- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167112417
作品紹介・あらすじ
新田次郎 生誕一〇〇年 記念刊行富士頂上に気象レーダーを設置せよ! 国家プロジェクトにのぞむ気象庁職員の苦闘を、新田自身の体験を元に描き出した傑作長篇
感想・レビュー・書評
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富士山ブームに乗って読了。山頂での激しい気象の表現は職人技。臨場感にあふれ情景が目に浮かびます。これを安易に映画にするのは難しいだろうと思います。やっぱり小説で読むべき一冊です。
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夏になれば新田次郎でしょうか。山岳小説の雄。私の大学の大先輩。
六本木ミッドタウンの近くに大きなポスターが出ていました。というのもミッドタウンの富士フィルムスクエアで新田次郎の愛した山々という写真展をやっているのです。7月18日までなので見に行かないと...
本書を手に取った理由の最大のものは今年の夏は富士登山を計画しているというもの。本書を読んでなんらかの参考にならないかと。
わかった事は大自然の脅威。そしてレーダー観測所を設置した方々の想像を絶する努力。そしてやり遂げるまでの強い信念。
富士登山はご来迎目当てなのですが、観測所もこの目に焼き付けたいです。
しかし昭和42年にも官僚達のセクショナリズムはとんでもないなぁ。今も変わらないんでしょうけど。 -
富士山の頂上に気象用のレーダーアンテナを設置する大仕事を成し遂げるまでの話。
役所内の調整であったり業者との調整であったり、天候との戦いであったり。城山三郎『官僚たちの夏』を彷彿とさせる、今では考えられないような骨太な(つまりコンプラをガン無視するような)エピソードが盛りだくさんなので、そういうエピソードが好きな人には刺さるのではないかと思う。 -
「新田次郎」が自身の体験を元に描き出した傑作長篇『富士山頂』を読みました。
『芙蓉の人』に続き「新田次郎」作品です。
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富士山頂に世界一の気象レーダーを建設せよ!
昭和38年、気象庁の元に始動した一大事業。
測量課の「葛木」を始め、その任務を受けた男達は、熾烈な入札競争、霞が関の攻防、暴風雨が吹き荒れる3776mの苛烈な現場と闘いながらも完成に向け邁進してゆく。
著者の体験を元に、完遂迄の軌跡を活写した記録文学の傑作。
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昭和42年(1967年)9月の『別冊文藝春秋』で発表された作品… 「新田次郎」が気象庁測器課長として実際に経験した、富士山頂の富士山測候所に台風観測のための巨大レーダーを建設する様子を描いた物語です。
気象庁は、2億4千万円の予算が確保できたことから、昭和38年(1963年)から昭和39年(1964年)かけて、台風観測のために、富士山頂に気象レーダーを設置する計画に着手… 責任者である測器課長補佐官(建設時には測器課長)の「葛木」は、予算化までの旧・大蔵省における予算の復活折衝、大手電機メーカー各社による激しい入札争い、政治家や政府高官を使った圧力等の困難な問題に立ち向かいながら、レーダー設置実現に向けて邁進する、、、
富士山の馬方や強力の組合を統一させ富士山頂までブルドーザーを使った輸送方法の確立、建設が始まってからの3,700メートルを越える高所で高山病に苦しみながら働く建設会社の現場監督や労働者の苦難、ヘリコプターの能力を超えた危険なドーム輸送に立ち向かうヘリコプター会社の人々とパイロットの活躍等、苛酷な現場を経験しないと描くことのできないリアリティのある描写に、引き込まれてしまいましたね。
富士山頂気象レーダー建設という事業を軸に、難事業に取り組んだ人々に多角的にスポットを当て、錯綜した動きを追うことで、奥行きのある作品に仕上がっていたと思います… 愉しめました。 -
著者の山岳小説と思って読んでみたが、これはちょっと違った。なに?気象庁内と、富士山レーダー発注にあたってのゴタゴタの話が半分で、過酷な環境の中、作り上げていったというのは、内容的にあまりなかった。
逆に、主人公は著者自身だと思うが、ちょっと横柄すぎるかな。読んでいて、不快に思うところもあった。逆に、レーダーはできたが、それをメンテナンスする人が泊まる宿舎をきちんとできなかったという反省もしているところは好感がもてた。(そのことを作業員に言わせているが、著者自身の反省だっあのかな。) -
人生をかけた大仕事を成し遂げる過程がよくわかる。ノンフィクションなので、臨場感あり。関係者なら、役所の体質と調整する苦労がよくわかる。
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富士山頂における台風観測用のレーダー建築に、気象官として携わった作者の自伝小説。
富士山頂での困難な工事に立ち向かうという冒険の描写はありつつ、大蔵省との折衝(予算説明)や「幽霊」(有形無形の圧力)の跋扈などが強調され、山の小説というよりは官僚小説といった趣であった。 -
気象衛星の登場で今では使われなくなった富士山気象観測レーダー建設の物語。
業者の選定や現場とのやりとりなどが作者の体験を基にしてるだけに実話に限りなく近いと思う。
淡々と展開する場面もあるけどかなりの葛藤があったろうなと容易に想像できるのはやはり簡単な仕事じゃないと思うからか。
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富士山の気象レーダー設置プロジェクトにおける小説。でかい仕事を成し遂げようと思えば、ひとりではできない。というか自分ひとりでできることなんて、たかがしれている。組織の中で組織を動かす勘所が散りばめられている。覚悟、人の和、何を捨てるか…。