帰艦セズ (文春文庫 よ 1-21)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167169213

作品紹介・あらすじ

昭和十九年、巡洋艦の機関兵が小樽郊外の山中で餓死した。長い歳月を経て、一片の記録から驚くべき事実が明らかになる。「鋏」「白足袋」「霰ふる」「果物籠」「飛行機雲」他一篇。(曾根博義)

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  • 白足袋
    霰ふる
    果物籠
    銀杏のある寺
    飛行機雲
    帰艦セズ

    著者:吉村昭(1927-2006、荒川区、小説家)
    解説:曾根博義(1940-2016、静岡県、日本文学)

  • 吉村 昭

  • 昭和の終わりごろの短編集。
    エッセイ集『街のはなし』と一緒に読んだが、時期が同じなので同じ話題に言及してたりして面白い。
    『羆嵐』から入ったので、この人の戦争物の長編よんだことないんだよな。そのうち読んでみよう。

  • 短編6本。

     戦中、学生であった主人公らに相対した配属将校。
     主人公らが見て感じた世界と、配属将校から見た風景とは全く違うという事実に、戦後、年月を経た同期会にて気付かされた主人公らは、寒々とした感傷に浸る。
     著者の実体験に依拠する、この「果物籠」には惹きつけられる。

     が、後は、それほどかなぁ。
     やはり著者は、圧倒的な取材と事実の重みで書き切る長編作家なのだろう。

  • 帰艦セズの他、5編の短編が収められている。特に帰艦セズは、先頃読んだ逃亡の続編とも言える内容で、何度も読み返した。また、飛行機雲は、大本営が震えた日の続編とも言える内容である。関係者に対する想いの深さが読み取れる。

  • 「帰艦セズ」他、短編集。さすが吉村昭といったおもしろさ。

  • やっぱ吉村先生の小説は素晴らしい…もう小説は吉村先生と宮城谷先生のしか読まないな。池波正太郎先生は殿堂入り。表題作は泣ける。

  • 海軍からの脱走兵のその後を辿る「帰艦セズ」、味元引受人を保釈人本人とともに探す篤志面接委員「鋏」、遺産相続のための延命措置の空しさ「白足袋」など、短いながら人生を考えさせられる珠玉の小品集です。淡々とした中に味わいがある文が多いです。

  • すべての短編に死の匂いがして、そしてそこに確実にいたはずの人間が歳月に押し流され砂が崩れていくようにして消えていく……。
    そんな怖さを味わいながら読み終えた。

    軍隊の過酷さよりも、そこにいた一人の人間が、消えていく恐ろしさ。
    それを仕方ないと思えるのであれば、人は金、権力を求めた後に不老不死の欲望にたどりつかないのではないかとまで思った。

  • 2011.4.17(日)¥136。
    2011.5.25(水)。

    鋏、白足袋、霰ふる、果物籠、銀杏のある寺、飛行機雲、帰艦セズ。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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