ユニクロ潜入一年

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 653
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907246

作品紹介・あらすじ

ワンマン経営に疲弊する現場を克明に描く潜入ルポルタージュの傑作!サービス残業、人手不足、パワハラ、無理なシフト、出勤調整で人件費抑制――。「(批判する人は)うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」 そんな柳井正社長の言葉に応じ、ジャーナリストはユニクロの店舗への潜入取材を決意。妻と離婚し、再婚して、姓を妻のものに変え、面接に臨んだ――。「週刊文春」誌上で大反響を呼んだ「ユニクロ潜入ルポ」をもとに、一年にわたる潜入取材の全貌を書き下ろした。読む者をまさにユニクロ店舗のバックヤードへと誘うかのような現場感に溢れたルポルタージュである。気鋭のジャーナリストが強い意志をもち、取材に時間をかけ、原稿に推敲を重ねた読み応えのあるノンフィクション作品が誕生した。序 章 突きつけられた解雇通知第一章 柳井正社長からの〝招待状第二章 潜入取材のはじまり イオンモール幕張新都心店①(二〇一五年十月~十一月)第三章 現場からの悲鳴 イオンモール幕張新都心店②(二〇一五年十二月~二〇一六年五月)第四章 会社は誰のものか ららぽーと豊洲店(二〇一六年六月~八月)第五章 ユニクロ下請け工場に潜入した香港NGO第六章 カンボジア〝ブラック告発〟現地取材第七章 ビックロブルース ビックロ新宿東口店(二〇一六年十月~十二月)終 章 柳井正社長への〝潜入の勧め〟

感想・レビュー・書評

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  • ユニクロにアルバイトとして潜入。

    アルバイトでも、ユニクロの精神にどっぷりになることが、新鮮だった。

    部長会議の内容が張り出され、柳井さんの考えが周知される。それをipadで見るアルバイト。

    ユニクロが経済活動を進めることがゆるぎない価値観となっている。ユニクロで働く皆が一つの価値観に向かって、少しの無駄もなく全力を出し切る。そういう考え方。

    一塊の商店を、グローバル企業にしたのだから、並大抵のことではないけれど、徹底して商いをする、この姿勢だからこそ、成長できているのでしょう。

    会社や企業活動は、お金を稼ぐことが正解であるから、色々歪な部分ができる。
    仕事を成功させることが尊い価値観。

    色々なメンバーがいる中で、その苛烈な精神について行ける人はどれだけいるのだろう。

    やりがい搾取という手法があるというのが面白かった。
    長時間労働を強いる為に、仕事をすることで自己実現ができると説得する。
    これも、各企業が多かれ少なかれプロパガンダしている部分んはあると思う。

    ただ、アルバイトにやりがい搾取をしようとするユニクロの徹底ぶりは凄い。

    変動する人件費のコントロールはアパレルにおける利益体質への課題なのだろう。
    ユニクロが最近セルフレジに力を入れているのは必須なんだなと、しみじみ感じた。

    過酷な現場を描写する作者の表現が深刻な暗い感じでなく、時にユーモアを感じるのが、この本を読みやすくしていると思う

  • 著者は、前著『ユニクロ帝国の光と影』や週刊誌への記事でユニクロから名誉毀損で訴えられ(被告は文藝春秋社)、2年の裁判を経て勝訴を確定させた。そのことも含めてユニクロと柳井社長には敵意を抱いていることを隠さない。その著者が、わざわざ形式的に離婚をして名前を変えてまでしてアルバイトとしてユニクロ店舗に潜入した取材記が本書だ。
    著者はこれまでもAmazonやクロネコヤマトにも体験取材をしたことがあるので、潜入取材自体は経験済みであるが、今回は訴訟も含めて思い入れのあるユニクロへの潜入記である。なかなか勇ましくてわくわくする。

    きっかけはプレジデント誌に載った柳井社長の漫画家の弘兼憲史との対談。そこで、自社のことを「限りなくホワイトに近いグレー企業」と評価し、「悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど。会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかぜひ体験してもらいたいですね」と書かれたことに始まる。また、人権NGOのSACOMによるユニクロ下請け企業の潜入取材も刺激になったという。

    最終的にイオンモール幕張新都心店、ららぽーと豊洲店、ビックロ新宿東口店の三店舗で働くことになる。最後のビックロ新宿はオペレーションがまずく、また周辺と比べて出している時給が少ないことで人員確保が難しく、そういった点で問題はありそうだが、幕張と豊洲は普通の職場のようにも見えた。もちろんサービス残業はまだ残っているが、そこまで組織的なものではなく、昔と比べると当然だが労働条件は改善されたというので、横田さんも指摘はするものの実際は案外と拍子抜けだったのかもしれない。

    ユニクロでは、毎週月曜に行われる部長会議での柳井社長の発言が<部長会議ニュース>という形で全店舗に発信されて休憩室に張り出される。横田さんも色んな意味で楽しみにしていたそうだが、そういうトップからのメッセージが直接届いているところは素晴らしい習慣だと思う。ユニクロのやり方に反発を覚える横田さんも「毎日のように店舗で働いていると、いつの間にか柳井社長の言葉を実践している自分に気づくことがある」というので、企業体の指針としては実際に有用なんだと思う。そして、それがユニクロの強さの一つとなっているのかもしれない。

    ユニクロにとっても、横田さんのような正常で適切な批判者は、有益になっているのではないかと思った。


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    『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4167842017

  • 著者がユニクロを取り上げるのは、これが二度目。前作「ユニクロ帝国の光と影」では名誉毀損だと訴えられるもユニクロ側の敗訴。にも拘らず、柳井社長は雑誌のインタビューで著者に向けて挑発発言をする。「悪口を言っている人間はうちの会社で働いてみればいい」。

    この発言に激怒した著者は、「柳井社長からの"招待状"」と解釈し、合法的に姓を変え(妻と離婚し再婚、そして妻の姓を名乗る)、弁護士にも相談し、虚偽のない履歴書を作成し、2015年10月から翌年末まで、幕張新都心・ららぽーと豊洲・新宿ビックロ各店で時給約千円・交通費ナシのバイトとして潜入勤務。

    そこで見えてきた超躍進企業は、柳井社長の朝令暮改はいうまでもなく、人件費を削らないと倒産することを煽り、それを鵜呑みにする社員。その傍らにはファーストリテイリングの好業績を報じる日経が置かれていると言うのに。また、殺到する年2回の感謝際の対応に大混乱する現場。刃折れ矢尽き果て次々と脱落していくスタッフ。慢性的な人員不足から「お願いです!!」と悲鳴のような出勤要請が店長からLINEで送られてくる日々。これらの描写には鬼気迫るものがあり、そして、著者の怒りはカンボジアの工場を取材するに至り、ついに沸点を超える…。

    読み進むにつれ、本書はブラック企業の実録告発という社会派ノンフィクションの域を遥かに超え、フリージャーナリスト横田増生が柳井教に毒された巨艦ユニクロ帝国にペンひとつで闘いを果敢に挑む魂の書となっていることに気づかされる。

    著者は最後にこう語る。
    疲弊感漂う販売現場を知るべきは柳井氏である。彼こそいっそのこと潜入してみてはどうか。それが、ユニクロにとっての「働き方改革」の第一歩になるかもしれないと。

    頭痛クラクラの迫真ルポおススメです。

  • 偽装離婚までしてのユニクロ潜入。まさか柳井社長も予想していなかったでしょう。
    実際に働いている人達に寄り添いながら、会社組織としての欺瞞を切る。ルポタージュとして読み応えが有るのはもちろん、ある意味エンタ-テイメント性まで備えています。
    会社にどっぷり漬かると、一般的におかしい事も当然に思えてきていいように使われてしまうのは何処の会社でも同じです。自分のいる会社がどんな事になっているのかは中からは分からないですから。
    ワンマン社長の気まぐれで振った旗の方向へ、躊躇せずダッシュしないと認められない会社、それがユニクロだという事が分かりました。創業祭、感謝祭という一大イベントも集金の為に社員の体力精神力を搾取するだけで、社員の時給や給料に反映されるわけでは無い。この大変さを歓びに換えろという言葉だけで発奮を促す。いやー、嫌な社長だ。これが日本を代表する企業のトップとは・・・。
    その中で、今までは中国が主だった製造が、人件費が安い国にどんどん仕事が流れ、劣悪な労働環境で搾取されている人々がいます。安さを追い求める事によって、より安い人件費を求めて「底辺への競争」が加速し、結果労働環境や自然環境、福祉などが最低限度へと突き進んで行きます。
    働いている人達の幸せを望まない企業はいずれ立ち行かなくなる時が来ると思います。特に昨今の働き方改革の流れの中では、体裁を整えるだけでは誤魔化されなくなるはずです。
    最後に著者が提唱している、社長がシークレットでバイトとして店舗に潜入して、実際の現場を体験するという案いいですね。ウィットの効いた嫌味のように見えて、とても建設的で実際的な意見だと思いました。

  • 202002¥

  • ここもキツいのね。柳井さんの言葉と現場の現実のギャップがヤバすぎ

  • 『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』を読んで、本書を読んでみた。安い給料で労働者が資本家に搾取されるという話は、教科書に出てくる戦前の話かと思っていたが、洋の東西を問わず、最近すっかり復活したようだ。日本は米国の後追いで時代が進んでいく印象があるが、1対99%の世界が近づいているような気がする。
    ユニクロの経営者は、おそらく本書も読まず、何の反省もしてないだろう。より正確に言うなら、会社にブラックのイメージがついたのは、まずかったという反省の仕方はしても、従業員に酷い働き方を強いて悪かったという反省はしないのだろうというのが本書を読んだ印象。経営者にはサイコパスが多いといった本を読んだことがある(『サイコパス 秘められた能力』)が、まあそういう人なのだろう。
    ユニクロだけでなく、給与が減らない転職があまり簡単ではない日本の企業では、一旦囲い込まれてしまった従業員たちはサービス残業は当たり前というのが、ちょっと前まで普通だったので、年寄りの経営者が新しい時代にすぐにはついていけないのは仕方がないのかもしれない。
    一時期ブラック企業の代名詞になったワタミは、その後、ホワイト化したと何かで読んだが、ユニクロは変われるだろうか。

  • 働くこと自体は楽しい。読んでいてなんども感じたのはこのことだ。ただ、そこに無理なシフトやノルマが入ってくることで、突然仕事は敵になる。
    著者がユニクロでバイトをしながら潜入捜査をしているところよりも、海外の下請け会社への締め付けは興味深い。ああ、噂には聞いていたが、下請けを搾取するというのはこういうことかと分かる。
    どこの会社も似たようなところはあるのではないかとヒヤリとする。
    大学受験改革で揺れる昨今、学校教育も文部科学大臣が柳井社長で、校長や委員会は店長に当たるだろうと思いながら読んだ。


  • 今年は「ユニクロ感謝祭」の間中、本書を読んでいたので買い物意欲そのものが湧いてこなかった。(その意味では罪作りな本である)
    折しも国会では入管法改定案が審議されてる最中で「奴隷のように」働かされる人々の現状を片耳で聞きながら(時給千円でもそれ以上の働きをすべきと考え実行できる著者の仕事ぶりに驚きつつも)ユニクロ柳井氏のあまりのワンマンぶりが今の政府の姿と重なって、怖くもあり少し滑稽にも感じながら、大変興味深く一気に読んだ。面白かった。

  • 潜入捜査に基づき、ユニクロの問題点をあぶり出している。この記者魂と根気はすごい。ただ、従業員に働きやすい環境を用意することは当たり前に実現出来なければいけないことではあるが、実は結構、難易度が高いとも思う。筆者はユニクロの至らない点を一部、柳井さんの悪意に紐づくものとして記述しているが、シンプルに組織として出来る仕組みが確立されていないだけだとも思える。だからといって責任が無いわけでは決してなく、根性論を脱却し、どのようにすれば、働く人が幸せになれる仕組みを作れるかについて、組織をマネジメントする人は真剣に向き合わなくてはいけないと感じた本でした。

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著者プロフィール

横田増生(よこた ますお)
1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、99年フリーランスに。

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