- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784166600052
作品紹介・あらすじ
凄絶な孤独体験をもとに敢えて孤独を選び直し、それを贅沢に活用する人生のヒントを紹介。
感想・レビュー・書評
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中島義道氏の本9冊目になりました。
彼は自分のことを書くのが好きな人なので、結構いろいろ知っていますが、この本で今まで知らなかったことがさらに入ってきました。
「ウィーン家族」だったかな?お母さんがこの「孤独について」を読んですごく落ち込んでしまって
お姉さんが「あれは違うでしょ」と弟中島氏を責めたと。
その「ウィーン家族」ではお姉さんを大変けなしていましたが
この本では優秀で素敵なお姉さんのイメージです。
奥さんのことも「ウィーン家族」ではお気の毒な書かれ方だったように思いますが、この本では彼にとって数少ない理解者のように想われます。しかも最後の日付に(妻の誕生日)と書かれています。こんな風に女性を振り回して、ずるいです。孤独っていうけど、違うと思います。自分の都合のいい風に奥さんを使っている。
本当に中島義道さんて、わがままで自己中。
でもなぜか放っておけないのです。(放っておいてくれって言われそうですが)
まわりの人物をストレートに表現します。
恩師でも親や親戚も容赦なし。
私にはそんな生き方はできない
でも共感することもあるんです…。
だから、最新の本も今図書館に予約して、待っているところです。
中島義道さん、好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は、著者である中島義道氏の自伝である。それが非常に面白かった。それも共感できた。孤独に生きることを選ぶことは簡単ではない。人に嫌われたり、自己中だと言われたり、空気読めと言われたり、、、そこには多くのデメリットがある。しかし、著者は、それらデメリットを是認し生きようとしている。そして、孤独であるが故に手にするものもあるということを示してくれる。孤独といっても天涯孤独というわけではない。著者自身妻子持ちである。では孤独とは何か。現代社会は社会的に生きなければ生きていけない。人とかかわらなければ生きていけない。人とかかわりたくない人はどうやって生きればいいのか。心が孤独であればいいのかなと思う。表面上は取り繕ってふるまっていればいいと思う。当たり障りのない会話ができればいいと思う。楽しい会話なんてしなくていいと思う。しかし、それによって人から嫌われようと、見下されようと、気にしないくらいの強さが必要だ。孤独になるのって結構骨が折れるんだな。それでも孤独を楽しみたい人、人に干渉されるのが煩わしいと思う人、うざいと思う人は、そういうデメリットを受け入れなければならない。本書は、孤独についてというより、もっと広範な、人の心の持ち方、人生の生き方、一度しかない人生をどう自分らしく生きるか、人に邪魔されず自分の好きなことに自分の人生という「時間」を生きるか、著者は自伝を通して示してくれていると思う。
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ところどころ共感できるようで、究極的に共感できない。
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10月5日購入。読了。
水で割った幸福論なんかで人生の何たるかを理解できるはずもない。にもかかわらず、訳知り顔で書店に平積みされている「何とか幸福論」や「スピリチュアル何とか」の多さには呆れてしまう。なぜ僕がそういう本を嫌うのかわかった。それを裏付ける信用性がないからだ。大概の人生訓では一応人間というものは「孤独」に苛まれる生き物だということを書いている。その問題提示の仕方は正しいと思うし、「あなただけが孤独なわけじゃない」「孤独に耐える時間も必要である」といった、苦痛の根本の打破よりそれを毅然と受け止める東洋的なスタンスも嫌いではない。その応えも別に間違ってはいないと思う。むしろ中島氏のような一貫した孤独を選び取る人のほうが珍しい。ただ、結論はどうあれ僕はどうやらその著者の人生にその本の価値を見出している気がした。そして、それがどの程度自分と重なるかで自分にとっての必要性を吟味していた。その著者がどれだけ人生は辛いものだとご高説しても、それは所詮「ご高説」の域を出ない。僕達が欲しいのは、実は答えなどではなく、安心である。現に「あなただけが孤独なわけじゃない」という言辞は僕達がいかに安心を欲しているかを表している。しかし、その本から離れ、現実に目を向けるとやはりそこに写るのは今までと変わらぬ現実なのだ。他人は相変わらず楽しそうだ。待ち行く人々は笑顔で溢れている。テレビからは一日中笑い声が聞こえる・・・本当に孤独な人はどこにいるんだ?そういう猜疑の念に駆られてしまう。中島氏の本は違う。それは著者を崇高かするご高説でなく、必要以上に悲劇のヒロイズムに浸る愚痴でもなく、現実と運命と苦悩を淡々と描く「一人の人生」である。 -
まさしく、わかる!この感覚!
わかりながらも、また、受け取り方や、生き方が異なるのは、すべての脳がオリジナルだから。
悩み苦しんでいた学生時代の私にプレゼントしてあげたい。ま、でも、助けにはならなかっただろうけど。(笑) -
孤独でも良いのだという一押しをしてもらえた。
孤独はとても辛く、苦しい。
でも孤独は間違いではない。
それを知ってホッとした。
著者自身の人生譚と、そこから導き出される孤独について。 -
サブタイトルに惹かれて購入。
すごーく好き嫌いが分かれそう。
なんとなく太宰の人間失格を思い出す。
個人的にはすごい好きだし、こんなはちゃめちゃで自己本位で苦しんで苦しんで生きづらいと感じている人でも生きていけるんだ、と慰められた…というか、テキトーに生きるかーという開き直ったようなポジティブな気持ちになった。
きっとこれからももがき苦しむと思うけど、自己本位に生きようと思う。 -
誰にも看取られず、後悔しながら絶望しながら死んでゆきたい。著者の考えはマジョリティではないのかもしれない。しかし、この本を読んで必ず共鳴する人もいるはずだ。偽りがなく泥臭いこの本は、少しヒントになったかもしれない。
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哲学者の著者が、これまでの人生における人びととのかかわりを振り返りながら、「孤独」を求めるようになった経緯を語った本です。
権威主義的な両親や、「子どもらしく」振る舞うことができず疎外感を味わった少年時代、迷走をくり返した大学時代、そして教授のイジメに耐えた助手時代のエピソードなど、著者の自伝的な記述に多くのページが割かれており、「孤独」そのものについての考察は多くありません。しかしながら、他人に興味を抱かず、徹底的に自分自身にのみ関心を向け続けることが「孤独」であるとするならば、こうした記述になるのはなかば必然的なのかもしれない、という気もします。 -
高校生の時に買いました。
随分影響されてしまったところもあったように思います。
十数年振りに手にとって読んでみました。
全くの自伝です。
どうでもいいことが書いてあります。
自伝というもの自体がそもそも、読む側からすれば「他人の人生」という割とどうでもいいものの記述で溢れかえっている読み物ではあります。ただし、そんな無用極まる言葉の群れの中で、どこか共鳴できる生き方や考え方が奇跡的にあった場合に限り、読んだ人にとってこの上なく大切な読み物になることだってあります。
ただこの本に至っては、そもそも著者自身がそういう共鳴を拒んでいます。そして実際、どこにも人の取りつく島のない人生にも思えます。
読めば読む程湧いてくる「どうでもいい!」という感慨。そして、ここまでどうでもいいことばっかり細かく書ける才能に一周半回って気持ち悪さを覚えるという読後感。
なるほど、よく出来た孤独だと思います。