新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫) (文春文庫 し 1-94)
- 文藝春秋 (2002年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167105945
作品紹介・あらすじ
明治維新とともに出発した新しい政府は、内外に深刻な問題を抱え絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発した。西郷隆盛が主唱した「征韓論」は、国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく。征韓論から、西南戦争の結末まで新生日本を根底からゆさぶった、激動の時代を描く長篇小説全十冊。
感想・レビュー・書評
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龍馬が行く、最後の将軍を読んだ流れで翔ぶが如くに突入。序盤から登場人物が多いため、人物紹介にページが割かれており、面白さは控えめ。今後に期待
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征韓論で燻っている頃の話。
龍馬が行くを読んだ後の方が登場人物の重なりなどあって面白い -
司馬遼太郎作品において正直前評判があまり良くなかったので、期待はしていなかったが、個人的にはとても面白かった。
西郷隆盛という、歴史的偉人について、司馬遼太郎作品らしく、多くの史実や独自の視点から紐解いており、改めて尊敬すべき偉人だと感じる。
ここからどのような展開になっていくか楽しみである。 -
九州旅行に行く前に読もうとしたが、なかなか進まず、、、作者は西郷隆盛のことがすごく好きなのかな。
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征韓論。なぜ急にこんな論が持ち上がったのか、と不思議に思ってました。やはり一概に語れるものでは無いんですね
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これまでの司馬遼太郎作品と比べるとなかなか進まなかったのが正直なところ。
でも巻末に近づくにつれ、島津斉彬に対する西郷隆盛の忠誠心・想い、その想いを汲んだ”征韓論”の位置付けが明確になってきた。
というより、孤島としての日本の歴史に染み付いている畏れみたいなものが見えてきた。
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西郷は革命の成功者でありながら、革命か引き起こすであろう惨禍のほうを一身て引き受けようとした。古今東西こういう革命家は存在しなかった。
通常革命後、反動で反革命運動が起これば、それを新政府軍で殲滅するのが、「反革命層のほうが、あわれだ」という革命家が、どこにあるであろう。179 -
「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。
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久々に長編に挑む。初感は活字の濃さ。
「竜馬がゆく」の冒頭部が会話文主体で物語が進み、そのひらがなの割合にどこかのんびりとした序章が感じられる一方、こちらはそんなことは微塵もない。
幕府→土佐藩→長州藩とそれぞれの視点からこの時代を眺めてきて、ようやく薩摩藩側から同時代を眺められるのかと感極まり、一頁めからの「薩摩言葉」に内心小躍りして読み始めるのであるが、どうやらその思惑は少しずれていたようだ。物語は少し先、戊辰戦争を飛び越してしまっているところから動き出す。なまりの残る元志士達が「東京」を闊歩し、その中には元志士でさえなかったものまで含まれている。彼等の思考回路もまったく変わってしまっている。この先十巻、これはどうしてなかなか手ごわそうだ。
ただ回顧録がふんだんに含まれていることがこの第一巻をして自分にとってはずいぶんと読みやすいものにしてくれた。まるで今までの作品をおさらいしているような様であり、そしてそれがあらたな小躍り感となってさらりと読み終えさせてくれた。
なによりタイトル自体が松陰の言葉を借りていることに気づけたことが幸せである。 -
読めばきっと大久保利通を好きになる作品。
司馬遼太郎の良いところは、好きな登場人物を持ち上げ過ぎないところじゃないかと思う。長州人のこと好きだよね?・・・ね?