日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167105365

作品紹介・あらすじ

梅棹忠夫、犬養道子、梅原猛、向坊隆、高坂正堯、辻悟、陳舜臣、富士正晴、桑原武夫、貝塚茂樹、山口瞳、今西錦司の十二氏を相手に、日本と日本人について興味深い話は尽きない。

感想・レビュー・書評

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  • 40数年前の対談のはずが現代の問題を話してるような感じもした。当時から未だに解決出来てないような事も多く話されており、つくづく人間というのは進歩しないんだなと思う。

  • 日本人を考える 司馬遼太郎対談集

    司馬遼太郎は 対談の名手である。
    相手の持つよさを うまく引き出して、知の輝きが増す。
    昭和44年(1969年)から昭和46年の間の対談集。
    その時代からかなりたっているが、
    日本の思想の底流が明確になっているような気にもなる。

    梅棹忠夫、
    日本は無思想時代に入った。
    大企業に入るとは 藩に属するようなもの。
    ギターを楽しんで弾いて生きていくことが不思議でなくなっている。

    犬養道子、
    相対的思考のなかで あっけらかんとして生きている。
    ヨーロッパの理詰め的な対話はつかれる。
    なぜ 絶対なものをもとめたのか。
    祖父が 首相だったが 殺されたことによる
    絶対を求める力が強かった。

    梅原猛、
    真善美。は 宗教の求めるもの。
    南無阿弥陀仏と南妙法蓮華経。
    弥生文化と縄文文化の潮流がある。
    浄土宗、浄土真宗は 死の論理。
    日蓮からは 新興宗教が産まれている。
    日蓮は生の論理。そして、縄文的だ。
    利とはなれることが宗教であったが 創価学会は利を求めている。
    それは 日蓮を系譜としない 新たな宗教。

    信長は近代を切り開いた。
    無神論者となり、奇妙なものは徹底して破壊した。
    比叡山、一向宗教、

    向坊隆、
    日本はエネルギーの問題をさけて通ることができない。
    石油は いつ枯渇するのかわからない。
    原子力はコストが安いが それ以外のコストがかかる。
    残された灰をどう保存するのか。
    地震が多く、地下水が多い、狭い国で。

    高坂正堯、
    攘夷のエネルギーが、明治維新を作った。
    しかし、開国は、先の見えるものたちによって、当然だった。
    薩摩藩は、開国だったが、薩英戦争で、攘夷のように見えた。
    長州は、イギリスとの戦いをすることで、
    攘夷から開国に変更することができた。
    上杉は理解していた。
    勝海舟は、政治家のように言われるが、評論家だった。
    幕府には、政治家が、いなかった。

    長州が、陸軍の基礎になったのが、悲劇を産んだ。
    奇兵隊の延長で、猛攻に次ぐ猛攻。糧食は敵に求むというわけで、
    補給なんか考えない。
    無能な精神主義がまかり通った。

    司馬遼太郎は言う。
    日本の歴史の政治家で四人あげよといわれたら、
    信長、秀吉、家康、それに大久保利通をあげる。

    政治に教科書はない。人生に教科書はない。

    辻悟、
    子は親を批判することによって、自分を作ることが出来る。

    陳舜臣、
    日本人は、騎馬民族。緊張した臨戦体制。

    富士正晴、
    寝転んで、大阪弁で吠える。

    桑原武夫、
    理屈が話せて、しかも感情表現が豊かな日本語。
    日本語は変化し、進化する。
    人々を感動させる文章。
    形式論理から見ると非合理的で、心理的には納得させる論理がある。

    貝塚茂樹、
    日本語は、イデオロギーが成立しない。
    気分として、語ろうとする。
    毛沢東は、聖人である。
    中国人は、繰り返しが好きな民族。

    山口瞳、
    司馬遼太郎の東京にくしに、山口。タジタジ。

    今西錦司
    氷期には、対応したが、氷期が終わる時の気候の変化に対応できなかった。

  • この本は司馬遼太郎の対談集である。

    「坂の上の雲」で多少ゲンナリしていたので、不安があったが読み終えたら結構おもしろかった、というのが率直な感想。

    ただ、この対談は昭和45年~46年くらいのもので、わたしが2、3歳の時期である。もちろんわたし自身、この頃の時代がどういうものだったのか、存在はしていたが、時代の雰囲気までは感じ取れない年齢で、だから新鮮味があった。

    司馬遼太郎を初め、ほとんどが既に鬼籍に入ってしまった人たちで「この人ら、このときはこのように言ってたけど、今の時代を過ごしていたらどんな感じだったろうな?」という気持ちがすごくする。ここ数十年間で日本は随分変わった、日本人も変わったんじゃないかと思うくらい、この本に出てくる「日本人」は違うと思う。ただ、時折「集団ヒステリー」を起こす、と書いてはあったが、まさか四六時中集団ヒステリーを起こす民族になってしまったとは想像できまい。

    あとは文明が進むとそれぞれの人が「小粒」になるのかなあという気がしないでもない。あの時代からわたしが大人になるくらいまではまだ大物がいたような気はするが、今の時代はそういう人物もあまり見当たらないものなあ。。ただ、それは「階級のない社会」であった証拠であるから、仕方のないところなのかも知れない。昔のような超エリート数人で国を動かしてもいいものかと思うと、やはりそうは思わないので。

    この対談の中で出て来た辻悟という精神科医の言葉が頭に残る。ただ、ネットでいろいろ調べてみたらこの言い分は「持論」らしい。

    「だから自分の属している集団の同質性であれ、歴史の中から自分のものとした安定性であれ、自分のよりどころとしているものに絶対的なものとして寄りかかってしまうのではなくて、相対的なものとして受け止める心を自分のものとしなければなりませんね。それは不安の多いものではありますけれども、そうでなければ人間の精神は閉ざされたものになってしまう。簡単に実現できるという保証もありませんし、終わりのない作業かもしりませんが、それが大事であるという心構えだけは最低限持ってなければならない。」

    それから、最後の今西錦司との対談が面白かった。

  •  日本人には任侠は根付いていない。長い歴史の中で、どの時代でも国を信じることが出来たために日本人には小集団の任の発想がない。一方隣国、中国の民衆には現代でも根強く任がいきわたっている。彼らにとって国家の支配者はいずれ誰かにとって代わられるものという認識があるのだ。なので家族や身内に発生する任とは、現代でも彼らの生命維持に関わる重要なことなのである。

  • 読みやすいけど、あんまり残っていないかも。

  • 梅棹忠夫、犬養道子、梅原猛、向坊隆、高坂正堯、辻悟、陳舜臣、
    富士正晴、桑原武夫、貝塚茂樹、山口瞳、今西錦司、各氏との対談。1978年の第1刷ながら、現在の予言となったような部分も多々。わかりあっている部分、全くわかりあえていない部分、全て含めて面白かったです。

  • 知的訓練に耐える体質を学生に与えることができるのが大学。

    日本はまわりが海だから頭から単一民族だと思っている。
    だからよその国に対して幻想を抱く。

    バチカンの焼き討ちなんてことはゲルマンのバンダル族でも感gな得なった。そんなことを信長はやってしまった。

    無知こそ行動のエネルギーというのは江戸時代からある。

    日本人は文字が読めて島国根性だったから官僚制度が機能している。
    塾のような個人的子弟関係が教育の要になる。

  • 旅の途中で読みまさに、目からウロコの印象。

    薩摩が琉球を統治した経験があり、
    それが大久保を生んだの部分はまさに深く感動。
    なぜだか俺は大久保が好き笑

  • 2月に大阪の司馬遼太郎記念館に行って、触発されて購入しました。しばし、積読でしたが、今週初めから再読して一気に読了しました。司馬氏と当時の知の巨匠達の対談、現在でも通じる示唆や思慮があり、驚きです。やはり歴史的認識は大事ですね!

  • 下記12名との対談集

    梅棹忠夫
    犬養道子
    梅原猛
    向坊隆
    高坂正堯
    辻悟
    陳舜臣
    富士正晴
    桑原武夫
    貝塚茂樹
    山口瞳
    今西錦司

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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