フツウであることに満足できなくなった男のための63章 再び男たちへ (文春文庫 し 24-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167337049

作品紹介・あらすじ

容貌、愛人、政治改革、開国と鎖国、女の反乱、国際化——日常の問題から日本及び世界の現状までを縦横に批評する幅の広さ、豊かな歴史知識に基づく鋭い批評精神と力強い文章が魅力。

感想・レビュー・書評

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  • やっと、読みきった。
    比較しているものが、海外と国内、だったり、
    歴史上の人物と現代人 だったりするので、
    かなりベースとなるレベルが高いことになっています。
    エッセイなので、だらだらと、気に入ったところは丹念に、むむっというところはざっと読めるのがよい。

  • 『再び』とありますが『男たちへ』とは内容が違います。
    『男たちへ』は粋な男論でしたがこちらは政治や国家への提言です。
    以前購入した本を再読したのですが今でも頷けるものもあり、今では無理なものもあり。

    現在のこの世界の混乱を今、著者はローマでどう思われているのでしょうか。『再び』の再びを読んでみたいです。

  • イタリア在住の塩野氏による日本への警鐘本。はっきりとした口調でエッセイ的に簡潔にまとめられており、読みやすく面白い。興味深い内容だが、出版されたのは1991年であり、今は適用できないことも含まれる。
    「必衰は、盛者になりえた者のみが受けることのできる特権である」p54
    「(東欧からの難民)移り住んだ西欧の国では、おれたちは四六時中緊張していなければならない。洗濯機さえ種類が多くて、その中からどれを選んで買うかはおれたちが決めなくてはならない。自由主義国では、何もかもがこんな具合だ。何にだって頭を使って自分で判断することが、求められる。疲れてたまらない。反対にこれまで住んでいた国では、何もかもが国家が決めてくれる。洗濯機だって、機種に文句を言わず、待つことさえ我慢すれば、黙っていてもいつかは手に入れられる。職業上のことだって競争する必要はない。言われたことだけをやっていれば給料は保証される。少ないけどね。だが四六時中緊張した結果の高収入よりはずっとよい。なにしろラクなんですよ、ずっと」p72
    「亡国の悲劇は、人材がいなくなったがゆえに起こるのではない。人材はいつでもどこにでも存在するのである。ただ、衰退期にさしかかるや、なぜか人材活用のメカニズムが狂ってくるのだ(優秀な者が登用されない)」p101
    「(マキャベリ)指導者たる者は、必要に迫られてやむをえず行ったことでも、自ら進んで選択した結果でも、自ら進んで選択した結果であるかのように思わせることが重要である(外圧のせいにしない)」p119
    「人間は、もっとも至極と思うことには、少しも胸の熱くならないようにできている動物である」p120
    「こちらがやる気になってする苦労は、苦ではなくなるのである」p121
    「私は以前から、市場調査なるものに疑問を抱いてきた。あれは、凡才の考えたことへの援護射撃にすぎないのではないか」p147
    「私のようにヨーロッパの水で顔を洗う歳月の長い者に言わせると、戦争には正しいも正しくないもないので、勝ったか負けたかの違いしか存在しないのだ」p204
    「知識も教養も万能ではない。ただ残念なことに、持てば持つほど万能であると思うようになるのだが、タダの人の陥りやすい傲慢である」p264
    「改革というものは結局、悪によってしかなしとげられない(善人は既存のものを破壊できない)」p205

  • 塩野七生の、『男たちへ~フツウの男をフツウでない男にするための54章』(1989年)に続くエッセイ集。1991年に発刊、1994年に文庫化された。
    副題こそ「フツウであることに満足できなくなった男のための63章」となっており、前作により一段レベルアップを図った対象(男)へ宛てたメッセージに見えるが、趣は相当に異なり、古代ローマや中世・ルネッサンス期の歴史、各国家・民族の文化の違いなどの分析を踏まえた、日本の政治や社会に対する提言になっている。
    「理性に訴えたがり、それで充分と考えるのは知識人である。だが、知識人必ずしも優れた指導者ではない。優れたリーダーとは、良き結果を得るためには良くない手段に訴えるくらい、眉ひとつ動かさずにやってのけられる人種のことである」
    「ノーブレス・オブリージュの基本は、体を張ることであると考えている。・・・欧米では、エリートという言葉はマイナスのイメージをもたない。権利を享受すると同時に、ちゃんと責務のほうも果たしている人間をエリートと呼ぶからだ」
    「人類は三千年このかたあらゆる統治形態を模索してきたが、支配階級の存在しない統治形態だけは考え出すことはできなかった。ならば、以前の支配階級よりもより有能な支配階級育成の可否は、非常に重要な、もしかしたら高尚な思想よりもずっと重要な課題とは言えないであろうか」
    「中世・ルネサンス時代の大国だったヴェネツィア共和国は、盛者の奢りにひたることのまったくなかった国家だったが、それでもなお衰退を避けることはできなかった・・・私には、興隆の要因であったと同じものが、ある時期を境にして衰退の要因に変わるからだと思えてならない。・・・競争の次元が変化したことによって、それまでの成功の要因であったもののほとんどすべてが、否定的な足枷に変わってしまうからである。・・・もしも歴史上のこれらの先例の後を追いたくなければ、時代の変化に応じてこちらも変わらなくてはならない」
    解説にも書かれているが、本書の本当の書名は『日本へ』なのであり、後年著者が著した『日本人へ』3部作(リーダー篇、国家と歴史篇、危機からの脱出篇)に繋がっていくものなのである。
    (2013年6月了)

  • 塩野さんもこういう本を書くから政治家とかに人気があるんだろうか

  • (「BOOK」データベースより)
    天国へ行くのに最も有効な方法は地獄へ行く道を熟知することである―。開国か鎖国か、実力主義のプラスとマイナス、人種差別、帰国子女、帰宅拒否症なる現象について、「湾岸戦争で観客席にとどまる方を選んだ日本人」に、塩野七生が独特のユーモアをこめて贈る“大人のための知恵のエッセンス63篇”。

  • 「利己主義者の間では妥協は常に可能である。」著者の言葉だが、とても含蓄があるように思われます。自分は何を求めているのかを徹底的に追求できるものどうしの間では、破滅的な衝突は生じない、という意味です。

  • タイトルに「再び」とあるからといって、単純に「男たちへ」の続編と思ったら大間違いである。
    読み出しは、「男たちへ」と比べて淡泊…、と思いきや、微妙に何かが違う。
    前作は、「粋に生きる」とはどんなものか、ということを著者が自分の趣味全開で「男」というマテリアルに託して語ったものだったが、本作は「国家」というマテリアルに託して「粋に生きる」ということがどんなことか、を語る。
    それは現代日本に対する提言でもあり、タイトルが内容を映す鏡とするならば、むしろ「日本へ」とでもすべきである。

  • 単行本は1991年4月刊行解説 吉田直哉「再び」ではありますが、先の『男たちへ』とは、少しく趣を異にしています。その辺は解説に詳しいので避けますが、簡単にいえば、こちらのほうが硬派です。でも、そのぶん読み応えはあります。最終章(63章)「無題」は、「湾岸戦争でわれわれ日本人は、観客席にとどまるほうを選んだ。」で始まります。それでは観客席に座って何ができるのか。「私の思うには、できることは一つしかない。曇りのない視線で情況のすべてを直視し、それらをもとにしながら自分の頭で考えること、である。」「現実を直視し、そしてそれについて考えをめぐらせるのは、哲学の基本である。つまり私は、観客席にいるしかなくなった現在の日本人に、哲学すること(傍点略)を勧めたいのだ。」これに続くのは、マキアヴェッリの言葉。しかし、刊行から10年後には「アメリカの正義のための戦争」。われわれに唯一できること、せねばならぬこと、ひょっとしてわれわれにしかできないことは、ここでも何も変わっていないのでは、ないだろうか。だって、「ほんとうのこと」がコロコロ変わっては、それは「ほんとうのこと」じゃないし、「誰かにとってだけ正しいこと」は、それは正確には「正しいこと」では、ない。勢いで引っ張り出してきて、「男たちへ」2冊を読み直してみました。「男たちへ」とは魅力的なタイトルです。女たちも、読みましょう。

  • era mal, o por lo menos, no era ¨para los hombres¨ en su contecimiento.

    Es solo expeliencia con unos personas del autora, y no habia esprit de la anterior...

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