美貌の女帝 (文春文庫 200-17)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167200176

感想・レビュー・書評

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  • 女帝といえば推古天皇や持統天皇しか知らなかった私ですが、大化の改新以降、藤原氏の権力攻勢から蘇我の血を守ろうと対決し、敗北しながらも最後まで凛とした元正女帝の姿に感動しました。
    時代の流れには逆らえないところが切なかった・・・。

    今度は藤原側から見た小説も読んでみたいです。

  •  タイトルから予想される物語とはぜんぜん違っていた。
     華やかさがあるものでもなく、女帝時代が長いわけでもない。

     面白いのだが、主人公の元正女帝を示す言葉は「美貌の女帝」ではないんじゃないかなぁ。タイトルがもう少し地味なものであれば、話に入り込めたような気もする。

  • 歴史上初めて独身のまま皇位に就いた元正天皇ことひめみこ氷高の物語。祖母である持統天皇の時代から、藤原氏台頭、悲恋の相手である長屋王の悲劇、甥の聖武天皇の治世に至るまで、歴史の創造者でもあり目撃者でもあった氷高の姿を描く。持統・元明・元正と受け継がれた蘇我の女帝の生きざまに共鳴。ひらがなを多用する文章は非常に読み心地がよい。

  • 独身女帝・元正天皇のお話。恋愛を捨て、国家に身を案じた生き様が描かれている。

  • 確かにこれは「歴史小説」なのだけど、さすが永井路子!史実からそれない範囲で、実際にありそうなことが書かれているから好きです。

    持統天皇・元明天皇・元正天皇の蘇我倉山田石川麻呂の血筋と、藤原氏との対決。そこには大化の改新、壬申の乱が根元にあった。
    全てのしわ寄せが元正天皇にのしかかってきていて、哀れに思えたけれど。しかしそこは美貌の女帝!最後まで凛とした姿を変えない強さがあった。

    強い女が好きです。

  •  系図を女系で見直すと違ったものが見えるというのはそう目新しい話ではないけれど、この本もそうした視点で書かれています。
     蘇我氏は大化の改新で滅んだと教科書では習うけれど、天皇の妻そして母はそれからも蘇我系が続き、蘇我の女たちは宮廷をとりしきっていた。持統→元明→元正と飛鳥時代に女帝が続いたその理由を、単に男子の継承者が若かったからとするのではなく、蘇我系の血を守るためであったという視点で語っています。
     その見方からすると聖武天皇は初めて藤原の母を持った天皇という意味で特別になる。大仏を造った理由もその血に絡んだ苦悩につなげています。
     寺院の建立、都の造営、遣唐使の派遣。天智以前から天智、天武から聖武の政治の方向もその視点で語っていて、教科書では持統天皇は藤原不比等と協力して政治を行ったとなっているけれど、この話のなかでは対立していて、とても興味深く読めました

  • 初の独身女帝、元正天皇にスポットを当てた作品。
    「中継ぎの女帝」という従来からの考えを覆す、「蘇我の女の血筋を守る」ために即位したという視点に基づいて書かれた作品。

    歴史モノは好きで、古代~中世にかけての作品は割と読むが、「女性」にスポットを当てた作品はそれほど多くないように思えるので、「女性にスポットを当てた」この作品は、見つけた瞬間に「読もう!」と思えた作品。

  • 人生の負け方教えます。


    持統天皇から女帝が三代続いた時代と、蘇我が没落し藤原が台頭する時代が重なっていることに目をつけた作者の意欲作(だと思う)
    「春すぎて夏來にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山」

  • 決して中継ぎでもお飾りでもなかった。

    元明天皇を母に持ち
    義弟、長屋王を失いながら
    蘇我の血を引く最後の天皇として
    生き抜いた女帝。

    翻弄される運命と悲しさの中で
    ひっそりと
    強く咲き誇った美貌の女帝。

  • 氷高皇女、大好きです。
    初の独身女帝、きっとたくましく生きたハズです。

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著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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