プレイバック1980年代 (文春新書 539)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166605392

感想・レビュー・書評

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  • 新書のようなまとめ的長さの本では、案外著者の“本音“が浮かび上がるものである。
    典型的な、「私は関係ないものね」の傍観的態度。実際に年齢的にも関係なかったのだろうが、簡単に決めつけてしまう“軽率さ“が文中にある。
    海外の反核運動とか国民の活動を結構冷ややかに見ていて、ある種国家権力主義的な面に正しさを感じているようで、中曽根氏に対する妙なシンパシーなんかもそうなんだけど、この程度でヨーロッパとかの政治の流れを理解分析できるのかと思ってしまう。
    思考の文化を揶揄する形でミーハーとあらわす文章は、自身が意識しているかは別に、80年代バブル世代の軽薄短小さを体現していると感じる。

  • 今現在の様々な現象のルーツが80年代にいくつもあり、政治、国際関係など、今の事象の理解を深める役にたつ。それぞれの事件や出来事に、自分のその頃が重なるので、なつかしい気持ちもいっぱい。

  • 戦後政治史・資料補完計画のため再度読み直しを実行。著者の村田(晃嗣)氏と言えば、国際政治やアメリカ外交についてのリアリスティックな論評に定評があるが、本書で見てとれる通り語り口はいたって軽妙で自然と頁が進む。
    表題の1980年代と言えば、昭和の終わりの時代であり、また平成の始まりに連なる時代である(日本人にとっての方が「短い20世紀」の表現がしっくりくるに違いない)。平成生まれの自分ではあるが、どちらかというと80'sとしてのアイデンティティを有している気がしてならない(村上(春樹)さんの著作がこの時代に始まったとなれば、尚更興味が深まる)。だからこそ、手にとったと言っても過言ではない一冊である。もっとも、本著は政治史に特化したわけでもなく広く社会史にも言及され、80年代を概観するのにもってこいの良書である。

  • [ 内容 ]
    バブル崩壊後の不況、日米関係の蜜月と裏腹の中韓との不和…。
    どこかしら今の時代とつながるあの「八〇年代」が、著者の“カルチャー”体験を交えて、軽快に描き出される。

    [ 目次 ]
    出発点 1964年
    性急で不安な時代 1970年代
    首相の死 1980年
    「同盟」迷走 1981年
    「歴史の復讐」と中曽根の登場 1982年
    「ロン・ヤス」時代の幕開け 1983年
    オーウェルの予言 1984年
    転換期 1985年
    大爆発と総決算 1986年
    終わりの始まり 1987年
    消費税、リクルートと「自粛」 1988年
    昭和の終りと冷戦の終焉 1989年
    エピローグ 1980年代とは何であったのか

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    [ 参考となる書評 ]

  • 9月29日読了。東京オリンピックの1964年から1970年代を通しての「もはや戦後ではない」繁栄を受け爛熟の限りを尽くした1980年の日本。強いリーダーシップを持つ首相とその後任のドタバタ、日米の関係強化、政治の混乱など21世紀の日本との奇妙な類似、これが80年代のバブルの日本だったのか・・・。政治と文化の話がメインだが、後者は私も実際に生きていた年代だけに記憶に新しいが、前者については目から鱗の話も多かった。中曽根康弘という政治家の実行力と個性・弱点と、後任の竹下氏の苦境・忍耐や、その他の歴代首相たちの個性と活動の軌跡が大変に興味深い。しかし、「強すぎる日本」が世界から問題視されたというそのことに新鮮な驚きを覚えるとは。歴史に学ぶのは難しい、というか。なんとも不思議なものだ。

  • 高校までで学ぶ歴史や大学で学ぶものでも案外1980年代の出来事は学ぶ機会が少ない。
    私の生まれた年代でもある1980年代は日本の政治において非常に重要な出来事が数多く起きている。
    1980年を深く学べる著である。

  • 政治を機軸に据えた1980年代論。分かりやすく、しかも勉強になる。

  • 1980年代の政治を見つめなおすということは、結局戦後政治を見つめなおすことでもある。
    なかなか考えさせられた。
    それにしても、すっかり忘れていた事件や出来事の多いこと。そして、もうそんな昔のことなのと思わされることの多いこと

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著者プロフィール

同志社大学教授

「2023年 『国際政治学をつかむ〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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