新装版 暗殺の年輪 (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-45)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192457

感想・レビュー・書評

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  • 藤沢周平の初期作品集。時代小説であるが、英雄は登場せず、市井に生きる名も無き人々の姿が描かれる。表題は直木賞受賞作品。
    後年の藤沢作品に見られる爽快な読後感はなく、全体的に重いトーン。主人公は、抗えない運命に翻弄され、また、様々な業を背負って生きていく。登場する女性は、軒並み不幸になる、、、
    このころの作者は、肺結核を病み、仕事を変え、妻に先立たれている。小説は作者の人生を反映するものなのだなぁ。

  • 黒い繩
    暗殺の年輪
    ただ一撃
    溟い海(くらいうみ)


    武士の非情な掟の世界を、端正な文体と緻密な構成で描いた直木賞受賞作と他4編。

  • 文章は創造的でよいけど、内容は結構平明

  • 表題作が直木賞受賞作。

  • 情念と女性がテーマの短編集。
    情景描写と心理描写が精緻に描かれている。
    一つ一つの短編を読み終えると、その^ どこか物憂げな展開に、心の一部に穴を開けられたような感じさえした。

  • 祖父に借り、初の藤沢周平。
    素晴らしかった。
    短編で読みやすく、
    一つ一つの話の主役に
    それぞれの熱いものがある。

    個人的には前二つが好き。
    とても切ない。
    体験したことのない時代に
    生きていた人間を実感できる。

  • 海坂藩ものの第一作「暗殺の年輪」には、「蝉しぐれ」などの後の作品のプロトタイプを思わせるものがあるが、全体に”暗い情念”が横溢した短編集。「ただ一撃」が好物。

  • 直木賞受賞の表題作をはじめ、5つの短篇を収録。「暗殺の年輪」も悪くはないが、やはり篇中の白眉は「ただ一撃」だろう。武骨で巨漢の猪十郎の存在感も十分だし、なによりこれに対する、隠居の身の範兵衛が兵法者として復活してゆく姿と、一瞬の立ち合いは読みごたえがある。物語の主軸を支えるのはこの二人だが、実は真に藤沢周平らしさが出ているのは刈谷家の嫁、三緒の造形だ。つつましく、いじらしく、聡明でもあり、さらには感情も溢れるほどに豊かだ。剣豪小説のように見えながら、彼女の存在こそが作品にふくらみと陰翳とを与えているのだ。

  • 父の仇と母の恥を雪ぐ「暗殺の年輪」、冤罪で追われつつ真犯人を追う若者とそれを救おうとする若後家の切ない思いが哀しい「黒い縄」、老年を迎えた北斎の若い広重に対する嫉妬の思いが生き生き描かれる「溟い海」、老武芸者と息子の嫁の心の交流が美しく描かれた「ただ一撃」など。老境を迎えた男性の枯れた心境と不幸を背負った可憐な女性がいつもながら素晴らしいです。

  • いずれの短編も、面白い。出てくる人物の魅力と、ストーリー展開に、魅了される1冊。藤沢周平、また読みたい。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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