米澤屋書店

著者 :
  • 文藝春秋
3.70
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本棚登録 : 1102
感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914527

作品紹介・あらすじ

『満願』『王とサーカス』で「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」の国内部門1位でミステリーランキング3冠を2年連続で達成。

いま最も次回作が待ち望まれるミステリ作家・米澤穂信。
次々と魅力的な謎を生み出す作家の頭の中はどうなっているのか? 米澤さんの頭の中を満たしてきたのはどんな本たちなのか。
作家生活20年の節目に、米澤さんの心を捉え、人気ミステリ作家を形作ってきた本を一気見せ。

米澤さんが20年にわたって、様々な媒体に書きためてきた書評やお勧め本、対談を一冊にまとめました。
「思うさまに大好きなミステリをお勧めしたい」という米澤さんの強い思いから、特別書き下ろし読書エッセイ「私の好きなミステリ」(120枚!)&オリジナルコメンタリー(180枚!)収録。
米澤穂信ファン、ミステリファン、これからミステリ作家を目指す未来の書き手必携の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 米澤穂信さんの本棚紹介ですね。
    ブクログをそのまま本にしたような作品です。
    かなりの読書家ですね。作家さんは本好きが多いと思いますが、米澤さんは読まれるのも速いのではないかな。
    ジャンルは様々で、米澤さんにとって美味しい本をとても楽しげに紹介されています。
    私も読んだ事のある本が出てくる(かなりありました)と共感度がアップするのはブクログと同じですね。想わずフォローしたくなります。
    対談も用意されていて、より親近感がわきました。執筆の裏話やエッセイも楽しく語りかける文章がたまりませんね。
    もともと米澤さんの文章は、私には心地よい物でしたから、抱き締めたくなるような本でした。
    読んだ事のない本は数限りなくありますが、米澤さんが読んでないと思われる本を私が読んでいるので、そこは楽しみの趣ですね。
    何度も読み返したくなる本です。

  • 過去のイベント
    【新宿本店】限定営業!『米澤屋書店』(~2014年4月下旬) | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店
    https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20140316181330.html

    『米澤屋書店』米澤穂信 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914527

  • 本にまつわるエッセイ&対談集。

    若気の至りの文章に、赤面しつつツッコミを入れるとか、筆者自身による脚注がたのしい。

    読書量だけでなく、その幅の広さにも驚く。
    古今東西、ジャンルもミステリに限らず、まさに読書家。

    学生時代の思い出ミステリは、ドンピシャで重なり、懐かしい。
    おすすめ本に、自分も大好きな作品が入っていると、うれしくなる。

    読みたい本リストが増えた。

    書店員経験を踏まえた、本屋と図書館の話も、おもしろかった。

  • ブクログの本棚には登録していないのですが、米澤穂信さんの大ファンで、著作はほぼ読んでいます。
    その穂信さんがひたすら「本」について語った内容を集めた、贅沢な「本屋さん」。ちまちまページを開いていたのが、名残惜しくも読み終わりました。
    余談ですが本日の読売新聞文化面「私を作った書物たち」から、全4回のインタビューが載るそうですよ。こちらも楽しみです。

    さてさて。
    宮部みゆきさんの『宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本』でも思ったのですが、作家さんの読書量というのは、本当に半端ないものです。
    本書は巻末に、文中で挙げられた作品の索引が載っているのですが、ざっと数えたところおよそ680作品。……え?ってなりますよね。短編集に含まれたものもあるので実際はもう少し数が減るでしょうが、それにしてもものすごい数です。そして当然ここに挙げた以外の本も読まれていると思うと、目眩がしてきそうです。
    何がすごいって、その作品ひとつひとつに対する語り口も実に詳らかで愛に溢れているんですよね。多作すぎるので割愛されていましたが、穂信さんによるクリスティー評ももっと聞いてみたかったです。

    穂信さんの作品には、「安心感」があります。
    どんなテイストの作品であれ、きっと満足感とともに本を閉じるのだろうという確信できます。
    それを裏付けるのはこの膨大な読書量であり、それらを読むうちに培われた哲学、そして世界を見る目なんだろうなと、改めて穂信さんへの敬愛の情が深くなった一冊でした。

  • 【目次】ご挨拶より本の話をしませんか/1 選書棚/2 乱読棚/3 対談① 心に刺さるミステリー10冊+2 ×柚月裕子・笑えるミステリー10選 ×麻耶雄嵩/4 愛書棚/5 遊歩棚/6 書外棚/7 バックヤード/8 私室/9 対談② ミステリーにとって必要なものは何か? ×有栖川有栖・創作と自分 ×朝井リョウ/ご挨拶より本の話をいたしましょう    
     ミステリ愛溢れるガイド&エッセイ。読みたい本がまた増えてしまった。

  • 米澤氏がこれまで雑誌や新聞に書いてきた書評や読んだ本などの文を集めたもの。有栖川有栖氏や朝井リョウ氏などとの対談もある。単行本化するにあたり書き下ろしで新たに本の紹介文を、巻頭に日本の本、巻末に外国の本を載せる。これが冒頭から、おッ、これは読んでみたい、と思う本が続く。米澤さん、本の紹介がうまい。

    読んで読みたい、と思った本。紹介文はこんな感じ。
    ○「時計館の殺人」綾辻行人 あるオカルト雑誌の取材班が、曰く付きの館「時計館」を訪れる。室内に何百と時計が据えられた、そこで交霊会を行うというのだが、一人また一人と殺されてゆく・・

    ○「乱れからくり」泡坂妻夫 さる事情で玩具会社の部長を尾行していた探偵の前で、その部長が降ってきた隕石の直撃を受け、命を落とす・・

    ○「白雪姫の殺人」辻真先 東京郊外の老人ホームに、アニメーション業界の草分けとなった技術者たちが入居している。そこで元アニメーターの「アッコちゃん」が白雪姫の衣装を着て首を落とされて死んでいた・・

    ○「蝶の絵」久生十蘭 終戦から四年たって、一人の男が復員してくる・・

    ○「樽」F・W・クロフツ 樽が発送され、受取った人がいて、その中には死体がある。
     米澤氏は両親からこの本を教わったといいます。米澤さんの両親っておそらく自分とは数年上でしかないような気がする。別な章で、岐阜県最北部の鉱山街に住みそこは山近くの鉱山口の集落と、米澤氏の家のある麓の集落があり、本を読むには麓の本屋に頼むのだそう。書店の主は鉱山口の集落にライトバンで毎月本を届け、幼い頃米澤氏はその車に同乗して本を渡す事をしたかったそうだ。

    <米澤氏が好きな作家>
    有栖川氏との対談で、「好きな作家は泡坂妻夫さん、あとは蓮城三紀彦さん、陳瞬臣さん、山田風太郎さん」と言っている。

    <アガサ・クリスティ>
    ・初めて意識的に読んだミステリは、「なぜエヴァンスに頼まなかったのか」
    ・「春にして君を離れ」は人間を描いている。クリスティという名前を離れれば(ウェストマコット名義)、恐るべき人間観察の書を書き得たように、ミステリ作家は、私は、人というものを見る目を自らの中に確立していかなければならない。でなければ、ものするミステリは結局浅いものに留まるでしょう。
    ・「杉の柩」 クリスティはよく恋も書きましたが、「杉の柩」の恋はひときわ、いいですね。登場人物の幸せを祈りたくなってしまいます。

    <米澤さんと音楽>「no music ,but life」朝日新聞社「好書好日」2018.12.10
    「22才の分かれ」「赤ちょうちん」「いちご白書をもう一度」「初恋」など、なんだかフォークソングばかり聞いていた気がします。(両親が聴いていたのか? これらは氏が生まれた頃の曲)
     しかし、音楽というか曲にのめりこむことは無かったようで、音よりは歌詞に耳がいったようだ。洋楽も聴いたようでマドンナ、ジャミロクワイ、ダフトパンクなんかにも言及しているので、それなりに親しんではいたようにみえる。

    <短編>
    「世界推理短編傑作集」 江戸川乱歩の編んだこのアンソロジーを自分の手本としている。
    「医師とその妻と時計」アンナ・キャサリン・グリーン
    「ギルバート・マレル卿の絵」V・L・ホワイトチャーチ
    「三死人」イーデン・フィルポッツ
    「オッターモール氏の手」トマス・バーク
    「信・望・愛」アーヴィン・S・コップ
    「密室の行者」ロナルド・A・ノックス
    「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ
    「黄色いなめくじ」H・C・ベイリー
    「ボーダーライン事件」マージェリー・アリンガム
    「十五人の殺人者たち」ベン・ヘクト

    表紙○の中の絵は、
    「3D書籍の小さな飛行士」(EyeEm) gualtiero boffi 画 Photographer and 3d artist.

    2021.11.10第1刷 図書館

  • 読んでいて興味のある本が出てくる度に詳細が知りたくてググってたので、読み終えるのに時間がかかってしまったけど、この本を読んで、いろんな作家を知れた。いろんな本に出会えた。いろんな本を読みたくなった。うち何冊かは買ってしまった。…まさに書店のような一冊でした。

  • 対談や、エッセイの中なで話している様子がうかがえたのは非常に面白かった。ユーモアのセンスもあってより好きになった。ご自身でのツッコミもありクスッと笑えるところも。本の紹介も充実していて読み応えあり。

    ー「好きなように本を選ぶ」とは、単にいい加減に選ぶことではない。自らの好奇心と感受性を信じてそれを鍛え、…ー

  • 本好きと名乗って申し訳ありませんと言いたくなる。真の本好きは米澤さんのことを言うんだろう。本人は否定されてるが……
    知らない本が多かったが、それが気にならない端的なあらすじや魅力の記載、適切でユニークな注釈、何より熱量。ミステリ作家だからと敬遠せず、是非本好きに手に取ってほしい

  • 『黒牢城』を長いこと図書館でリクエスト待ちしてる間に読書案内である本書を読むことに。
    元々『満願』を読んだ時から、素材や登場人物の名付けなど文章が好みだったし『王とサーカス』も面白かったので、著者の来歴や人となりにも興味津々‥でページをめくると挨拶がわりの本の話で、いきなりの泡坂妻夫推し!うわー!やっぱり好きなはずだわ。好みが幾重にも被ってる!巻末の索引の充実ぶりにも驚きました。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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