一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書 1194)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784166611942

感想・レビュー・書評

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  • 最近読んだ読書術の本に「ベストセラーは必ず買って積んでおくだけでもよい」というようなことが書いてあったのでまず、この本を買ってみました。
    色々なところで女優の樹木希林さんが発言したことばをまとめたもので、こころに染みることばはたくさんありました。
    私は、自身が病弱なので、特に希林さんの「がん」という病気に対する姿勢には身につまされました。
    私は、死に至るような重篤な病気はひとつもありませんが、1週間全部、通院でスケジュールが埋まるだけで、気が滅入り、病院で待っているだけでイライラしてきます(病院では気が散るので私は本は読めません)。希林さんとは年齢差や性格も全く違う方なので、そんな境地には至れない私ですが、あまり不幸に思わないようにしたいと思いました。

    希林さんの映画は『そして父になる』でお見かけしたのが最後でしたが、惜しい方が亡くなられて、もっと出演作を拝見したかったと思いました。
    娘さんの也哉子さんがエッセイストでいらっしゃることを初めて知り、お人柄を本書で知り、その作品も是非、拝読してみたいと思いました。

    本分P122より
    「私は最近、放射線治療の後遺症じゃないかと思うんだけど、肩がゴキン、ウアッてなることがあるの。そういうとき「痛い」じゃなくて「ああ気持ちいい」っていいかえちゃう(笑)。それが、当たり前なんだと受け取って生活していく面白さっていうのがあるなって思うんだ。私にはいい塩梅にがんっていうのがあるから、いろんな意味で有効に使ってるのよ。何かを断わるときには、「もうがんが大変なの」とさえ言えば、「あっ、そうですね」となるし。まあでも病気をしてから少し謙虚になりました、私」(「体はちょっとアレだけど、怖いのもがなくなって年をとるのも、悪くない」2016年6月)

  • 「おごらず、他人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」
    娘の内田也哉子さんによる喪主代理挨拶の中のこの一文(生前、希林さんから也哉子さんへ贈られた言葉)が樹木希林さんの全てを表している。
    希林さんの遺した言葉の数々は常に自然体でユーモアに満ちていて、我々の心に穏やかにじっくりと染み渡る。

    「自分の身の丈にあったレベルで、そのくらいでよしとするのも人生」
    「年齢に沿って生きていく、その生き方を、自分で見つけていくしかない」
    「自分の最後だけは、きちんとシンプルに始末すること」
    「楽しむのではなくて、面白がる」
    「存在をそのままに、あるがままを認める」

    自分を含め周知の人を俯瞰的に冷静に見据える希林さんの、すっきりとシンプルな生き方。
    希林さんのどの言葉も的を得ていて私もお手本にしたいけれど、「それは依存症というものよ、あなた。自分で考えてよ」と表紙のお写真のように軽やかに笑いながら、希林さんに突っ込まれるに違いない。

  • 樹木希林のことば

    表紙の希林さんの笑顔の写真素敵。見てると笑顔で挨拶したくなります。

    本書より心が惹かれた言葉

    本人が本当にすきなことができていて「ああ、幸せだな」とおもっていれば、その人の人生はキラキラかがやいていますよ。

    十分生きて自分を使い切ったと思えることが、人間冥利に尽きるってことなんじゃないでしょうか。

    何でもおもしろがって毎日を楽しく過ごしていたら、いい歳のとり方がてきるんじゃないかと思う。

    「おごらず、他人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」

    素敵な言葉 ありがとうございます。

  • 養老孟司さんとNHK番組で共演しているのを知っており、気が合う2人だったと別の本で読んで知っていた。
    また、先日読んだ週刊新潮での特集記事で樹木希林さんが遺した蔵書100冊が紹介されていた。ああ、やっぱり読書家だったか、と思わず納得。亡くなった後に何かと特集を組まれる人の中には読書家が割と高い割合でいるような気がするのである。
    それでその記事を読んだということと、養老さんの本を何十冊と読んだことが後押しとなり、樹木希林さんの人生哲学を垣間見たくてこちらの本を購入することに。

    読んでいると、ああそうか、樹木希林さんは自分を世間からすこし外しているところがある人だからこういう思想になるのかと思われた。そういう点では養老さんと共通している。しかしながら、全身がんを患いながらも冷徹でいられるというのはなかなか人の真似することのできることではない。

    読んでいて気になるのは、常に自分の生きざまの整理を行おうとする姿勢である。良い年の取り方や死に方を常に考えている。モノもあまり持たない。靴も持っている数が常に三足であるところも樹木氏らしさが伺われる。シンプルライフという言葉で一括していいものか悩むが、それが樹木希林さんには当てはまるように思われる。私などは、蔵書の数がもう数千冊にもなっていて自分の書斎に入りきらなくなってきており困っており、実家の倉にもスペースを借りてなんとかしている状況である。そこで、そのようなシンプルでいられる秘訣は何か、と読んでいくと、ものを買うのもそうだが、買わないというのにもある意味「力」がいると書かれていた。たしかにそうかもしれないと納得してしまった。そうか、そのような「力」のいる生活を自分なりに工夫しているのだな、と樹木氏の陰ながらの努力を垣間見た気がしたのである。

    時代の精神が冷え切っている今、その冷え切っている中で得たものをおさらいとしてこの本を読まれると自分の生き方が豊かになるのではないか、そんなことを考えながら読ませていただきました。

  • 芝居の達人、人生の達人。
    2018年、惜しくも世を去った名女優・樹木希林が、生と死、演技、男と女について語ったことばの数々を収録。
    それはユーモアと洞察に満ちた、樹木流生き方のエッセンスです。

    〇モノを持たない、買わないという生活は、いいですよ
    〇人の人生に、人の命にどれだけ自分が多く添えるか
    〇欲や執着があると、それが弱みになって、人がつけこみやすくなる
    〇子供は飾りの材料にしないほうがいい
    〇アンチエイジングというのもどうかと思います
    〇人間でも一回、ダメになった人が好き
    〇もう人生、上等じゃないって、いつも思っている
    〇女は強くていいんです
    〇つつましくて色っぽいというのが女の最高の色気
    〇最期は娘に上出来!と言ってもらいたい

    【目次】はじめに
    第1章 生きること
    第2章 家族のこと
    第3章 病のこと、カラダのこと
    第4章 仕事のこと
    第5章 女のこと、男のこと
    第6章 出演作品のこと
    喪主代理の挨拶 内田也哉子
    樹木希林年譜
    出典記事一覧

    **************************************

    とても説得力のあるものや、自分の経験のなさから理解できない事まで、いっぱい知ることができた。

    決して、こうしなさい、するべきだ、と言うのではなく、でも、これを読んだら、樹木希林が偉大すぎて、自分も、見方を変える、行動してみよう、と思える、そんな勇気づけられる言葉が多かった。

    ものを俯瞰でみる。
    自分が自分がとなってばかりで、なかなか出来ることじゃないけど、この本を読んだのも縁であって、自分もちょっと考え方を変えていこうと思った。

  • 画面の向こう側の人とばかり思っていたので、こんなに謙虚でチャーミングで人間としてのめんどくささがある(笑)人だとは知らなかった。
    持病についても、自虐をかましながらおもしろおかしく語るところもあれば、自らの運命を静かに見定めている生き方はかっこいい。

  • 前向きに生きること、何事も深刻に考え過ぎないこと、今の私にとても響いた!

  • 樹木希林さんの訃報を知ったときはショックだった。
    もっと居てほしかったから。
    樹木希林さんが書いた本じゃない本が、亡くなってから一体何冊出版されただろうか?
    いま読了してみて、
    自分でもわけがわからないけれど号泣している。
    希林さんの言葉はあとから効いてくるんだ。
    すごいボディブローをくらったようにだ(食らったことないけど)。

    ・人が死ぬときに「あいつ、やさしい人間だったな」と思ってもらえるような、そういう添いかたをそれぞれにしていきたい
    ・〈中略〉女っていうのは、その人生が終わったときに、いい意味で泣いてもらえる、いつまでもいてくれて良かったと思われる存在になるんじゃないか
    この前後のない2つの抜粋をしたのは、
    樹木希林さんは、まさにそういう存在だったと思わされたからだ。
    この唯一無二には容赦がない。
    不思議だ。とても。自分を許せそうになったことが。
    人が生きることをみて、人は(私は)救われたりするんだな。

  • 人柄がものすごく伝わってきました。
    元々好きでしたが、さらに好きになりました。
    まだ見てない作品もあるので、時間を見つけて見てみたいと思いました。

  • 「二次使用はご自由に」と留守番電話の応答メッセージに入れていたという樹木希林さん。内田也哉子さんと中野信子さんとの対談本『なんで家族を続けるの?』で内田也哉子さんがそう語っていた。
    だからなのか、樹木希林さんの名言集がたくさん世に出回っている。
    その中でもこの本はよく売れていて気になっていた。
    電子書籍は遠慮なくマーカーを引けるので便利。たくさんのマーカーを引きながら読んだ。なるほど名言だらけだ。

    私もなかなかいい歳に差し掛かり、これからどう生きていこうかとふと立ち止まって考えるときがある。仕事が休みのとき「今日喋ってないなぁ…」と不安になったり。樹木希林さんはそういうとき「お経」を読んでいらっしゃったそうで、そうか!!いいアイデア!と生きるヒントをもらった。

    樹木希林さんは「お正月を写そう」のCMはもちろん、映画『悪人』『万引き家族』『あん』『日々是好日』などなど…どれも強いインパクトがある。『悪人』では、結構びしゃびしゃと音を立てて魚を捌くシーンが印象に残ってて、本でおっしゃっていた"何でもない日常を描いて観客の心をとらえるのって至難の業"というその至難の業が出来ていてやっぱり素晴らしいと思う。

    樹木希林さんに対する憧れと同時に私は私でいいんだっていう自己肯定感も生まれた。
    樹木希林さんが"顔施(がんせ)"とおっしゃっていたという表紙の笑顔。
    私もそういう穏やかな笑顔を施せるように日々過ごそう。

    ちょっと人間力レベルがUPした気がする。
    時々読み返そう。

著者プロフィール

樹木希林(きき・きりん/役者)
本名:内田啓子(旧姓:中谷)。1943年生まれ、東京都出身。61年に文学座附属演劇研究所に入所、芸名「悠木千帆」とし、女優活動をスタート(77年、「樹木希林」に改名)。64年、森繁久彌主演のテレビドラマ『七人の孫』にレギュラー出演、一躍人気を博す。66年、津野海太郎らと六月劇場を旗揚げ。また、同年、テレビドラマ『とし子さん』に主演。以後、『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『ムー』『夢千代日記』『はね駒』『向田邦子の恋文』などのテレビドラマに出演。また、富士フィルム、ピップフジモト「ピップエレキバン」、味の素「ほんだし」などのテレビコマーシャルに出演。00年代以後、映画出演が増え、「歩いても 歩いても」( 08)、「わが母の記」(12)、「そして父になる」(13)、「神宮希林わたしの神様」(14)「あん」(15)「モリのいる場所」「万引き家族」「日日是好日」(18)などに出演。「人生フルーツ」(17)『転がる魂 内田裕也』などドキュメンタリー作品のナレーターも務めた。企画・出演をした映画「エリカ38」(19)が遺作となった。夫はロックンローラーの内田裕也、長女に作家の内田也哉子、娘婿に俳優の本木雅弘。2018年9月15日に逝去、享年75。

「2019年 『いつも心に樹木希林~ひとりの役者の咲きざま、死にざま~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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