回天の門 (文春文庫 ふ 1-16)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 348
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192167

作品紹介・あらすじ

山師、策士と呼ばれ、いまなお誤解のなかにある清川八郎。しかし八郎は官途へ一片の野心さえ持たぬ草莽の志士でありつづけた。維新回天の夢を一途に追うて生きた清冽な男の生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 1986年第1刷、文藝春秋の文春文庫。悲劇は草莽の志士であったことにあるという、あとがきの文のとおりだと思う。他の志士は藩や幕府の力がバックボーンにあるのに対して、(出身が北国であることも含んで)バックボーンがなかったことから、自分の部隊を作って実力を持とうとせざるおえなかったところが、悲劇のもとなのだろう。当然かもしれないがこの人の歴史小説は、時代小説と変わらない文章の調子である。

    あとがき:(昭和54年9月)、他:単行本は昭和54年11月文藝春秋刊、

  • 幕末の尊王攘夷志士である清河八郎の一代記。浪士組を結成して、幕末の動乱の火種を作った人物ですが、あまり有名ではないのが残念です。
    早すぎた志士としての一生涯はあまりにも呆気なく幕を閉じたと思います。

  • 2017.10.2(月)¥250(-2割引き)+税。
    2017.12.8(金)。

  • 清川八郎という人は作者藤沢周平の出身地鶴岡に近いところの出らしい。そのせいか、ものすごく力が入っていることを感じる。
    内容はもう持ち重りするくらい文字がたっぷり。良書。
    八郎が倒幕の意思を固めるあたりから、この本は俄然おもしろくなる。司馬遼太郎の本でもなんどか清河八郎は登場する。あまりよい印象はなかったが、これほど強烈な意思を持っていたとは..。この時代の人の持っていた熱量はすごかったと思う。幕末が迫ったこの地代の幕府の動き、朝廷のうごき、司馬遼太郎では分からなかった部分が少し見えた。

  • 2014/01/31完讀

    ★★★★☆

    之前讀藤沢的書,印象比較深刻的都是時代小說。但沒想到這本歷史小說寫得真是好。作者想用最真實的角度來寫常常被誤解的策士清河八郎,他提到因為清河孤身一人沒有藩作為後盾,所以必須要澎風以獲得他人的贊助,這個論點是有說服力的。幕末的書我也讀了好幾本,很難感到驚豔,但這本書給我非常新鮮的感覺。清河八郎原名斉藤元司,他身為酒屋長男,但天生就不只是僅僅當個守成的大酒屋老闆的器量,也不見容於鄉里鬱鬱寡歡,投身於溫柔鄉中,充滿閉塞感、ド不敵的個性也讓他最終還是決定離家,但花了很多時間才獲得父母的認同。離家追求學問和學劍(這點也很讓我佩服…二十五歲才入門,卻能成為高手,可見這個人有多努力),八郎也成為相當富學養之人,並懷抱著召開文武道場的希望,到後來發現時勢已經不是安安分份地開學塾招攬學生,並且不斷遇到天災人禍,後來他決定投身國事。但他所召集的虎尾會在還沒有任何行動之下前就被幕府查獲,他殺了一個捕吏之後開始逃亡(讀這段的過程中不斷閃過吉村昭長英逃亡的片段),許多人包括他的妻子因他而死。逃亡了很久後,他開始對九州等地的志士展開周旋,開展他過度早熟(時代卻還沒認識到這點)的倒幕論。但他的計畫卻被島津久光的寺田屋事件所破滅,因此他只好回到江戸策劃新計畫,也獲得赦免,就產生了幕府招募浪人事件。但將浪士隊帶回江戸,正在策劃横浜的恐怖事件時,他遭到佐佐木只三郎等人的暗殺,結束他的一生。

    這本書將清河的出自、行動清楚地爬梳,一路貫串地推擬清河的心境,寫得相當有說服力。一些令人耳熟能詳的幕末事件,從清河的角度,而非幕臣、新選組、日後的薩長當權者等人的角度來側寫,也寫出不流於俗的新意與可信感。在作者的筆下,清河是一個不符時勢的悲劇性人物,命運一再地玩弄他,讓我同樣地想到高野長英,歷史上太多無端被命運玩弄的傑物,中道頓挫或甚至失去性命,令人嘆息。但從歷史夾層中尋訪他們的故事,還是留下著不容輕忽的痕跡和生命力。這本書是一本很成功的作品。

  • 時代の為に、討幕を説いて回った志士『清河八郎』
    読む前はあまりよいイメージはなかったが、高い志を持っていたが故に、誤解されていたのか?

    あまりに時代の先を行き過ぎると、人々からは理解されにくい。

  • 清河 八郎が主役。嫌なヤツってイメージしかなかったけどこの本によるとまじめなやつ。 電子書籍

  • 読書期間:4/2-4/20(19日間)

    あらすじ:変節漢・山師・策士とひとは呼ぶ。清河八郎は今なお悪評のさなかにある。八郎は仕官の途さえ望まぬ、一個の”草莽の士”であった。さらにその時代は、倒幕の機いまだ熟さず、彼は早すぎた志士として生きねばならなかった。郷里出奔から、麻布一ノ橋で凶刃に倒れるまで、この悲劇の孤士の生涯を余すところなく辿る力作一千枚(裏表紙より)

    感想:清河八郎には、大いに興味があった。新撰組関連の書籍を乱読する中で知っている知識といえば、「幕府を守護し、京都に跋扈する”尊攘志士”を取り締まるため、浪士を集めて任につかせる・・・と見せかけ、京都で尊攘倒反幕の団体にしようとして新撰組にのっとられた大博打に失敗した男」である。
    その博打たるやあまりに大胆で、どえらいことをしようとしているものの、結局成就しなかったこと、その後の新撰組の活躍が目だってしまったため、余り語られることがない。(と思う)。
    本作は、非常に珍しい清河八郎もので、大好きな藤沢周平さんだったので、莫大の期待と共に読みました。

    感想としては、悪く言えば退屈、よくいえば非常に丁寧に描写してあります。作品としての評価について、個人的にはじっくり丁寧でよかったと思いますが、一般的には高評価は難しそう。

    清河は、羽州田川郡清川村の素封家 斉藤家の長男で、お金持ちで将来を約束されたボンボンです。ですが、環境に倦んでしまい、両親の反対を押し切って江戸にでます。江戸では文武に頭角を発揮、私塾を開き剣と学問を教えるのですが、尊攘の志に目覚め、反幕感情から地下活動を行うようになり・・・といった人生。

    作者の想いとして、「変節漢・山師・策士」といった世間の印象を払拭し、一個の”草莽の士”であった、と再評価させたいという狙いがあるようです。
    が、読了後も、やはり詐欺師的な、扇動家という印象でした。最後の賭けがあまりに博打的であることが問題なのですが、ただ、一千枚を読後、同情するところはありました。

    じっくり丁寧に清河八郎を知りたい人にはお勧めの一冊です。幕末の動乱にドキドキを求めたりカタルシスを感じたいなら、あまりお勧めできない一冊です。

  • 特に幕末に強い興味を持っているというわけではない私にとっては、登場人物が多く、関係性もなかなか複雑なので、大局を掴むのに少し苦心した。
    清河八郎という人物に対する著者の愛情のようなものはよく伝わってきた。

    今を生きる我々にとっては俄かに想像し難いが、日本でもちょっと前までは、嫡子が後を継がずに家を出るとか、身分を問わずに好む人と結婚するとかいうことが非現実的な望みで、それを実行するためにはとてつもない艱難辛苦が伴ったんだなあ、という思いを新たにする。

  • まっっったく予備知識を持たずに、ゼミの教授の本棚から適当に一冊引っ張って読んだのがこちら。

    前半部分なんて、誰のことを書いている小説なのかさっぱりわかりませんでした。

    読み進めていくうちに、少しずつ主人公に同情して、
    可愛い人だな、なんて思っていたら
    まさかあの清河八郎だったとは…!

    視点を変えて読むだけで、今まで腹黒策士だと思っていた人物が、一気に人間味溢れる田舎侍に変わるから面白いですね。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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