ユニクロ潜入一年

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 350
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907246

作品紹介・あらすじ

ワンマン経営に疲弊する現場を克明に描く潜入ルポルタージュの傑作!サービス残業、人手不足、パワハラ、無理なシフト、出勤調整で人件費抑制――。「(批判する人は)うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」 そんな柳井正社長の言葉に応じ、ジャーナリストはユニクロの店舗への潜入取材を決意。妻と離婚し、再婚して、姓を妻のものに変え、面接に臨んだ――。「週刊文春」誌上で大反響を呼んだ「ユニクロ潜入ルポ」をもとに、一年にわたる潜入取材の全貌を書き下ろした。読む者をまさにユニクロ店舗のバックヤードへと誘うかのような現場感に溢れたルポルタージュである。気鋭のジャーナリストが強い意志をもち、取材に時間をかけ、原稿に推敲を重ねた読み応えのあるノンフィクション作品が誕生した。序 章 突きつけられた解雇通知第一章 柳井正社長からの〝招待状第二章 潜入取材のはじまり イオンモール幕張新都心店①(二〇一五年十月~十一月)第三章 現場からの悲鳴 イオンモール幕張新都心店②(二〇一五年十二月~二〇一六年五月)第四章 会社は誰のものか ららぽーと豊洲店(二〇一六年六月~八月)第五章 ユニクロ下請け工場に潜入した香港NGO第六章 カンボジア〝ブラック告発〟現地取材第七章 ビックロブルース ビックロ新宿東口店(二〇一六年十月~十二月)終 章 柳井正社長への〝潜入の勧め〟

感想・レビュー・書評

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  • 著者がユニクロを取り上げるのは、これが二度目。前作「ユニクロ帝国の光と影」では名誉毀損だと訴えられるもユニクロ側の敗訴。にも拘らず、柳井社長は雑誌のインタビューで著者に向けて挑発発言をする。「悪口を言っている人間はうちの会社で働いてみればいい」。

    この発言に激怒した著者は、「柳井社長からの"招待状"」と解釈し、合法的に姓を変え(妻と離婚し再婚、そして妻の姓を名乗る)、弁護士にも相談し、虚偽のない履歴書を作成し、2015年10月から翌年末まで、幕張新都心・ららぽーと豊洲・新宿ビックロ各店で時給約千円・交通費ナシのバイトとして潜入勤務。

    そこで見えてきた超躍進企業は、柳井社長の朝令暮改はいうまでもなく、人件費を削らないと倒産することを煽り、それを鵜呑みにする社員。その傍らにはファーストリテイリングの好業績を報じる日経が置かれていると言うのに。また、殺到する年2回の感謝際の対応に大混乱する現場。刃折れ矢尽き果て次々と脱落していくスタッフ。慢性的な人員不足から「お願いです!!」と悲鳴のような出勤要請が店長からLINEで送られてくる日々。これらの描写には鬼気迫るものがあり、そして、著者の怒りはカンボジアの工場を取材するに至り、ついに沸点を超える…。

    読み進むにつれ、本書はブラック企業の実録告発という社会派ノンフィクションの域を遥かに超え、フリージャーナリスト横田増生が柳井教に毒された巨艦ユニクロ帝国にペンひとつで闘いを果敢に挑む魂の書となっていることに気づかされる。

    著者は最後にこう語る。
    疲弊感漂う販売現場を知るべきは柳井氏である。彼こそいっそのこと潜入してみてはどうか。それが、ユニクロにとっての「働き方改革」の第一歩になるかもしれないと。

    頭痛クラクラの迫真ルポおススメです。

  • 潜入捜査に基づき、ユニクロの問題点をあぶり出している。この記者魂と根気はすごい。ただ、従業員に働きやすい環境を用意することは当たり前に実現出来なければいけないことではあるが、実は結構、難易度が高いとも思う。筆者はユニクロの至らない点を一部、柳井さんの悪意に紐づくものとして記述しているが、シンプルに組織として出来る仕組みが確立されていないだけだとも思える。だからといって責任が無いわけでは決してなく、根性論を脱却し、どのようにすれば、働く人が幸せになれる仕組みを作れるかについて、組織をマネジメントする人は真剣に向き合わなくてはいけないと感じた本でした。

  • タイトル通り、ユニクロにアルバイトとして潜り込んだ現場ルポ。
    創業者オーナーと疲弊する現場。外部からは伺えないかい離を生々しく伝えてくれる。
    著者はこれまでにも宅配業者への潜入報道などの経験があるが、身体を張った報道には頭が下がる。早速、次作に期待したくなる。
    しかし、大マスコミにこのような報道がないのはなぜか?取材力がないのか、巨大な広告費、チラシに怯えているのか。

  • 金魚のように口を開けていればエサがもらえると思っている大手メディアに爪の垢を煎じて飲ませたい。これこそが本当の調査報道というもの。最初の章では全てがバレて解雇されるところからのスタートだが、そこからは著者の時系列に沿って展開する。途中取材旅行をしていたようで、話が飛んでしまうところがやや読みにくいが、全体としてよく調べているし、取材内容の根拠となる資料も提示されている。少なくとも私はこれを読んで、ユニクロで買い物をしたいとは思わなくなった。

  • 奥さんと一度離婚して再婚し、奥さんの姓を名乗ることで合法的に改名をし、企業に潜入。
    この突撃精神が素晴らしい。潜入ルポのジャンルとしてはかなり面白い。どんな企業にも闇の部分はあるが、カリスマ起業家の理想と現実のギャップに改めて驚かされる。

  • 真っ先に受けた印象は《大人の喧嘩》と言うイメージ。

    ユニクロの柳生さんが『うちで働いたことがない人こそブラック企業と言う』ならば『働いて見ようではないか』そこから始まるジャーナリズム本。

    ジャーナリストとして本当に素晴らしい行動だと思う。
    だかがしかし、この本一つではユニクロを倒すことはできにない。

    本の内容としては、本当にユニクロがいかに過酷の労働環境であるか伝わります。アルバイトを上手に使う。否、上手ではない。主婦と大学生を使うことで賃金と勤務時間を下げる。けれでも正社員制度を使うことで甘い蜜も渡す。しかしながら、正社員になればいいのか。と問われる様な内容であった。格安システムには必ずカラクリがある。ユニクロの安さは過剰なほど削りにいく、人件費と製造費用。それは国内国外に自社で働く人に歪みがきている。
    そして柳生社長のワンマン経営が暴かれる。言葉の矛盾。洗脳。圧倒的なボスマネージメントである。

    ユーザーとして、ユニクロはあれだけの低価格で衣類を提要してくれるのは大変便利でありがたい企業だと思う。また、国単位で見てもあれだけの雇用を生み出していることは素晴らしいことだ思う。

    その反面、自社で働くスタッフが全く幸せになれなていない・・・・。ユーザーファースト。利益に追求。それに特化し、社員の手当は二の次。賃金も少なく、労働も激しい。けれども、時間は思いっきり削られたり、伸ばされたり。

    働くスタッフはここで何を見出すのか?

    守るべきを追求はスタッフ。その先にユーザーではないのか。

    あまり気分が良いものでは無いが。
    光と闇ということ知れて損はない。

    願わくば、ユニクロで働く人がもっともっと良い環境下に導かれます様に。

  • 社員の気持ちも大切

  • 接客業の経験があれば誰でも目にしたことがあるであろう長時間労働。発言力のあるトップがいる企業ならば容易に労働環境の改善に乗り出せそうなのに、と最初は思っていたが読んでみると全然違った。オフィスでぬくぬくと腰かけ、現場では数字ばかりチェックするそのへんのブラック企業と何ら変わらないのだな、というのが私個人の意見。

  • 前作も読んでいて、その感想と大差ないような気がする。

    もともとユニクロ製品を買わないのだが、旅行に行く時、どうしてもここはウルトラライトダウンだろうと思い、家族に借りたら、素晴らしい!と思うと同時に、なんと同じツアーのほとんどの人が着ていたというビックリの占有率?だった。かぶるのはゴメンだと思いつつ、次の旅行までに自分用に買った。
    それほど私にとってありがたかった、つまりすごくいい商品だと私に思わせた、そんな商品を作ったり売ったりする人が不幸であってはたまらない。縫ったり、売ったりする人は誇りを持って幸せな気分で商品に関わってほしい。

    経営者として成功した人、莫大な資産を作った人が人格者であったなら素晴らしいのだが、そうでないから、成功したり、資産が作れたりするのだろうか。

  • 明らかにブラック企業であることがわかりました。柳井教という名のカルト。

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著者プロフィール

横田増生(よこた ますお)
1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、99年フリーランスに。

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