新装版 暗殺の年輪 (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-45)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192457

感想・レビュー・書評

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  • 短編小説集ですが、新聞の書籍紹介欄で葛飾北斎の小説があるとあったので借りてみました。藤沢さんの小説を読むのは初めてなのですが、タイトルどおり暗い小説を集めたものなのか、藤沢さんの小説が全般的にそうなのか。「暗い」とか「救われない」ってイメージの短編集です。
    肝心の葛飾北斎の話も「人間の内面」に焦点をあてたわけですが、画業とはあまり関係ない話だったので面白いものではなかったな。というのが感想です。個人的な趣味があわないな~。という小説でした。

  • 単行本刊行1973年。全5編中直木賞受賞作1編と直木賞候補作3編を含むなんとも贅沢なデビュー短編集。 内容的には葛飾北斎のことを書いた「溟い海」や海坂藩作品の第一作で直木賞受賞作「暗殺の年輪」など本当に質の高くてバラエティーに富んだ作品集であるが、私がもっとも印象に残ったのは唯一直木賞の候補に上がらなかった「ただ一撃」、この作品は展開もさることながら作中に出てくる“三緒”という嫁が本当に健気で物悲しいのです。 とにかく各編、重苦しくて哀しいけど素敵な女性が描かれています。

    各編の女性たちを読み比べるだけでも価値のある作品集だと言えます。ズバリテーマは“女心”。ただし初めて藤沢作品を手に取られる方や時代小説初心者には他の作品の方が良いような気がします。 物悲しいと言えば全五編に統一されたモチーフというかデビュー時の藤沢さんの特徴だと言えそうです。 藤沢氏の作品は端正な文章で読みやすくわかりやすいというのが通説ですが、この作品集に限って言えば少し難解な部分も含まれていて他作よりも何回も読むことによってより味わい深いものとなるでしょう。最初から凄く高い位置を極めていたんですね。

  • 隠し包丁による煮込み料理でございます。

  • 封建社会を生きる人々と武士の息苦しさが生々しく描かれている時代小説。精密だしおもしろいので、年老いたときに読んだらもっとはまるだろうな。

  • 84歳のハッピー・バースデーと言えないのが残念な藤沢周平は、1927年12月26日山形県生まれの時代小説作家。15年前に69歳で逝去。

    この本を読んだ時の衝撃を、今でもはっきり覚えています。

    ええっと、たとえて言うなら、心地よいボディブローか痛快なアッパーカットか、ううん、ちょっと違うというか、そうであるようでないような、ひょっとして何気ない会話を交わしていたらいきなりクロスカウンターを食らうようなとでもいうのか、ともかく油断して無防備でいるこちらの全躯に、思いもかけない圧倒的な力技で真正面から真剣でズバッと斬りつけられそうになった感じ、でもよけるでもなく、このまま斬られてもいいわって感じ。ダメ、やっぱりうまく言えません。

    しかも、なんとこれは、いったいぜんたい、時代劇というよりまさしく全篇ハードボイルドではありませんか。

    何といっても文章がいいのです。私にとてもフィットする、私の言葉の感覚や文の運びやボキャブラリーに通底する文章で、読んでいてカタルシスを感じることができるものなのです。

    それほど熱心にではありませんが、今まで一応の著名な時代小説は、村上元三『真田十勇士』や山本周五郎『樅の木は残った』、山手樹一郎『又四郎行状記』や吉川栄治『鳴門秘帖』、村山知義『忍びの者』や野村胡堂『銭形平次捕物控』、中山義秀『戦国無双剣』や中里介山『大菩薩峠』、山田風太郎『伊賀忍法帖』や白井喬二『富士に立つ影』、座頭市の生みの親である子母澤寛『新選組始末記』や柴田錬三郎『眠狂四郎無頼控』、池波正太郎『鬼平犯科帳』などなど手当たり次第に読んできましたが、このときほどズッシリと手ごたえのある感触を感じたことはかつてありませんでした。

    • diver0620さん
      こんにちは。僕は藤沢作品で時代小説もいいなぁと思い読み始めました。最近は、岡本綺堂の凄さにやられてます。
      こんにちは。僕は藤沢作品で時代小説もいいなぁと思い読み始めました。最近は、岡本綺堂の凄さにやられてます。
      2011/07/20
  • 剣士が常に正々堂々としているわけではない。
    少しうがった視点を楽しめる人にはお勧めの時代小説。

  • 重苦しいのとは違う。人生ってこうなのかな、翻弄されてそれでも足掻くものなのだな、と響く話ばかり。表題作よりも「黒い繩」があまりに哀しい。

  • 「暗殺の年輪」はさすがにすごいと思う。それより前はあまり好きではないかも。後年の方が好みなんだろう。

  • 後味の悪い、苦い物語が多かった。「蝉しぐれ」で藤沢修平の世界観が好きになっていなかったら、ちょっとキツかったかも?主人公の男たちより女性の方が印象に強く残ったなぁ。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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