお父さんかもしれないけれど、寂しくなりますよね。
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相変わらず凄いお父上様!?
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16.8.24
徹子の部屋出演 -
-お父ちゃんがいかに無茶苦茶な人であったか。周囲がどれほどひどい目に遭わされたか。思い出す限り精魂込めて書いてみることにいたします。
父・阿川弘之の傍若無人ぶりを、娘・阿川佐和子が書く、書く。よくグレなかったよな。…というか、グレることもできなかったのか?
それでも、どことなく“愛”を感じる。
親子ってこんなもんなのかな。 -
笑った、うちの父に似てて。
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実に面白い♪
TVタックルでの強気な印象が思い浮かぶ阿川さんですが、御父様がこういった(強父)方であれば、そりゃそうなるわなって感じです。
数々のエピソードが盛り沢山(笑)、この調子なら、もう2冊ほど書けそうですね(^^)
おもわず含み笑いしてしまう作品でした? -
大変なお父様であったことには違いないが、娘の愛が感じられる。そこを嫌味なく書いているところが、さすが佐和子さん、上手いと思った。途中、何度も笑ってしまった。読んだ後とても気持ちよかった。
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なかなかクセがすごい父上だったと思うが、それも他人から見たこと。当の娘として、大変だったんだろうと想像する。
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さすが、作家の娘。実に読みやすい文章で、数時間で読み終えました。
若すぎる死は読んでいても辛いものがあるけれど、94歳ともなると、ほとんどの細胞が弱っているので、自然な死を迎えることができるんだなぁ、と人が長生きを望む一端が理解できた気がします。
正義の御旗を掲げるようになるな、というご意見など、確かに作家らしい教養あるものもありますが、ここに挙げられたほとんどは理不尽というかあまりにもえらそうでいただけません。
こんな人を父に持たなくてよかったなぁと思うし、ましてや夫でなくて、ほんと!よかった。
現在、介護中の人には参考になるだろうと思います。 -
910.268
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あとがきを読みながら感涙。おもしろおかしく書いてあるが、父と娘の間に流れる素直ではないが確かにある愛情に溢れた素敵な1冊でした
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これぞ、The 亭主関白って感じ。
この時代だから許された(みんなそんなもんだと思っていた)んだろうけど、今だったら、DVで訴えられていてもおかしくない。よく耐えていたなぁ。 -
あっさり読めました。
父は何時の時代も
怖くて
うるさくて
甘えたい❗ -
作家、阿川弘之の長女である著者が痛快ともいえる故人を偲ぶ本です。
どんな理不尽なことでも、父親を中心に生活する家族のお話です。
(カウンター担当/五重の塔)平成29年5月の特集「みんなの家族」 -
例えそれが我儘でしかなかったとしても、背負っているものの重さに比例して、昔の父親は強かった。
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信じられない・・・
ホント?
よくもまあ~~ -
他所様の父娘の関係に興味があって読んでみた。
作家のお父様は家庭内では絶対君主で、さぞかし妻子は大変だったろうなぁと推測される。
佐和子さんも辟易しながらも、やっぱりそこには親子の親愛があったんだなぁと。
あとがきで、そんなに大変な父親の方が、思い出すことがいっぱいでいいと言われた話があり、タイプは全く違えど、かなり個性的な父を持つ身としては、まぁそうなのかもなーと。
それも後になって思う事だろうけど。 -
やはり父親を題材にしたエッセイは痛快!そして、そこにはそこはかとない愛情を感じる。
素材=父親の阿川弘之氏逝去によって、こうしたエッセイがもう読めなくなるのだろうか、と思うと、ちと淋しい。 -
氏の唯一の傑作ではないか。