睡蓮の長いまどろみ(下) (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167348168

作品紹介・あらすじ

家族を捨てた生母・美雪が運営する不幸な少年少女のための施設「森末村」とは?東京に密かに借りたアパートで順哉があやしく交わる「内なる女」とは?東京、大阪、伊豆、北陸、九州、北海道を舞台に、人間が自らの「宿命」を見据えつつ、なお幸せに生きようとするとはどういうことかを問う純文学巨篇。

感想・レビュー・書評

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  • 2000年作品。上巻の感想でも触れましたが、著者の作品は、よく読んでいます。芥川書作家、芥川賞審査委員という経歴とは想像できないウィットに富んだ会話や優しい関西弁に親しみを感じております。著者の作品には、いつも「宿命」と言うものが扱われます。その宿命に抗い生きる主人公たちの姿に私はいつも共感します。そして人間が「魔が刺す」という事。この作品も、この2点が出てきます。上巻を読んで、少しサスペンス仕立てのところに珍しいなあと感じたのですが、なるほどなあと唸りました。それから、やっぱり文章が綺麗ですねえ。また、読み返す時があるかもしれません。わたしにとって、著者の作品にはハズレはないです。蛇足ですが、最近の作品には少々説教じみたところが感じられるような気がします、私的な感じですが。

  • 上の続き‥
    母親と父親の過去には色んなことがあり
    息子の順哉。母親に会いたい気持ちと
    知りたい気持ち‥母親は息子だと一目見て
    分かった。やっぱり離れてても
    分かるのだなぁと思った。蓮と睡蓮の違い‥

  • 私は宮本輝が凄く好きだったんだけど、あぁもぅ物語の背景が共有出来ない時代になってしまったな…と。この作家は戦中戦後に苦労した親を持って、高度経済成長時代に生きているって背景に物語を紡ぐのが本当に秀逸で。沢山の物語をそこへ投下してるんだけど。もちろんその背景が変わっても普遍的に味わえるモノもあるんだけど、宮本輝はそうじゃない。その時代感というか、生活様式、ジェンダーバイアスとかが、もう「今」に適応しなくて、あぁもう賞味期限切れたんだなって思ってしまった。

  • 宮本作品らしい作品

  • 久しぶりに読む。宮本輝。

    構成の仕方が、宮本輝らしいが、
    読みやすいだけで、
    何かオカルト的な作品になっている。

    蓮と睡蓮 世羅順哉。庄平。

    「因果倶時」・・
    原因のないところに決して結果もない。

    「私が闘おうと決めたからよ。
    だから宿命は私はねじ伏せにかかったのね。
    宿命ってのは、それぞれの人間の中で
    生きている生き物なのよ。
    飼い主は他ならぬその人自身。」 森末美雪

  • 「秘密の部屋」「ナイフ」の意味が下巻ではクリアになるのかなあと思って読んでいたが、最後まで分からずじまいだった。文字通り、生物学的な母親に育てられなかった人間の性的倒錯を示してるだけ?うーん、さっぱり分からない・・・

  • ストーリー展開が多様性もあっていろんな場所にも訪れるから、旅先で読んでてなんか合ってるなと。ただ、ふわぁっとした後半の展開に、主題である宿命だとか、生まれ持ったものについて、ぼんやりとした感想しか持てなかったなぁ。全体的には小難しい思想が読みやすくまとまってて良かったかなと。

  • 長編上下巻もの。アッシジと北海道に行きたくなった。親子の絆って。。相変わらず心を揺さぶる安定感。ナイス。

  • 「どんなに誤魔化しても、人間の相というものは恐ろしいほどにその人の正体を漂わせている」など、話の展開も謎が解けておもしろかったです。最後、もっとじっくりでも良かったかも。

  • 『海岸列車』や『星宿海への道』の方が好きですが…宮本輝作品は、やはり最後まで夢中で読んでしまいます。宿命や運命、という言葉の深みをしみじみ感じました。また、その宿命や運命に立ち向かう、自分の心の奥底の、何があっても変わらない部分のことについて考えさせられました。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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